<2747> 大和の花 (846) ヤマトキソウ (山鴇草) ラン科 トキソウ属
高原や山地の日当たりのよい草地に生えるトキソウ(鴇草)の仲間の多年草で、茎は10センチから20センチほどの高さになる。葉は長さが3センチから7センチほどの長楕円形で、茎の中央付近に1個上向きにつく。質はやや厚い肉質で、先はやや尖り、基部は狭くなり茎に流れる。なお、花の直ぐ下に葉状の苞が1個あり、全体で2葉に見えるところがある。
花期は6月から8月ごろで、茎頂に淡紅色の1花を上向きにつける。花弁や萼片は長さが1.5センチほどと小さく、唇弁の内面に紅紫色の肉質突起が見られる。花はほとんど開かない。ヤマトキソウ(山鴇草)の名は山に生えるトキソウの意で、トキソウ(鴇草)の名は花の色がトキ(鴇)の羽の色に因むという。
北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島、中国、台湾に見られるという。大和(奈良県)では絶滅までは進んでいないようであるが、ほとんど見られなくなり、出会えればラッキーと言われるほど少なく、レッドデータブックは絶滅寸前種にあげている。 写真は1茎1花のヤマトキソウ(曽爾村)。 生の身の強さと弱さこの身にもこれやまさしく一様ならず
<2748> 大和の花 (847) ミズトンボ (水蜻蛉) ラン科 ミズトンボ属
ミズチドリ(水千鳥)と同じく、日当たりのよい湿地に生える多年草で、直立する茎は40センチから70センチほどになる。葉は長さが5センチから20センチほどの線形で、鞘状になって互生する。
花期は7月から9月ごろで、茎の上部から先端にかけて総状の花序を伸ばし、淡緑色の小さな花をつける。花は背萼片、左右の側萼片と側花弁、3裂して十字状になって長く垂れ下がる唇弁、先が球状に膨らむ距などからなり、花がトンボに似て、水湿地に生えることによりこの名がある。
北海道の南部、本州、四国、九州に分布する日本の固有種で、大和(奈良県)では自生地、個体数とも限られ、極めて少ないことから、レッドリストに絶滅危惧種としてあげられている。 写真はミズトンボ(曽爾村・左は早朝、中は昼間、右は花のアップ、十字形の唇弁が長く伸びて垂れ下がり、花にとまるトンボを思わせる)。 不束に生き来し身にはあるけれどこの身は逸る思ひの坩堝
<2749> 大和の花 (848) サギソウ (鷺草) ラン科 ミズトンボ属
湿地や湿原に生える多年草で、地中の塊茎から地下匐枝を伸ばして新しい塊茎をつくる。地上茎はこの塊茎に立ち上がり、15センチから40センチほどの高さになる。葉は広線形で、茎の下部に3個から5個が互生し、下のものほど大きく、長さは5センチから10センチほどになる。葉の先は尖り、基部は鞘状に茎を抱く。
花期は8月ごろで、直径3センチほどの純白の花を開く。花は唇弁が大きく、3裂して側裂片が左右対象形に開いて、糸状に深く細裂するので、シラサギが純白の翼を広げて舞っているように見えるので、この名があるという。なお、淡緑色で線形の距が3、4センチほど花の後に垂れ下がる。
本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島と台湾に見られるという。園芸用に販売され、それほど珍しくないが、全国各地で自生地の危機と野生の保護育成が訴えられているほど激減しているランで、環境省は準絶滅危惧に、大和(奈良県)では自生地がごく限られ、個体数もわずかで、絶滅寸前種にあげられている。写真はサギソウ(奈良市)。美しむことの喜び人生の旅の間に幾たびやある
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます