<1086> 八月の終わりに思う
千に一 仮に眼の千あらば その一景は千の一景
時は滞ることなく過ぎてゆくものである。このことについてはこの間も触れたが、熱戦を繰り広げて来た高校野球も今日が決勝で、大阪代表の桐蔭高校が三重代表の三重高校を破り、全国制覇して大会を終えた。この八月は広島の土砂災害など各地に豪雨被害をもたらしたが、時は流れ、八月も残すところ後わずかになった。子供たちには長い夏休みも終わりに近く、そぞろ気分の子もいるのではないかと察せられる。今年の夏はどうだったのであろうか。いい思い出はつくれたろうか。
楽しく過した人もあろう。中には辛い経験を味わった人もいるだろう。千人あれば、千の眼があり、その千の眼に映る一景は千の一景で、千の心に至る。そして、心に感じ得た人には思い出として残り、懐旧へと収められてゆく。「花は時間に属している」とは万葉学者中西進の「花のかたち 日本人と桜」の中の言葉であるが、花は時を得て開き、そして、散ってゆく。所謂、この花は生の象徴として言われているもので、命あるものは、時に統べられ、時に従って生を全うしなければならないように出来ていることをも含んでいることがわかる。
不幸に見舞われた人たちには言葉のかけようもないが、それもみな時の流れの中にあること。あなたにとっての一景は何であったろうか。このひと夏の経験が、以後の人生において有効な糧となり、恵みに繋がらんことを思う次第である。時は止まらず、時は流れ、そして、夏の花にはまた夏の時が巡り来ることが思われる。 写真は夏のイメージで、川遊びとヒマワリの花。
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