大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年06月25日 | 植物

<3086>  大和の花  (1060) スズタケ (篶竹)                                     イネ科 スズタケ属

                 

 タケとササはよく似るが、タケは大形、ササは小形で区別される。また、稈鞘が稈から離脱するか否かによって判別され、離脱するものをタケ、離脱せずいつまでも稈についているものをササとする。この基準から見れば、スズタケはその名にタケとあるが、小形で、稈鞘が離脱しないので、ササ類に分類される。

 茎に当たる稈は直立し、上部で枝を分け、1節から1個の枝が出て、高さが1メートルから3メートルほどになる。節に膨らみがなく平坦なのが特徴で、稈鞘は節間よりも長いので、稈面の見えないのが普通である。葉は披針形。薄い革質で、毛は見られない。葉鞘は紫色を帯びる。

 タケ、ササ類は開花結実すると、株全体が枯死する1稔性の植物で、この性質はシシウドなどセリ科の植物にも見られ、タケは50年、ササは30年に一度の割合で開花するという。で、タケやササの花は珍しく、思うようには見られないところがある。スズタケは枝先に円錐状の花穂を出し、5個から10個の小花からなる披針形の小穂をつける。小穂は紫色で、淡黄色の雄しべがぶら下がる。

 北海道南部、本州の太平洋側、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島に見られ、ブナ林の林床に多く、大和(奈良県)でもその傾向にあるが、近年シカの食害によって枝先の芽が食べられ、少なくなっていると言われる。別名スズダケ、ミスズ。信濃の枕詞「みすず刈る」のみすずはスズタケを言うようである。 写真は花を咲かせるスズタケ(左)、花序のアップ(中)。以上はブナ林下の個体。右の写真は直立して花をつける個体で、草原のもの。いずれも大峰山脈での撮影による。   黴の香や書棚の奥の名詩選


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