5月8日、NHKのシリーズ「プロフェッショナル」で、「経営者・坂本幸雄」を見ました。
国内大手半導体メーカーが合体してできた会社(エルピーダメモリ)に異色の経営者がいるという話は耳にしていましたが、詳しく知ったのはこの番組がはじめてでした。
社長・坂本幸雄 59歳
・高校球児だったが、高三のときに自らのエラーで敗退
・野球指導者を目指して体育大学に進むが、教員試験に失敗
・つてで外資系半導体メーカー(日本TI?)に就職するが、倉庫係に配属
・仕事を早く終わろうとして、倉庫業務を工夫する
・倉庫での仕事を外人上司に認められ、社の企画中枢に抜擢される
・米国本社に抜擢される
・命じられた仕事は必ずやり遂げようとし、ストレスのため胃潰瘍となって胃の2/3を切除する
・以降、「できることをやる」という方針に切り替える
・いつくもの会社を建て直したあと、経営不振のエルピーダメモリ社長となり、短期間で黒字化を達成し、今も会社を躍進させている。
以上が番組から得た知識です。
倉庫係からスタートすれば誰でも優秀な経営者になれるわけはありません。やはり本人の資質でしょう。
何より、倉庫係の能力を見抜き、社の中枢に抜擢した外人上司が偉いですね。このあたりは今でも「アメリカ人は凄い」と脱帽です。
エルピーダメモリは、日本の大手電機メーカーが半導体部門を切り離して合体させたメーカーである、という程度の知識でした。今回ネットで調べたところでは、日立とNECの半導体部門が合体して1999年に設立され、その後三菱電機も参画しているようです。その他の電機メーカー半導体部門はどうなのでしょうか。
エルピーダの挑戦と題する坂本氏の講演記録がネットで見つかりました。
エルピーダ誕生前、日立とNECの合計シェアは16%程度であったものが、2003年に坂本氏が入ったとき、シェアは2%まで落ちていました。
「エルピーダの失敗はどこにあったのかといいますと、日立とNECの官僚主義をそのままエルピーダに持ってきたということです。日立とNECのどちらが官僚的なのかをお互いに議論していて、仕事をしていなかったのが実情ではないかと思います。」
そうだったのですか。
「私がエルピーダに入って最初に作った方針があります。まず「会議は1時間以内に終わらそう」ということです。」
機械的に1時間に短縮するのではありません。会議が始まる前に情報を頭の中で整理しておき、会議の席上で実質的にどんどん決めていくのです。
私のサラリーマン時代、半導体製造装置を設計・製造・操業立ち上げするプロジェクトのリーダーをしていたことがありました。
設計打合せで仕様を決めていきます。打合せの席上であれこれ考えたのでは、効率のよい議論ができません。その日の打合せで議論になるだろう事項について事前に想定し、自分の頭の中で整理しておきます。その上で会議に臨むと、短時間で仕様を決めていくことができます。
そのような経験があったので、坂本氏の考え方はよく分かります。
「そして「レポートはA4サイズ1枚以内」ということです。」
トップが、下から上がってくる資料で勉強しようとすると、資料は分厚くならざるを得ません。トップが周辺事情についてよく勉強している企業では、トップに決断してもらうための資料はA4で1枚でOKなのですね。
すなわち、「レポートはA4サイズ1枚以内」が可能か否かは、トップ次第だということです。
私はシリコンウェーハをつくる会社にいましたから、国内の半導体デバイスメーカーは概ね営業で訪問しています。日立もNECも、各地に多くの工場を配置していました。特に日立は多くの小さな工場を抱えていました。
それがエルピーダになった現在は、前工程(ウェーハ工程)が広島1箇所、後工程(チップ工程)が秋田1箇所だそうです。ものすごい統合をしたのですね。
20年近く前、韓国のサムソン電子に営業で出かけたことがあります。日本メーカーが1M-DRAMを量産しており、サムソンはまだ1Mを量産できない、勃興期でした。ソウル郊外の器興(キーフン)にある工場ですが、その規模の大きさに圧倒されました。とにかく大きな工場を集中して建設していました。それと同じことを、今のエルピーダがやっているのですね。
番組によると、エルピーダは台湾メーカーと合弁で台湾に最新工場を建設しています。70nmルールという最先端の微細技術を使うそうです。これからもつまずくことなく、エルピーダが躍進することを祈念します。
国内大手半導体メーカーが合体してできた会社(エルピーダメモリ)に異色の経営者がいるという話は耳にしていましたが、詳しく知ったのはこの番組がはじめてでした。
社長・坂本幸雄 59歳
・高校球児だったが、高三のときに自らのエラーで敗退
・野球指導者を目指して体育大学に進むが、教員試験に失敗
・つてで外資系半導体メーカー(日本TI?)に就職するが、倉庫係に配属
・仕事を早く終わろうとして、倉庫業務を工夫する
・倉庫での仕事を外人上司に認められ、社の企画中枢に抜擢される
・米国本社に抜擢される
・命じられた仕事は必ずやり遂げようとし、ストレスのため胃潰瘍となって胃の2/3を切除する
・以降、「できることをやる」という方針に切り替える
・いつくもの会社を建て直したあと、経営不振のエルピーダメモリ社長となり、短期間で黒字化を達成し、今も会社を躍進させている。
以上が番組から得た知識です。
倉庫係からスタートすれば誰でも優秀な経営者になれるわけはありません。やはり本人の資質でしょう。
何より、倉庫係の能力を見抜き、社の中枢に抜擢した外人上司が偉いですね。このあたりは今でも「アメリカ人は凄い」と脱帽です。
エルピーダメモリは、日本の大手電機メーカーが半導体部門を切り離して合体させたメーカーである、という程度の知識でした。今回ネットで調べたところでは、日立とNECの半導体部門が合体して1999年に設立され、その後三菱電機も参画しているようです。その他の電機メーカー半導体部門はどうなのでしょうか。
エルピーダの挑戦と題する坂本氏の講演記録がネットで見つかりました。
エルピーダ誕生前、日立とNECの合計シェアは16%程度であったものが、2003年に坂本氏が入ったとき、シェアは2%まで落ちていました。
「エルピーダの失敗はどこにあったのかといいますと、日立とNECの官僚主義をそのままエルピーダに持ってきたということです。日立とNECのどちらが官僚的なのかをお互いに議論していて、仕事をしていなかったのが実情ではないかと思います。」
そうだったのですか。
「私がエルピーダに入って最初に作った方針があります。まず「会議は1時間以内に終わらそう」ということです。」
機械的に1時間に短縮するのではありません。会議が始まる前に情報を頭の中で整理しておき、会議の席上で実質的にどんどん決めていくのです。
私のサラリーマン時代、半導体製造装置を設計・製造・操業立ち上げするプロジェクトのリーダーをしていたことがありました。
設計打合せで仕様を決めていきます。打合せの席上であれこれ考えたのでは、効率のよい議論ができません。その日の打合せで議論になるだろう事項について事前に想定し、自分の頭の中で整理しておきます。その上で会議に臨むと、短時間で仕様を決めていくことができます。
そのような経験があったので、坂本氏の考え方はよく分かります。
「そして「レポートはA4サイズ1枚以内」ということです。」
トップが、下から上がってくる資料で勉強しようとすると、資料は分厚くならざるを得ません。トップが周辺事情についてよく勉強している企業では、トップに決断してもらうための資料はA4で1枚でOKなのですね。
すなわち、「レポートはA4サイズ1枚以内」が可能か否かは、トップ次第だということです。
私はシリコンウェーハをつくる会社にいましたから、国内の半導体デバイスメーカーは概ね営業で訪問しています。日立もNECも、各地に多くの工場を配置していました。特に日立は多くの小さな工場を抱えていました。
それがエルピーダになった現在は、前工程(ウェーハ工程)が広島1箇所、後工程(チップ工程)が秋田1箇所だそうです。ものすごい統合をしたのですね。
20年近く前、韓国のサムソン電子に営業で出かけたことがあります。日本メーカーが1M-DRAMを量産しており、サムソンはまだ1Mを量産できない、勃興期でした。ソウル郊外の器興(キーフン)にある工場ですが、その規模の大きさに圧倒されました。とにかく大きな工場を集中して建設していました。それと同じことを、今のエルピーダがやっているのですね。
番組によると、エルピーダは台湾メーカーと合弁で台湾に最新工場を建設しています。70nmルールという最先端の微細技術を使うそうです。これからもつまずくことなく、エルピーダが躍進することを祈念します。