弁理士の日々

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横田宏信「ソニーをダメにした「普通」という病」(2)

2009-03-22 13:28:16 | 趣味・読書
3月12日に引き続き、横田宏信著「ソニーをダメにした「普通」という病」から面白かった点をピックアップします。

「本来、何事にも本質を求めて止まないのがソニー流である。」
横田氏は1980年代後半、イギリスで勤務し、ソニーの欧州テレビ事業で業務プロセスの革新を成功させます。それまで4、5ヶ月先であった生産確定の対象期間を4週間先まで短縮し、同時に在庫も大幅に圧縮するというものです。これはソニー初であり、世界初でもありました。これが、後年世界的なSCM(Supply Chain Management)ブームとなる改革のはしりだったのです。

「機能価値」と「使用価値」
技術者というものは、とかく「機能価値」で勝負しがちであり、特に日本人技術者にその傾向が強いと横田氏はいいます。
それに対し、ソニーが生み出したウォークマンは、ソニーの誇る優れた録音機能を取り去り、再生機能のみを残すことによって大幅な小型軽量化を実現しました。録音という「機能価値」をあえて犠牲にし、ユビキタスな音楽再生という全く新しい「使用価値」を世界に先駆けて生み出したのです。

最近のソニーでは「使用価値」ということばを全く見なくなりました。

《成果主義》
「普通の国際企業の例に漏れず、ソニーも成果主義を導入した。最近のソニーは、よほど『人のやること』がお好きらしい。」
成果主義に基づいて成果序列をつけようとすると、成果を比較する必要があります。しかし、成果を数字化しづらい職種での比較、あるいは異なる職種間での成果の比較をやろうとするため、無理矢理な比較のための無理矢理なコジツケ論理が作られることとなります。
成果主義を導入したとされる企業では、こうした『コジツケの体系』の運用に膨大な時間を費やします。
「人は、コントロールするものではない。
『人はモチベートする』ものである。放っておいても仕事を通じた社会貢献を自立的に楽しめるようにするのが、リーダーたる者の使命なのだ。」
「昔のソニーでは、次のような台詞が飛び交っていた。
『管理職なんかになるもんじゃない、仕事が楽しくなくなる』
『あんまり、金、金って言うな。カッコ悪い』」

「投資家は『お金を活かす』ことを狙って経営者にお金を付託し、経営者は『人を活かす』ことに注力する。これが、投資家と経営者の原理的な役割分担である。」
それが最近は、経営者も普通の投資家のようになり、下にも「お金を活かす」ことを求めるようになります。

《消えた内部統制の鍵「お局さん」》
「お局さんとは、仕事に筋を通すことを何よりも重んじる、経験豊富な職業婦人のことであり、職場の良心である。
ソニーには、たくさんのお局さんがいた。」
お局さんは駄目な上司を容赦しません。お局さんが、若手のみならず管理職をも鍛えていました。
「それに、なにしろお局さんがにらみを効かせる職場では、社会的不祥事など、起こそうにも起こせるものではない。」
「私は、男性に多く見られる『予定調和』の発想を否定する。『予定調和』の発想とは、ビジネスとしての正解を突き詰めるよりも、内輪の納得感を優先した『落としどころ』を最初から狙うというパターンの考え方のことであり、これは世の中の進歩を妨げるものであるが、女性は、総じてそうした発想とは無縁である。
だから、そうした女性の資質というものを、もっともっとビジネスシーンで活かすべきだと私は強く考えており、その意味で、私は女性管理職待望論者でもある。
しかし、お局さんは、自身のキャリア向上を捨てでも職場の良心であり続けることを選ぶ。自分の分担すべき役割を、ここと定めて一歩も動かない。」
「ところが近頃、ソニーを含めて、大企業ではとんとお局さんを見かけない。一方、中小零細企業では、まだまだ健在だ。」

「優れた経営コンサルタントとは、企業経営にまつわる様々な事象を、それらの本質に即して論理的に分類整理する能力、すなわち『構造化能力』を磨きに磨き上げた者のことである。
自らの中にゆるぎない論理の構造物を持ち、ありものの経営手法に軽々に依存することもない。ありものの経営手法に軽々に依存する者は、優れた経営コンサルタントといえるものではない。
そして、この高い『構造化能力』は、実は、優れた経営者の多くにも共通するものである。
そして、優れた経営者は、自らの中にある巨大な構造物を、ほんの一言のメッセージに凝縮する、という高い『抽象化能力』を併せ持つ。つまり、『要は何か』を短く語りきる能力だ。
この『抽象化能力』において、優れた経営コンサルタントは、優れた経営者にはとてもとても対抗できるものではない。完璧に理論立った説明よりも、時に一言だけの『メッセージ』のほうが、人には深く響くものである。
優れた経営者は、『説明』ではなく『メッセージ』で勝負する。」

「私が英国での生活を経験したことはすでに書いたが、英国と言えばパブが有名である。私が住んでいた英国の片田舎には、まだブルーカラーとホワイトカラーにそれぞれ専用のスペースが区画されているパブが残っていて、ある日、そうと知らずにブルーカラーの方へ入っていったとたん、丁重にではあったが、有無を言わさず追い出されたことがある。私がネクタイをしていたので、すぐに分かったのだそうだ。
「私には、国は違えど、その時、肌で分かった。ブルーカラーは、ブルーカラーであることを誇りとし、ホワイトカラーとは違うライフスタイルを楽しんでいるのだと。」
「ブルーカラーとホワイトカラーは、社会的な役割分担でしかない。使う、使われるの感覚は無用だ。それぞれがそれぞれの役割を誇りを持って全うし、時には『俺たちは奴らとは違うのだ』と言い放って、それぞれ独自のライフスタイルで共存共栄していけば良いのだと思う。」
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