東京多摩借地借家人組合

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賃料の増減額請求とその対応についての法律知識

2022年04月22日 | 地代家賃の増減
 最近電話の相談で、賃貸マンションのオーナーが代わった途端に、家賃を一挙に1万円増額請求された。また、長くアパートに入居しているが、最近入居した人の方が家賃が高く、家主に家賃値下げを要求したら僅かな金額しか下げてくれず、他の人には言わないよう口止めされた等の相談がありました。

 地代・家賃の増減額についての法律知識についてご説明します。

 賃料の増減額請求をするには、従前の合意賃料がその後の経済事情の変動等の事情の変更により、不相当となっていることが必要です。借地借家法では、不相当を判断するための要素として、①土地や建物に対する租税その他負担の増減、②土地建物の価格の上昇低下その他経済事情の変動、③近傍類似の賃料との比較、④その他の事情をも合わせて総合的に判断するとされています。
 以上のように、値上げをするには、貸主の主観的な判断で値上げできるわけではなく、値上げの根拠を賃借人に説明し、賃借人が納得した場合に値上げの合意が成立します。家賃を毎月一挙に1万円も上げられたら、賃借人は賃料が生活費に占める割合は高く、生活に重大な影響を与えます。賃借人は、値上げが不当と思えば値上げに反対の意思表示を行います。意思表示はメールとかラインで送る人がいますが、やはり書面で送った方がよいです。
 値上げ額について、協議が成立しない時は、借地借家法第11条2項で「地代等の増額について当事者間に協議が整わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。┉┉┉┉」とされています。(家賃も同様)従って、とりあえず値上げする前の現行の地代・家賃を支払えばよいのです。地主(家主)が値上げをしなければ賃料を受け取らないと言って、賃料の受領を拒否してきたら法務局に供託します。また、現在の賃料はちょっと安いなと思えば、このぐらいなら値上げしてもよいと考える賃料を相当と認める額として支払うことも可能です。
 賃貸人がどうしても値上げしようとすれば、調停を申し立て、最後は裁判で賃料の相当額がいくらが適正かを決定します。そうなると、弁護士費用や裁判費用(鑑定費用)等もかかるので、最後まで争った方がよいか費用対効果も考えないといけません。

賃料減額請求は書面で

 賃料の減額の請求は、賃借人の方から請求しなければなりません。過去にさかのぼって請求することはできませんので、必ず書面(内容証明郵便)で次回に支払う賃料から請求します。よく聞かれる相談で、減額した額で賃料を供託できるかですが、減額についてはが逆に賃貸人が減額には応じないので、今支払っている賃料相当額で支払うよう求められた場合には、賃借人が勝手に賃料を減額して支払うことはできません。
減額を請求する場合も、減額を請求する根拠が必要です。近隣と比べて明らかに賃料が高いことを証明する証拠が必要です。例えば、以前支払っていた地代は公租公課額の3倍だったが、固定資産税が値下がりして現在の地代は公租公課の4倍になっている等の資料があれば、減額請求の有効な証拠になります。

 その場合は、減額の調停を申し立て、減額が確定するまで現行賃料で支払い、減額が確定したら減額を請求した時から減額されます。ご相談は組合で受け付けます。まずは、組合にご相談ください。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094


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