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自由法曹団の 「UR住宅除却方針の撤回を求める決議」

2008年10月28日 | 国と東京都の住宅政策
1 本年2月、都市再生機構(UR)は、日野市高幡台団地、千葉市幸町団地、春日部市武里団地外、全国で17団地にある賃貸集合住宅24棟について、耐震診断の結果耐震対策を要するが改修には多額の費用を要すること等を理由として、除却(解体・更地化)する方針を決め、その後、居住者に対して明渡しを求めている。既に、該当する住居棟には明渡準備のための事務所が設置され、住民には「意向調査表」が配布されている。

2 URによる除却計画は、「耐震性」を理由としているが、これは口実に過ぎない。URは、従前は当該住居棟を改修する方針であったにもかかわらず、今回、除却にその方針を転換したものである。また、URは、2007年末には、10年間で8万戸の住宅を削減することを内容とする「UR賃貸住宅ストック再生・再編計画」を発表し、その中で、「集約化」と名づけて、住居棟を取り壊し、更地化して、その敷地を民間に売却する方針を打ち出していた。さらに、そもそも、URは、行ったとする耐震診断の調査資料及び検討したとする改修方法の検討資料を公開しておらず、これが正当なものか否かを住民は判断することができない状態にある。加えて、URは、市場での売却が容易な住棟を恣意的に選択している疑いもある。
これらの事情に鑑みれば、URの真の狙いは、敷地の売却益あるいは借地権設定
による再開発利益を、4300億円に上る繰越欠損金の解消に充当することにある
と考えざるを得ない。

3 対象住居棟には長期間住み続けている高齢世帯が多く、「いまさら引越しなど考えられない」、「転居するとエレベーターがなく日常生活が困難になる」等の訴えがあり、「なぜ耐震補強工事ができないのか」との声も上がっている。また、対象とされた住居棟には、郵便局・銀行・診療所・集会室・商店等があり、これが除却されると団地住民の生活にも重大な影響を及ぼす。団地住民の中には、住み続けたいとの強い思いの下で住民の会が発足し、「当該住居棟の除却計画の撤回と速やかな耐震対策の実施を求める」署名運動も盛り上がってきている。

4 URの経済的利益のために、住民の居住権を奪うことは許されない。
 自由法曹団は、住民と共に居住継続へ向けて活動していく決意を表明すると共に、URに対して、住棟除却方針を撤回し該当住棟の耐震改修工事を行うよう求める。

   2008年10月20日

      自由法曹団2008年総会

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