東京多摩借地借家人組合

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「相当の更新料を支払う」特約有効

2020年05月18日 | 契約更新と更新料
 北区の組合員の更新料支払請求事件で、東京地裁の佐野倫久裁判官は2月27日に原告である地主の更新料請求を認め、更新料215万円2000円を認める判決を下しました。

 本件は、昭和31年に借地人の祖父の代から借地を借り、父親が相続した昭和51年に合意更新して更新料として32万2000円(坪当り1万4000円)を支払っています。平成8年にも契約を更新して父親は更新料として173万円(坪当り8万円)を支払っています。借地に隣接した水路地(国有地)が地主が所有権を取得し、借地の面積は2坪弱増えて、新地籍を23・04坪にすることで合意しました。その際、地主と交わした合意書に、平成28年9月の契約満了時に契約の更新を希望する場合、新地籍で『相当の更新料を支払うものとする』との合意をしていました。

地代については、平成22年から毎月1万3720円(坪510円)を支払っています。

地代が安いことを理由に更新料容認

 裁判では、「相当の更新料」を支払う旨の合意をもって被告が更新料を支払う義務を負うのか、本件更新の場合に上記合意が適用されるのか、適用されるとして更新料の額がいくらか等が大きな争点になりました。

「相当な更新料」とは金額がいくらなのか明確ではなく、更新料請求が認められた事例の「一義的で具体的な特約」とは到底いえません。

 しかし、地裁の判決では「被告が平成28年9月の本契約更新時に更新料の支払い義務を負うこと自体は明確に規定されていること、『相当の更新料』と記載されたのは、本件合意がなされた平成22年9月から平成28年9月までの間に社会情勢や近隣相場の変動等によって更新料額が変動する可能性がある点が考慮されたためであることが認められる。そして、本件合意の時点で次回更新が約6年も先のことであったことを併せ考慮すれば、上記可能性を考慮して『相当の更新料』と記載したことには相当の合理性、相当性が認められるというべきであって、当該文言をもって第3項が一義的かつ具体的な合意ではないとか、特定に欠けるということはできない。よって、被告は、本件合意書第3項に基づき、原告に対し、更新料支払義務を負う」、その上判決では「更新料は一般的に賃料の補充なおし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的性質を有するものであるところ」、賃料が1坪510円と安価で、月額1万3000円程度にとどまる、更新料÷20年÷12ヵ月で月換算8966円程度であり、1坪8万円の更新料額は「相当」な金額であると認めるのが相当であると断じています。

 更新料に関するこれまでの判例を覆す非常に不当な判決であり、東借連の弁護団では控訴して、高裁では担当した種田弁護士と協力して弁護団を組んで争う方針です。組合員も最高裁まで闘いたいと強い決意で頑張っています。

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