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東京都の住宅マスタープラン 成長と成熟が両立した未来東京とは?

2022年04月14日 | 国と東京都の住宅政策
 東京都は2021年から2030年の「住宅マスタープラン」改定案を本年1月に発表し、2月にはパブリックコメントの募集を行い、東借連・全借連は関係する部門に関して意見を提出しました。

 同マスタープランは東京都住宅政策審議会の昨年11月の答申「成長と成熟が両立した未来東京に相応しい新たな住宅政策の展開について」が土台になっています。成熟社会の対応への対応として少子高齢化社会における住宅セーフティネット(住宅確保要配慮者の居住の安定確保)、災害に強い住宅、マンション対策等を上げています。成長についてはDX導入等による新たな日常の実現、脱酸素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化など指摘しています。

 新たな住宅政策の展開として、「成長と成熟が両立した明るい未来の東京実現を目指して、今後の住宅政策の目標や施策について具体的かつ体系的に示し実施していくための計画」と策定すると述べています。2030年度に向けた施策として10の目標を掲げています。

 そもそも成長と成熟が両立できるのか、はなはだ疑問です。コロナ禍において仕事と住まいを失い、家賃も支払えず、所持金も尽きて生活困窮者の支援団体にSOSの連絡が後を絶ちません。東京で暮らすために家賃が高過ぎて、コロナ前からネットカフェに寝泊まりする若者が増えています。

 家賃を支払うために食費を削っている生活困窮者の中には、各地の支援団体の食糧支援を掛け持ちしている状況です。同マスタープランでは、「コロナ禍の住生活の変化」ではテレワークや郊外の居住地の選択について述べていますが、コロナ禍で生活に困窮する人々の状況については全く触れられておりません。東京都はホームレスになった人に対して、緊急事態宣言やまん延防止特別措置の間だけホテルを提供していますが、その後は安定した住居の提供も全く不十分です。

 都営住宅については、マスタープランでは「現在のストックを最大限に活用し、住宅に困窮する都民に的確に供給することで、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たしていきます」と述べているように、新規建設ゼロ方針を継続し、都民に住宅の困窮度を競わせる政策を取り続けています。

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