大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2011年10月10日 | 写詩・写歌・写俳

<40> 雲  海
      神の座に ありける眺め 雲海に 朝日が射して 見ゆる彩

 朝晩冷え込もようになると紀伊山地のそこここに雲海が見られるようになる。今年は台風十二号による豪雨が各地に甚大な被害を及ぼし、通行もままならず、この時期になるといい雲海が見られるので出かけたくなるが、災害の復旧作業に追われる地元を思うと足が向け難い。
 しかし、そう思えば思うほど恋しさはつのるもので、 見たくなる。 で、フィルムライブラリーのファイルをめくって以前に撮影した写真を取り出してみた。 雲海は早朝に見られるので、 午前二時から三時ごろ起床して出かけなくてはならない。 写真を見るとそのときのことが思い起こされる。
 紀伊山地での撮影ポイントは大台ケ原山や釈迦ヶ岳など幾つもあるが、 何と言っても名高いのは野迫川村で、 池津川の標高一一〇〇メートル付近から荒神岳 (一二六〇メートル) にかけての道路脇からの眺めがあげられる。 写真はそこから眺望したもので、野迫川村も推奨している。そのよさは車で撮影地点まで行ける便利さにある。

            
 写真はほぼ東に向いて撮影するので後方に遠く大峰山脈の連なりが見え、朝日がその山並みから現われると、その光線によって雲海は一変して彩雲の広がりとなり、その眺めはまさに神々しくみごとである。日はぐんぐんと昇り、開けた視界は明るさを増して、彩雲は白一色になるが、その眺めもまた一味違った味わいがある。 雲海が著しい時は場所を変えて撮ることも可能であるのがこの場所の今一つのよさであるが、撮影を十分に行うには下見をしておくのがよいと思う。 因みにこの写真は立冬のころの撮影で、日は釈迦ヶ岳の南隣りの大日岳付近から昇った。
   雲海の 彼方に見ゆる 大峰の 山並みはるか なりにけるかも
                                     


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