<2572> 余聞、余話 「 大 寒 」
命あるものの営み何処にもそれぞれにありそれぞれにして
今日二十日は二十四節気の最後に当たる大寒で、暦の上では最も寒い日とされる。この日を境に徐々に暖かくなり、立春を迎える。今日の大和地方は雨模様で、それなりに寒いけれど、大寒のイメージには遠い感じである。昨日はよい晴れの天気だったので馬見丘陵公園を歩いたのであるが、今日よりも暖かく、暖冬を感じた。野鳥を撮影している人に話を聞くと、昨年群れをなして北国からやって来たレンジャク科のヒレンジャクやキレンジャクの姿が今冬は見られないという。理由は冬が暖かく、北の鳥たちにはここまで南下しなくてもエサにありつけているからではないかという。
そうかも知れないと思いながら歩いていると、その暖冬の異変か、仲よくしているカルガモの番が目に留まった。オスとメスに違いなく、向き合ってともに嘴を水面につけるリズミカルな動きを始めたので、カメラを取り出して望遠レンズで二羽に焦点を当てた。公園の下池でのこと。二羽の幸せそうな光景は波紋となって広がる感があった。
下池にはカモ類が多く、あまり人に警戒心を持たないコガモやオオバンとともにカルガモも人の集まる岸近くまで来る。そんな中でカルガモ二羽が水辺の片隅で親密にしているのが見られたという次第である。顔を突き合わせている二羽には何かが起きる予感がした。という雰囲気が感じられ、カメラを向けたのであるが、予感は的中し、体の一回り大きいオスがメスの斜め横に回り込み、素早くメスの上に乗った。その瞬間メスは水に沈み込み、悲鳴に似た一声を発した。
それは一瞬の出来事で、連続して四コマほど撮影した後、オスはメスから下りて離れた。まさに交尾の光景だったが、この日はメジロにも交尾の一瞬が見られた。メジロの方は落葉と雑木に邪魔され、今一つ十分な写真にならなかったが、これも暖冬の影響によるのかも知れない。それにしてもこの大寒の時期にという気がした。そして、それは暖かな冬がそう仕向けているのだろうと思えたことではあった。
これらの写真については、秘めて置くべきという考えも頭の隅を過ったが、倫理に障るほどでもなかろうし、鳥も生あるものなれば、斯くはあるという思いによって掲載に及んだ。番うカルガモの愛の行為による波紋が美しく見えた。 写真上段はむつみ合うカルガモの番。写真中段は寄り添う番(左)、交尾に入った番(中)、交尾を終えて離れる番(右)。写真下段はメジロの交尾の様子(いずれも馬見丘陵公園)。
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