<3215> 写俳百句 (2) 満 月
心象へ 月下の眼 誘はる
出来上がったばかりの斑鳩溜池の周遊道で三脚を立て満月の昇り来るのを撮っていたら年配の夫婦らしい二人連れがやってきて、おやっと思いレンズが向けられている方角へ目をやったのだろう、女性の方が「ああ満月やわ、池に映っていいわね」と、立ち止まって話しかけた。
現れたばかりの月だったので気がつかなかったのに違いない。写真を撮る身に昇り来る月のスピードは結構速く、私が月と月の光が帯になって映り込む池面との露出の関係を気にしながらシャッターに集中していたので、声が掛け辛かったのに違いない。二人は「こういうところで写真を撮るんだ」と話しながら去って行った。
月はあっという間に高く昇り、400ミリレンズに変えて、月のアップを抑えて帰路についた。薄暮のときが過ぎ、大和平野の町明かりがはっきり浮き立って見えるころ、月は空高く輝き、遍照の静かなる光景を見せていた。写真は池に映り込むこの秋最後の満月。
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