東京多摩借地借家人組合

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大阪北部地震で借家トラブル 一部損壊で退去求められ

2018年12月25日 | 地震と借地借家問題
https://www.sankei.com/west/news/181224/wst1812240004-n1.html

 今年6月に発生した大阪北部地震で、被災した借家をめぐるトラブルがくすぶっている。借家の住人を
支援する団体によると、被災した住宅の修繕に多額の費用がかかるため家主が修繕を拒むほか、住人に立
ち退きを迫るケースもあるという。地震は発生から半年が経過したが、被災地はいまだ課題が残る。弁護
士らでつくる支援団体は「借家を修繕するのは家主の責任。退去を強要してはいけない」としている。
(矢田幸己)

突然「出ていって」

 「地震の翌日、管理会社から『7月末で出ていってくれ』と。訳が分からなかった」。こう話すのは大
阪府茨木市に住む男性会社員(55)。軽度の認知症を患う母親(82)と実家で暮らしている。
 実家は借家。地震の影響で北側と西側の外壁に大きな亀裂が入り、市の調査で一部損壊と判定された。
外壁など地震で壊れた箇所に粘着テープを貼り付け、雨水が染み込まないようにしているが、住めなくは
ないと感じている。
 男性によると、7月中旬には、管理会社から「賃貸借契約終了のお知らせ」が届いた。今後大きな揺れ
が来れば倒壊の危険性がある一方で修復には多額の費用がかかるとし、8月末までに退去してほしいとの
内容だった。
 近所には同じ会社が管理する民家が複数あり、地震の発生当時は男性一家以外に5世帯が入居してい
た。この5世帯も当初は家を引き払わないつもりだったというが、年明けまでの退去が決まったという。
 母親は「地震が来たら怖いけど、思い出もあるし、ここから出ていきたくない」と話す。男性も、住環
境が変化することで母親の症状が悪化するかもしれないと思うと、退去には応じたくないと考えている。
 しかし最近は「納得できる転居先があれば」と思うこともあり、管理会社に転居先候補を挙げるよう依
頼したという。

「借り主の権利」

 借家の場合、ともすれば家主側が優位だと思いがちだが、「地震・台風借家被害対策会議」事務局の増
田尚(たかし)弁護士(大阪弁護士会)は「借り主の権利は守られるべきだ」と明言する。
 同会議は、大阪北部地震などで借家被害に伴うトラブルが相次いだことを受け、大阪の弁護士や司法書
士らが設立。京阪神地域の被災者を対象に無料の電話相談を実施したところ、11月末時点で21件の相
談が寄せられ、半数以上が「家主が修繕を拒む」などの内容という。
 民法では「賃貸人(貸主)は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と規定。また
借地借家法では、家主から契約を打ち切るには賃料の不払いなど契約違反にあたる場合を除き「正当な事
由」を求めている。正当な事由があっても、退去通告は6カ月前までに行わなくてはいけない。
 当然、家主側にも事情はある。大阪賃貸住宅経営協会の山本肇会長は「オーナーの多くは補助金を使う
などして修繕しているはず」とした上で、「借家のオーナーも高齢者が少なくない。自身が被災者となっ
た人もおり、台所事情は厳しい。入居者の安全が確保されないまま住んでもらうわけにもいかず、一部で
はやむなく退去を求めるケースもあるのでは」と話す。
 増田弁護士は「相談件数以上に悩んでいる借家の住人はいるのでは。住宅は生活の基盤。立ち退きなど
は不当な要求であり、応じなくてよいと知ってほしい」と話している。



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