<899> マスメディアに関する百の断章 (1)
厳しかる 日々連綿の 思惟にして ありける言葉 明晰であれ
思うところがあって約四半世紀前に報道を基軸とするマスメディアに関する百の断章を試みたが、ここに一部を変更して紹介する。このほど、自称耳の聞こえない作曲家が偽であったということが露見して、騒動になっている件に、NHKをはじめとするマスメディアが大きく関わっている由々しさが思われ、マスメディアの猛省を促す意味もあって、この百の断章を発表する気になった。
何故十八年間も偽が見破れず、その偽作曲家は活動出来たのか。信頼されているNHKがその偽作曲家の特集番組を制作し、放映したこと。この点が、実に深刻な問題点を孕んでいること。そこが思われる次第で、ドキュメントとしての番組制作において脚色されたところはなかったのかというような点も含め、番組の検証が必要ではないかというようなことが思われ、百の断章を述べることにしたわけである。写真はソチ冬季五輪のノルディックジャンプ男子団体で銅メダルを獲得した日本選手の表情を伝える今日二月十八日の夕刊(左)と昭和十六年十二月の太平洋戦争開戦時の朝刊(右)。新聞が時事によって作られ、世相を反映しているのがよくわかる。では、百の断章を以下に記す。
新聞・・・・・・・・・・世の鏡。日々を映す。
テレビ・・・・・・・・・現代人の孤独に寄り添う第一人者。だが、その地位はスマートフォンに奪われつつある。
記事・・・・・・・・・・記者が目指すもの。理想は詩と同じ意義を持たねばならない。
ニューズ・・・・・・・すぐに色褪せる宿命としてある情報。
記者・・・・・・・・・・観察力と分析力と認識力と理解力と判断力と表現力。加えて、信頼力。
コラムニスト・・・・常識論に衒学の衣を纏わせて論を展開するインテリゲンチャ―。
写真記者・・・・・・今という時を写し込まなければならないという研ぎ澄まされた感覚。
報道写真・・・・・・記録性のみならず象徴性も重要な要素である。常にインパクトが求められる。
編集者・・・・・・・・ニューズの価値評価そのものたる自尊心の持ち主。
宣伝・CM・・・・・・イメージをよくするための魂胆。
事件・・・・・・・・・・世間の規範、常識を逸脱した人に関わる異常な出来事。
見出し・・・・・・・・・把握力と修辞力の結晶。
談話・・・・・・・・・・記事の論または信憑性を補うための方途。または、記事の権威付け。
雁首・顔写真・・・主役と道化。または、栄誉と憎悪と同情の対象。
やらせ・・・・・・・・御都合主義。
特ダネ・・・・・・・・特オチの悲哀の側面を生じさせる記者の喜びの一端。
被害者・・・・・・・・同情の眼によって俎上に置かれる相対者。
加害者・・・・・・・・被害の認識が生じるとき見られる相対者。
現場・・・・・・・・・・当面して真実を探る記者たちの苦闘の場。
表現の自由・・・・責任の伴うことを忘れるな。
醜聞・・・・・・・・・・血を見ずして人を殺める言葉の刃物。滑らかなるを常とする。
プライバシー・・・すべての人格が秘かに所有して負うところの内実。
ファッション・・・・・美しく誇示しようとする欲望の表現。
思想・・・・・・・・・・例えば、我が清潔な掌にある。
世の中・・・・・・・・例えば、赤橙黄緑青藍紫。赤外と紫外も連想せよ。
推理・・・・・・・・・・崩せない砦に向かって逞しくする想像。
客観性・・・・・・・・同病あい哀れむものの間においては決して発展しない属性。
主観性・・・・・・・・これを捨てて人は十分に生きることは出来ない。
硬派・・・・・・・・・・知性に訴える形の記事。
軟派・・・・・・・・・・情感に訴える形の記事。
スポーツ・・・・・・・肉体的見地。如何に精神のことを言えども。
~次回に続く~
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