<1409> 大和山岳行 (19) 古 光 山
晴渡る 秋の山顚 気持よし
好天に恵まれた六日、奥宇陀の曽爾村と御杖村の境界に位置する古光山(こごうやま・九五三メートル)に登った。のっけからロープの張られた急登で、滑りやすい足場が続き、身を低くして登った。古光山は標高一〇〇〇メートルに満たない低山であるが、のこぎり状の岩山で、山頂の尾根筋は南のピークである南峰(九六〇メートル)から北のピークで三角点のある山頂(九五三メートル)まで、ピークと鞍部のアップダウンが続く。最後は古光山と後古光山の鞍部に当たるフカタワまでの長い切り立った岩場の急勾配があり、注意を払って下った。
今日は後古光山には登らず、フカタワの分岐を右にとって、御杖村の「みつえ高原牧場」側に下って、牧場を見ながら車の駐車位置に戻った。この辺りはススキでよく知られる曽爾高原に近い標高七〇〇メートルほどの高原地帯で、牧場には牛が放牧されているが、環太平洋パートナーズシップ(TPP)が懸念されるところだろう。
思うに、現地の立地を生かし、曽爾高原と「みつえ高原牧場」のタイアップにより観光牧場に転換し、都会人や海外からの観光客を呼び込むようにする。言わば、この高原を一つの観光地にもってゆく。ということが過疎化に悩むこの地方にとって一つの得策として考えられる。それぞれがちまちまやっていては納まりがつかない時代になっている。言わば、総合的にこの高原地帯を生かす方策が必要である。そういう意味で言えば、このほど締結の運びになった環太平洋パートナーズシップ(TPP)は一つの契機ではないかと思われる。外国人が多く訪れるようになった昨今の風景を思うにつけ、一考の価値があると考えられる。
「みつえ高原牧場」が望まれる道を歩きながらこのように考えたのであったが、話を山に戻すと、山頂付近はアセビやリョウブ、ネジキなどが目につく灌木群にミズナラやカエデ類などの落葉高木が混じる自然林で、みごとに紅(黄)葉し、その彩る葉が散り始めているときだった。足許にはイワカガミの類がそこここに見られ、同じような標高の金剛山や葛城山と異なる植生風景が見られた。シカの出没はないような険しい山なので、ほかにも花の時期には珍しいものが見られるかも知れない。
短距離ではあるが、これまでに登った山の中で、この古光山の登山道はベスト3に入るほどの厳しさがあった。しかし、露岩のピークからの大観望はよく、周辺の山並が遠くまで見渡せ、晴天の今日は最高の眺めだった。 写真左は露岩の南峰から望む曽爾の山並(右端は鎧岳、左端は住山)。中はカエデの紅葉。右は古光山山頂の標柱。
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