<2888> 大和の花 (951) カラスウリ (烏瓜) ウリ科 カラスウリ属
藪状になったところに生えるつる性の多年草で、巻きひげを他物に絡め、細い茎が3メートルから5メートルほどに伸びる。葉は長さが6センチから10センチの卵形または卵心形で、浅く3裂から5裂する。茎や葉の表面に白色の粗い毛が生えている。
雌雄異株で、花期は8月から9月ごろ。葉腋に白色の花をつける。花は夕方に開き、翌朝に閉じる。花冠は5裂し、裂片が糸状に細長くなりレース編みのような模様になって広がる。これは花粉を媒介するガに注目してもらうためだと言われる。実は長さが5センチから7センチの楕円形で、晩秋のころ朱赤色に熟す。花は夜に咲くのであまり知られないが、色づく実はよく目につく。
中国原産とされるが、本州、四国、九州に自生分布している。カラスウリ(烏瓜)の名は熟した実をカラスが好んで食べるウリと見たことによると1説にある。根をキカラスウリ(黄烏瓜)の代用とし天花粉(てんかふん)に。また、民間薬として、熟した実を潰してひび、しもやけ、あかぎれなどに用いて来た。一方、漢方では根を通経、利尿などに、種子を去痰、鎮咳などに用いる。写真はカラスウリ。夜中に開いたレースのような模様の花(右)と周囲が枯れ木の中でぶら下がる朱赤色の実。 烏瓜がんばってゐる実の赤だ
<2889> 大和の花 (952) キカラスウリ (黄烏瓜) ウリ科 カラスウリ属
カラスウリと同じく薮のようになったところに生えるつる性の多年草で、巻ひげによって他物に絡み細い茎を伸ばす。葉は広心形で浅く3裂から7裂し、裂片の先は丸く、ときに尖るものもあり、無毛にして濃緑色。表面には光沢が見られる。
雌雄異株で、花期は7月から9月ごろ。カラスウリと同じく、花は白色で、夕方開き、翌朝に萎む夜型。花冠は5裂し、裂片の先が広がって、更に先端が糸状に細裂するが、カラスウリほど長くならない。実は長さが7センチから10センチの楕円形、乃至広楕円形で、黄色に熟す。この実の熟した色によりこの名がある。
北海道(奥尻島】、本州、四国、九州に分布する日本の固有種で、カラスウリほどではないが、大和(奈良県)ではそこここで見られる。根を日干しにしたものを括楼根(かろうこん)と称し、煎じて解熱、利尿薬とする。また、乾燥した種子を括楼仁(かろうにん)と呼び、煎じて咳止め、去痰に用いる。最もよく知られるのは根から採れるデンプンにより作られる天花粉(てんかふん)で、肌の弱い幼児などに用いられる。 写真は群がって咲く花(左)とぶら下がる黄色い実(右)。 落葉す移ろふ時を生きてゐる
<2890> 大和の花 (953) モミジカラスウリ (紅葉烏瓜) ウリ科 カラスウリ属
つる性の多年草で、山地の林縁などに生え、他物に絡んで伸び上がる。葉は他種より大きく、掌状に5から9中裂、または深裂し、両面に短毛が生え、少しざらつく。雌雄異株で、花期は6月から8月ごろ。葉腋に長い花柄を伸ばし直径5、6センチの花冠が白色の花をつける。花冠は5深裂し、裂片の先端が更に糸状に裂ける。実は液果で、長さが10センチ前後の楕円形。緑色から黄色に熟し、縦に模様が入る。
本州の近畿地方以西、四国、九州に分布する日本の固有種で、大和(奈良県)ではカラスウリほど多くないが、谷筋の林縁などで見かける。葉の形がモミジに似るのでこの名がある。写真は花期の姿と雄花のアップ(金剛山)。 底冷えや生きるといふは努力なり
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