弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

キューバ危機の教訓

2020-01-13 14:27:22 | 歴史・社会
有酸素運動の日課としてステッパー運動をしながら、アマゾンプライムで映画を観ています。そのため、アマゾンプライムで観ることのできる映画をあれこれ選んでいます。
その中に、「13days」がありました。キューバ危機のときの米国ケネディ政権内での出来事を描いた映画です。
私はキューバ危機でのケネディ政権について、ときのロバート・ケネディ司法長官が原稿を書いた「13日間」という書籍を過去に読みました。そこで、映画「13days」を観るのと並行して、「13日間」を読み直してみました。
その中に、私自身が過去に書き込んだマーキングが見つかりました。

ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが判明したのは、1962年10月16日でした。U2高高度飛行偵察機が撮影した写真からです。これがキューバ危機の始まりでした。
以降13日間、米国とソ連との間での駆け引きが続き、一歩間違えば世界が全面核戦争に巻き込まれる瀬戸際に追い込まれました。

10月23日の会議の後、大統領、テッド・ソレンセン(大統領顧問)、ケニー・オドンネル(大統領特別補佐官)、それにロバート・ケネディが、大統領の執務室に入り、すわって話し合いました。
『「なによりも大きな危険は誤算--判断を誤ることだ」と大統領は言った。』
--その後、私が昔マーキングしていた箇所は---
『米ソともキューバで戦争を賭けようとは望んでいないという点でわれわれの意見は一致していた。しかしなおかつ、どちらかの側が打った手段が“安全”“誇り”“メンツ”などの理由で相手方の反発を引き起こし、それがまた同じような安全、誇り、メンツなどの理由で再反発を招く。そしてあげくの果てには武力衝突にまでエスカレートしてしまうこともあり得るのだ。大統領が避けようと望んでいるのはまさにこの点である。彼は後世になって、だれかが「十月のミサイル」なる本を著し、米国は平和を維持できるあらゆる手を打ったとはいえないと書くような事態にならないことを望んでいたのである。われわれは判断を間違えたり、読みを誤ったり、不必要にけんかを吹きかけたり、あるいは相手方を意図も予想もしていなかった行動路線に突然追い込むようなことをしようとしているのではなかった。』

この部分を読んで、私はつくづく、この本をトランプ大統領に見てもらいたいものだと思いました。まあ、民主党のケネディの意見は聞かないでしょうが。

先日の、イラン・ソレイマニ司令官を空爆で殺害した事件に関してです。
イランというれっきとした独立国の高官を、戦争状態でもないのに、突然空爆して殺害するなど、とても米国がとるべき態度とは思えません。
イランの内情を考えたら、これによってイラン国民の感情が爆発し、イラン政府が報復せざるを得ず、米国もイランも望まない報復の連鎖が始まってしまう懸念がありました。幸い、イラン政府が大人の対応を行い、報復の連鎖は何とか食い止めることができましたが。
そもそも、イラクという第三国の国土内(非戦闘地域)で、イラク政府の承諾も得ず、一国(イラン)の高官(ソレイマニ司令官)がバグダッド空港から移動している最中に、イラク国内を飛行する無人機からのミサイルで空爆殺害しました。とてもではありませんが、文明国の行為とは思えません。

イランではその後、民間機がイランのミサイルで撃墜され、大勢の民間人が死亡するといういたましい事件が発生しました。イランがイラク国内の米軍基地をミサイル攻撃した5時間後のことです。一義的には、隣国にミサイル攻撃を加えるという非常事態であり、米軍の報復攻撃を受ける可能性が高いときに、民間機の飛行を禁止しなかったイラン政府が最大の責任を負うでしょう。第二は民間機攻撃ミサイルの発射ボタンを押した軍隊の責任です。
そして3番目の責任は、やはり今回の緊張状態を作り出したソレイマニ殺害を挙げなければなりません。

もちろん、ソレイマニ司令官については、さまざまな毀誉褒貶があることでしょう。それにしても、一国の司令官であり、その国と戦争状態に入っているわけでもないのに、第三国の国内で殺害して良い理由などありません。
考えてみたら、金正恩が兄の金正男をマレーシアで暗殺したのと同じではないですか。
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