<803> 初 霜
初霜や 妻の声して 起床せり
今朝は雲一つない快晴で、奈良大和はぐっと冷え込んで、霜を見た。午前六時過ぎ、妻が窓の外を見て、「霜が降りている」というので起きて見た。隣の屋根が一面に白くなっていた。今冬初めての霜である。写真を撮る気になって、早速、近くの田んぼに出かけた。陽の射しているところでは融けて水滴になって輝いて見えた。
日蔭ではまだ融けずに残っているのが見られたのでそれを撮った。カタバミの葉によく残っていたので、それを集中的に撮った。カタバミはハート形の小葉を三個つけ、昼間には葉柄を軸にその三個の小葉が水平に開くが、就眠運動をするため、夜になると閉じる。カタバミの名は、この閉じられた葉の上部が食われたように欠けて見えることによって傍食(かたばみ)と言われ、これが和名になっている。春から秋にかけて黄色い花を咲かせる。暖かいところでは冬でも花を咲かせる旺盛なカタバミ科の多年草である。
霜が縁飾りのように見えるのは、葉から出た水分が凍ったもののように思われるところがあるが、屋根や藁なんかも白くなっているのを見れば、大気中の水分が凍って付着したとも言える。もしかしたら、両方かも知れない。日中はそれほど寒くなく、気持ちのよい一日だった。写真は霜に被われたカタバミの葉。霜はビーズのようにも氷砂糖のようにも見えた。
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