<2622> 余聞、余話 「コゲラの巣作り」
コゲラにも春が来てゐる懸命に巣作りしをり日差しを浴びて
ナラ枯れの被害が及んで立ち枯れたコナラの伐採が進む奈良県営の馬見丘陵公園の雑木林で、伐り残された木の幹にキツツキの仲間のコゲラが巣作りを始めた。遊歩道の傍で、カメラを向ける人や見上げる人で話題になっている。あまり刺激をしないように見守りたいものである。
コゲラはキツツキ科アカゲラ属の小鳥で、全長約十五センチ、日本をはじめ東アジアに広く分布する留鳥で、キツツキの仲間の中で最も小さく、最近は都市部の公園にも姿を見せる。人をあまり恐れないところがあり、丘陵公園の園地にもかなり見られる。木につく虫などを食べる益鳥で、公園には樹木が多く、コゲラには適した環境にあるのだろう。この間から活発に動いているが、春本番を前にいよいよ巣作りに入ったようである。
巣作りの木は伐り残された幹が直径二十五センチほどの高木で、灰白色の滑らかな樹皮に縦向きの皮目が見られるが、小枝も葉もなく、半枯れ状態で、はっきりした樹種はわからない。近辺ではナラ枯れのコナラの大きな木が伐られ、明るく見通しが利くようになった。巣作りしている半枯れの木は、巣作りしていたので伐られなかったのかどうか定かでないが、コゲラにはこの木が気に入ったものと思われる。
巣穴は高さが十メートルほどの幹の真横に空けられ、円形の入口は直径五、六センチほど。コゲラはその入口の端に掴まり、頻りに頭を穴に突っ込み、嘴で木屑を放り出し、時々その穴に入って穴の大きさを確認していた。巣穴の完成はいつごろになるのだろう。撮影は先週の土曜日だった。写真を部分拡大してみると、微かではあるが後頭部に赤色を帯びた毛があるので、オスと思われるが、定かにはわからない。
オスが巣を作ってメスを迎え入れるのだと話す人もいた。そうに違いない。この間から活発に枝を渡っていたコゲラについても写真を拡大してみたところ、後頭部にわずかながら赤色を帯びた毛が見えるので、巣作りに適当な木を探していたのかも知れないと想像される。とにかく、コゲラには子孫を残す生の権利と義務において懸命に働いているという感じである。
写真上段は巣作りの場所を探す?コゲラ(左・6日)と巣穴に入って居心地を確かめる?コゲラ(右・9日)。写真下段は巣作りに懸命なコゲラ(9日)。嘴でしきりに木屑を放り出していた(いずれも馬見丘陵公園)。
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