Vision&Education

木村貴志の徒然なるままの日記です。

子規の死

2021年01月08日 | Weblog

「葬式の広告など無用に候。

家や町内も狭き故、大勢来ると、柩の動きもとれまじく候。

戒名も無用に候。

柩の前にて通夜することも無用に候。

柩の前にて空涙は無用に候。談笑平生の如くあるべく候。」

『坂の上の雲』で、正岡子規のなくなる場面、子規の葬儀の指示が、このように語られていた。

「葬儀無用のこと」私の父が書き遺した言葉は、ここから来ていたのかと思った。

子規のなくなるシーンを見ていて、亡骸に取りすがって涙したり、棺に花を皆で入れていったり、死を送る場面が、今の時代、本当に少なくなっているように感じた。そう思うのは、私だけなのだろうか。

家族葬も多くなった。死は、益々私たちのところから遠ざかっているように思う。

生と死は表裏一体。死を深く噛みしめなくなったということは、生を深く噛みしめていないということかもしれない。

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