弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

検察vs小沢陣営バトルの行方

2009-03-19 00:01:50 | 歴史・社会
民主党小沢代表の公設第一秘書が東京地検特捜部に逮捕され、民主党は大変の危機状況に陥っています。
世間の評価としては、“逮捕容疑は微罪だが、特捜は大きな犯罪を掴んでいるに違いない”、“やっぱりあの小沢さんは裏で何かしていたか”といったところでしょうか。
しかし、一向にその“大きな犯罪”は出てこないし、検察は正式記者会見を開かず、毎日のように検察リークを垂れ流すのみです。一体どうなっているのでしょうか。

NB OnLine(日経ビジネスオンライン)の記事「「ガダルカナル」化する特捜捜査/「大本営発表」に惑わされてはならない(郷原 信郎)」を読んだところ、郷原さんの見立ては一般とはずいぶんと異なったものでした。
「民主党小沢代表の公設第一秘書の大久保氏が東京地検特捜部に、政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載罪)の容疑で逮捕されてからおよそ2週間。衆議院議員総選挙を控え、極めて重大な政治的影響が生じるこの時期に、比較的軽微な政治資金規正法違反の事件で強制捜査に着手した検察側の意図、捜査の実情、今後予想される展開が、おぼろげながら見えてきた。」

まず、今回の小沢公設秘書の逮捕は、大きな犯罪を摘発するための第一段階というより、特捜が軽率に行ってしまったものではないか、ということです。

今の時期、全国の検察はもっとも多忙なときだそうです。3月末の定期大異動を控えて事件の引継を行いつつ、今年はさらに5月から始まる裁判員制度に向けての準備に組織を挙げて取り組んでいるはずです。その忙しい時期に、今回の強制捜査着手後に、東京地検の特捜部以外の他の部のみならず、全国の地検から検事の応援派遣を受けて行われているというのです。
このような泥縄式の捜査が行われているということから、現在の捜査は決して予定してのものではないというのです。
「強制捜査に着手したところ、民主党サイドの猛反発、強烈な検察批判などによって、予想外に大きな政治的・社会的影響が生じてしまったことに驚愕し、批判をかわすため、泥縄式に捜査の戦線を拡大しているということではないか。当初から、他地検への応援要請が必要と考えていたのであれば、強制捜査着手を別の時期に設定していたはずだ。」

小沢公設秘書逮捕容疑の政治資金規正法違反事件ですが、収支報告書の虚偽記載罪が成立するとすれば、献金の名義とされた西松建設のOBが代表を務める政治団体の実体が全くないということが実証された場合のみです。しかし、この政治団体には事務所も存在し、代表者のOBが常駐し、一応活動の実態もあったという情報もあります。検察の思惑通りに犯罪は立件されない可能性が高いのです。


それに代わって、にわかに活発になったのが、東京地検特捜部が東北地方の大手ゼネコンなどの一斉聴取に乗り出したとの報道です。
「まず、この「迂回献金」や公共工事を巡る談合などに関する小沢氏側の新たな犯罪事実を立件できる可能性はほとんどないと言ってよいだろう。」
「 「迂回献金」は、政治資金の寄附行為者の開示だけが義務づけられ、資金の拠出者の開示を求めていない現在の政治資金規正法上は違法ではない。また、2005年の年末、大手ゼネコンの間で「談合訣別宣言」が行われ、2006年以降は、公共工事を巡る談合構造は一気に解消されていった。現時点では2006年3月以前の談合の事実はすべて時効が完成しているので、談合罪など談合の事実自体の立件は考えにくい。また、談合構造を前提にした「口利き」などでのあっせん利得罪の時効期間も同じであり、立件は考えられない。
 そうなると、今回の建設業者への捜査は、新たな犯罪の立件のためではなく小沢氏の秘書の逮捕事実の悪性を根拠づける証拠の収集のための捜査としか考えられない。」
しかし、東北地方の大手ゼネコンをいくら捜査しても、犯罪を摘発することは極めて困難であろうと郷原氏は予測します。


一方、マスコミは毎日一面で捜査状況を報じています。そのニュースソースはほとんど検察リークのようです。マスコミは何の疑いもなく、検察リーク情報を真実の情報として流し続けます。
郷原氏が「大本営発表」といっているのはこの現象についてです。

たとえ小沢公設秘書の容疑が最終的に冤罪、あるいは極めて軽微な犯罪であったとしても、マスコミのこの報道によって世論は大きく動かされています。

そして東京地検特捜部は、たとえどんな微罪であろうと、一度逮捕した容疑者については絶対に起訴に持ち込むことでしょう。その点は、外務省の佐藤優氏の逮捕劇からも明白です。
一方で日本国民と国民に迎合するマスコミは、小沢陣営が真っ白でない限り、つまり公設秘書が不起訴で終焉しない限り、小沢陣営を許さないだろうと推測されます。しかしそんな結末はあり得ないでしょう。
検察に見込まれてしまった小沢氏は、もう浮かぶ瀬がないのでしょうか。


以上から考えると、検察の軽率と片意地によって、日本の政治がズタズタにされてしまったという構図となりそうです。
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