<2578> 余聞、余話 「法隆寺の消防訓練」
放水と高さを競ふ寒の塔
文化財防火デーの二十六日、奈良県斑鳩町の法隆寺(世界文化遺産)で消防訓練が行われた。西和消防署、地元斑鳩町の消防団、法隆寺の関係者らによって防火祈願の法要の後、午前十一時から消防車六台と消火栓によって一斉放水が行われた。
今年の放水は昨年までの聖霊院前鏡池畔から正面の中門(国宝)前に変更され、避難誘導、救助訓練も加えられ、大々的に行われた。昨年末中門の解体修理が完了し、壁画焼損七十年、消防訓練が始められて六十五年目に当たることによるという。
なお、この消防訓練は昭和二十四年一月二十六日(一九四九年)、解体修理中の金堂(世界最古の木造建築物・現国宝)から出火、金堂は全焼を免れたが、壁画を焼損(現重要文化財)した。国はこの火災を機に、文化財の保護強化のため、文化財保護法を定め、一月二十六日を文化財防火デーとした。これにともない法隆寺では毎年この日に消防訓練を行うようになった。
今日は寒波の襲来で雪模様の雲の多い天候だったが、中門前に変更された一斉放水は五重塔や中門などの国宝の建物群を背景に高々と上げられ、五重塔も中門も放水の水の勢いに霞んで見えなくなるほどだった。見物の人たちは放水の雨に濡れながらスマホのカメラを向けるなどしていた。 写真上段は一斉放水、下段は避難訓練(左)と救助訓練(右)。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます