<3284> 奈良県のレッドデータブックの花たち (4) アケボノツツジ (曙躑躅) ツツジ科
[別名] ベニヤシオ(紅八汐)
[学名] Rhododendron pentaphyllum
[奈良県のカテゴリー] 希少種、注目種
[特徴] 山地の岩崖地や疎林内など水はけのよいところに生える落葉低木で、よく分枝し、高さ3~6メートル。枝先に広楕円形の葉が5個輪生する。花期は4~5月ごろ。葉の展開前に花冠が5深裂する淡紅紫色の漏斗形の花を枝先に1~2個つけ、満開時にはいっぱいになる。花冠の裂片はまるみがあり、先端がわずかに凹む。花の色を曙の空に見立ててこの名がある。
[分布] 日本の固有種(襲速紀要素系の植物)で、本州の本州の紀伊半島と四国の山岳に自生。九州には仲間で花糸が無毛のツクシアケボノツツジ(筑紫曙躑躅)が自生する。
[県内分布] 台高、大峰山脈の標高約1300メートル以上の山岳。川上村の白鬚岳(1378メートル)が分布の北限とされ、注目種にあげられている。三重県の鈴鹿山地より北にはよく似た花をつけるアカヤシオ(赤八汐)が分布する。
[記事] 大和地方はツツジの宝庫で、いろんなツツジが自生するが、中でも本種は艶やかな花を咲かせ、五月晴れの下ではよく映え、印象的である。自生地が限定的で、個体数も多くないが、大峰山脈の釈迦ヶ岳(1800メートル)南方斜面と大日岳の山腹、岩尾根の群落はトサノミツバツツジと混生し、花期には新緑と相まってみごとな眺めになる。私の印象では大和の花風景の五指に入る。
花は結実への過程
結実の約束を負って働く
美しい花は
その美しさによって
その約束の義務を果たす
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