山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘14年 北海道旅くらしのレポート <第22回>

2014-08-10 07:12:47 | くるま旅くらしの話

【今日(8/10)の予定】 

  川湯温泉園地 →(道道)→ JR川湯温泉駅 →(道道)→ 摩周湖散策 → その先未定

 

【昨日(8月9日:土)のレポート】天気: 曇り

<行程>

道の駅:うとろシリエトク →(R334・道道)→ 小清水温泉ふれあいセンター →(道道)→ 道の駅:パパスランドさっつる →(道道・R391)→ JR川湯温泉駅 →(道道)→ 川湯温泉園地 (泊)

<レポート>

 昨夜は大いに盛り上がって、たっぷりと旧交を温めたのだった。その後も雨は降り続いていたが、さすがに朝方になると飽いて来たらしく、雨音は止まって少しばかり青空が覗いていた。今日は雨は降らないような予感がした。5時に起き出しブログの掲載を終えて、そのあとは付近を少し散策し、簡単な朝食を済ました。隣のイナオカご夫妻はゆっくりと起きる習慣らしく、起き出されたのはそのあと大分なってからだった。どうも自分はせっかちの塊のような気がして少し反省した。その後、昨日は雨で登れなかったオロンコ岩のてっぺんに行ってみようと、カメラを持って出掛けることにした。ここには名所としてのオロンコ岩とゴジラ岩がある。ゴジラ岩には登れないけど、オロンコ岩には階段が作ってあり、そのてっぺんは天然の植物園となっている。

  

オロンコ岩。真ん中にトンネルが見えるが、これは世界遺産観光の船が発着する港へ続くもので、実際は岩の端の方に作られている。工事中なので岩の全容を収めようとするとこのような写りとなってしまった。

  

ゴジラ岩。この写真は二つの岩が重なっているけど、手前の方がゴジラ岩と呼ばれているらしい。二つ合わせると巨大な怒れる顔の亀のようにも見える。

 5分ほどで上り口に到着。見上げる巨岩で、遠くから見るよりもはるかに迫力がある。この岩の形成の歴史がどうなのかは知らないが、柱状節理の部分もあり、大昔の火山岩の一つなのかもしれない。高さが60mもあり、周囲は1kmはあるのではないかと思われる巨岩である。このてっぺんに行くには、高所恐怖症気味の自分にはかなりの勇気が必要である。とにかくてっぺんに着くまでは下を見ないようにして足元をしっかり確認しながらの登りだった。途中の道脇にここに多くみられるイブキジャコウソウがまだ咲き残っていないかと期待しながら行くと、あった、ちゃんと可憐な花を咲かせて待っていてくれた。嬉しかった。怖さも忘れてカメラに収める。何故か、この花は登り道の狭い岩の片隅は好きな場所らしく、もし道が付いていなかったら決して見ることができないに違いない。嬉しくなって何枚もの写真を撮った。間もなくてっぺんに上がって散策道を一回りする。小さな散策道で、100mほどしかない。その周辺は自生している植物で埋まっている感じがするのだが、もはや殆どの植物が花期を終えてしまい、残っているのはヤマハハコとナンテンハギくらいだった。その中に辛うじて花を咲かせていたエゾトリカブトを見つけて嬉しかった。何年か前にここに登った時には、花期の最盛期で、神秘的な天国の花園にいるような錯覚を覚えるほどだったのだが、ほんの少しの季節のズレにも花たちは敏感に反応しているようである。ゆっくりと、一回りし、恐々と下方を見下ろすと、ゴジラ岩がしたでみるのとは少し違った全容を晒していた。また、道の駅の海側の方に建設中の新しい港なのか或いは魚市場なのか、コンクリーの大きな施設がクレーンの動きの中に形作られていた。今度来るときには出来上がっているのかもしれない。また、ここも変わるなと思った。そのあとは、恐怖の下山となったが、イブキジャコウソウなどに慰められながら、手すりにしっかりと掴まって、一歩一歩をしっかりと下ろして、ようやく着地する。花は少なかったけど、やはり恐怖と闘ってもここへ来た時にはオロンコ岩に登らなければならないなと思った。

  

岩肌をなでるように優しく咲くイブキジャコウソウの花たち。ほんのりと香るのは、ジャコウとやらの香りなのかも。

 車に戻り、その後しばらくイナオカさんご夫妻と歓談しながら過ごした後、10時半過ぎにお別れを告げ道の駅を後にする。イナオカご夫妻は我々とは反対のコースを行かれるとのこと。また何処かで再会が叶えば良いなと思いながらの出発だった。今日のこれからの予定といえば、とにかく小清水町の温泉に行き入ることと、そのあとは弟子屈町の川湯温泉か摩周温泉辺りに行ってゆっくりしようということくらいしか考えていない。はっきりしているのは小清水町までである。オシンコシンの滝の脇を素通りして、海岸線から少し離れて、そのまま斜里町の中心街の方に向かって走り続ける。オシンコシンの滝は北海道の名瀑の一つに間違いないのだが、その前を素通りするのも豪勢じゃないかなどと、愚にもつかぬことをいいながらの通過だった。もう何度も見ているので、写真もいいやという横着心が働いたのだった。

 斜里の中心街辺りを通過して、畑の広がる中を走る道を辿って間もなく小清水町の役場近くにある運動福祉施設などの集まったエリアにあるふれあいセンターという所に到着する。ここに源泉かけ流しの小清水温泉がある。ここもHOに掲載されており、半額で入れるのでそれを利用させて頂いたというわけ。一人200円也で良い湯を味わわせて頂いて満足する。昼どきなので、入浴の後はジャガイモを茹でるなどして北海道を味わいながらの昼食を済ませた。今日は土曜日で、お盆近くとなっているせいか、あちらこちらで何やら祭りのイベントが開かれているらしく、ここでも隣の広場で音楽が流れて賑やかさを煽りたてていた。本番は午後2時辺りかららしく、ぼちぼち人が集まり出して来ているという感じだった。自分たちがここに駐車していて邪魔になってはいけないと思い、食事の後は早々に立ち去ることにした。

 取り敢えず近くにある道の駅:パパスランドさっつるという所へ行き、水を補給してゆっくりすることにしようと向かう。パパスランドというのは何のことなのかは解らないけど、さっつるというのは漢字では札弦と書く地名で、清里町の一部である。この道の駅には温泉があり、パークゴルフ場も隣接していて、水も汲めるので何度もお世話になっている。今頃に行けば確かプラムの美味しいのが手に入る筈だ、などと思いながら15分ほど走ると目的地に到着した。ところが、いつもと違う何か変な雰囲気なのである。先ず気付いたのは、水場が無くなっていることだった。確かにあったはずの場所は何とドックランと書かれた囲い込みの犬の運動場となっており、給水などできなくなっていた。良く見ると駅舎は新設されており、古い温泉の建物は消え去って、新しい駅舎の中に含まれて造られていた。中に入って見ると、以前は狭くてそれゆえに愛着を感じていた農産物の売り場は拡大され、その他にもお土産品などが並べられて、新しいものとなっていた。しかし並べられている農産品は余り鮮度の新しさは感じられず、価格も道南辺りから比べるとかなり高いものだった。トイレだけは立派になっていたけど、それ以外はありふれた新しさで、自分たちにとっては大して魅力のない建て替え結果のように思った。3年前には水場もあり、それなりに恵を感じたのだったが、このような変化にはあまり賛同できない気持の方が大きいのは、自分たちの我がままということなのだろうか。ここに泊ってゆっくりしてもいいなと思ってきたのだったが、それは止めて川湯温泉の方へ行くことにした。

 川湯温泉は道内でも有数の温泉街といえる場所である。昭和の大横綱の大鵬の出身地でもある。温泉街の中にはその記念館も建てられている。ここは北海道に来ると必ず訪れる場所の一つになっている。屈斜路湖の湖畔近くにあり、キャンプ場などもあって、夏の間はかなりの賑わいを見せている。何しろ屈斜路湖畔はまだ現役火山の影響を受けている場所が残っていて、湖畔の砂地を掘るとそこが温泉となるというようなことができるのである。少し先の和琴半島という所に行くと、冬でもコウロギが鳴いている場所があるというのだから驚く。川湯温泉の入口には硫黄山があり、ここは現役火山で山全体の随所から噴煙が噴出し、硫黄の臭いが辺りを覆っている。奇景と言っていい場所だ。このような火山の影響の大きい場所なので、夏も暑いので閉口するのだが、今日は曇りで涼しくゆっくり過ごすのには良い日のようで安心している。

 先ずは給水が必要なので、摩周の名水をうたっているJR川湯温泉の水汲み場に入る。この駅には名水を汲む場所と足湯もあって、無人駅なのだけど魅力的な場所となっている。道脇の奥の方に車を停め、水槽とペットボトルを満たす。冷たく美味い水だ。このような水に出遭うと心底嬉しくなる。今のところ、北海道に上陸以降飲料用の水を買い入れることなく、湧水などを利用して凌いで来ている。何処に行けば良質の水が手に入るか、それはくるま旅の際の必要不可欠な情報えはないかと思っている。水を汲んだ後は、川湯温泉の駐車場へ。葉や16時近くになっていた。

 少し疲れたので、ちょっと午睡をとることにした。相棒は起きているという。先ほどから眠気をもよおしていたので、あっという間の熟睡だった。目覚めたのは19時近くか。丁度相棒が炊いたご飯が出来上がる頃で、それにつられて目が覚めたのかもしれない。起きたら食事が出来上がって待っているとは、理想的ではないか。こんなことは旅の中ではめったにない。久しぶりに夕食らしいのを済ます。食事が終わって、先ほどから聞こえてくる賑やかな音楽とアナウンスのようなものが気になり、相棒が出掛けるというので、付き合ってどうこうすることにした。どうやら何かのイベントがあるらしい。

 行ってみると、何と川湯温泉祭りというのが開かれていて、いつも利用させて貰っている足湯の付近がその会場となっていた。足湯に入りながら、設けられた舞台の踊りなどが見られるのである。しばらく足湯に浸っていると、やがて開演の時間が来て、アイヌの子孫と思しき女性たちによる踊りが始まった。説明つきの踊りなので何がテーマなのかが良く解り、踊りの意味合いも何となく理解できる気がした。踊りと一緒に歌われる歌は、代々伝わるアイヌ語なのであろうけど、その意味はさっぱり判らない。やがて、観客も巻き込んでの踊りとなる筈だったが、参加の意欲を示す人がいなくて、ちょっぴりやりにくそうだった。最後は飛び入りの男性を交えた踊りで、これが何と二人の女性がその色男を取り合うという踊りなのだそうで、なかなか面白そうだった。高千穂の夜神楽にもそのようなテーマがあったのを思い出したりした。観客は近くのホテルなどの泊り客ばかりで、大した数もなく何となく寂しさの混じる祭りだったが、一所懸命な地元の人たちの気持ちは強く伝わってきた。やたらに派手な祭りよりも、このようなささやかな祭りの方が、本物が潜んでいるのかも知れないなと思いながら、車に戻った。

コメント
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