<1733> 余聞・余話 「木本植物の分類 (1)」 ( 勉強ノートより )
前回草本について見たので、今回は木本について見てみたいと思う。樹木は樹高や樹幹などの形状によって分類され、それは個体個々の形状を言うものではなく、種の平均的状況において見るもので、ある一定の基準によって決められている。まずはその高さと形状による分類を見てみたいと思う。ただ、その基準は厳密に定められているものではなく、便宜的に決められているところがうかがえる。
高木(喬木) ―――主幹がはっきりしていて高さが概して8メートル以上に及ぶもの。森林では高木層を形成する。例えば、モミ、スギ、ヒノキ、ブナ、ミズナラ、ケヤキ、トチノキ、サワグルミ、ヤマザクラ、センダン等々。これらは日本の温暖帯の代表的な高木(喬木)である。高木の中で極めて高く30メートル以上に及ぶものは超高木と称せられ、世界的にはユーカリやセコイアなどが代表木にあげられている。
小高木(亜高木) ―――主幹が明瞭で、高さが概して3メートルから8メートルのもの。森林では小高木層を形成する。例えば、ヒメヤシャブシ、タカネザクラ、カマツカ、ミネカエデ、ヤマウルシ、ムシカリ、クサギ、ヒイラギ、ネズミモチ、ハクウンボク、アサガラ等々。
低木(灌木) ――-通常根際または地下部で幹が分れて主幹がはっきりせず、高さが概して3メートル以内のもの。森林では低木層を形成する。例えば、クサボケ、シモツケ、ユキヤナギ、ネコヤナギ、ウツギ、レンゲツツジ、ガマズミ、ムラサキシキブ、イズセンリョウ、イボタノキ、ヤマアジサイ、クコ、メギ、ヘビノボラズ、サンショウ等々。
半低木(亜低木) ―――低木同様の特徴にあるが、幹の根際部分だけが木化する植物で、低木の中でも低い部類に属し、草と木の中間の性質を持つもの。例えば、ヤマブキ、モミジイチゴ、ヤマハギ、コウヤボウキ等々。
小(超)低木(矮性低木・匍匐性低木) ―――低木と同様の性質を持ち、高さが30センチ以下のもの。林内では草本層を形成する。所謂、地表植物に当たる。例えば、ミヤマシキミ、ヤブコウジ、イワナシ、ツルツゲ、ツガザクラ等々。
なお、高低、大小を含め、蔓によって成長する蔓性木本がある。これは草本にも言えることであるが、蔓によって他物に絡んで伸びてゆくもの。例えば、ツルアジサイ、イワガラミ、フジ、トリガタハンショウヅル、ヤマブドウ、サンカクヅル、ツルウメモドキ、ツルマサキ、ツタウルシ、テイカカズラ、アケビ等々。クズは大きくなるけれども、草本であり、トリガタハンショウヅルやシロバナハンショウヅル、アケビなどは木本に分類されている。
写真はそれぞれを代表して左から高木のトチノキ、小高木のクサギ、低木のヤマアジサイ、半低木のコウヤボウキ、小(超)低木のイワナシ、蔓性木本のフジ
落葉して木々の様相一変す その木々あっけらかんとしてあり