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家族機能の社会化」が鍵 地域見守り重視の声多く 国交省社整審住宅宅地分科会勉強会

2020年01月23日 | 国と東京都の住宅政策
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000042229&goread=ON

 21年に予定されている住生活基本計画(全国計画)の見直しへ向け、国土交通省は1月16日に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の第2
回勉強会を開いた。個別の論点を掘り下げて同計画に反映する趣旨の勉強会で、今回のテーマは「居住者の視点」。4人の委員による
発表を軸に、住生活にまつわる社会課題や政策への期待について意見が交わされた。
 奥田知志委員(NPO法人抱樸理事長)は、長年ホームレス支援に携わってきた経験をもとに、生活困窮者の居住支援について発表を
行った。

 奥田委員は、「ホームレスと〝ハウスレス〟は状況が異なる」と説く。住宅のハード面や経済面で課題を抱える困窮者は確かに多い
が、居住支援とは単にハードとしての住宅のみではなく、社会とのつながりも含めてケアしていく必要があるという考えだ。
 その背景として、核家族化や単身者世帯の増加などにより、「かつて自助と公的支援のはざまで生活を支えていた〝家族機能〟の崩
壊が進んでいる」と奥田委員は語る。そして現代の居住支援のあり方の一つとして、従来は家族が担っていた見守りや葬儀といった役
割を、代替・補完する仕組みを制度化する「家族機能の社会化」を提唱した。

 奥山千鶴子委員(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長)は、子育て世帯支援の現場から見た課題を発表。少子化が加速度的に
進行する一方、ニーズに対し子育て支援・交流拠点は少なく、「奥田委員の言う『家族機能の社会化』は、子育て世帯についても同様
に求められる」(奥山委員)と指摘する。現在は核家族化のほか、地元を離れて大都市へ転入する人口の増加などによって、「密室育
児」が発生しやすい社会となっており、「地域で子育てを支える環境づくりが重要だ」(同)と述べた。

 井上由起子委員(日本社会事業大学専門職大学院教授)は、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を中心に、高齢者の住まいについて語っ
た。サ高住の課題の一つとして、紹介事業者が宅地建物取引業の対象外とされているため、高額な手数料や相談員の質といった点が懸
念されると指摘。併せて、公営住宅や公的賃貸住宅における高齢化対応と課題についても解説し、井上委員も「地域による見守りや活
動拠点構築」が住まい支援には重要だと主張した。

 三好修委員(全国賃貸住宅経営者協会連合会会長)は賃貸住宅経営者の視点から、現行制度の改正を要望。賃貸住宅入居者が死亡した
際、遺留品の所有権の問題がオーナーの負担になっていると語る。更に「残置物の処理や原状回復の費用が多額。だから大家は高齢者
に部屋を貸したがらないというのが現状だ」と述べ、負担の軽減策を求めた。
 今回の発表と意見交換を踏まえ、同分科会は引き続き検討を進める。また議論の中間集約は6月ごろ行われ、20年内には新たな住生
活基本計画の素案を提示する予定だ。(住宅新報より)


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