花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

追いかけてシロヤマ

2018-04-09 21:45:15 | Weblog
 吉田類さんの著書「酒は人の上に人を造らず」(中公新書)の「鴉天狗のハッピーアワー」の章に、吉田さんが小仏城山に登った際、頂上の茶屋で飲んでいたグループと一緒になったことが書かれています。「熟年の山男たち5、6人が、冷酒の小瓶とグラスを手元に据えてほろ酔い気分。誘われるまま、僕もお相伴に預かった。卓の下には、夥しい数のビール瓶が並んでいる。冷酒の前に彼らが飲み干した空き瓶だというから驚く。」昨日の日曜日、夥しい数のお酒を飲むこの山男の皆さんに、「山はちょうど桜が見ごろだから花見酒をしよう」と誘われ城山に登りました。1時間半くらい歩いて山頂へ着くや否や先ずビール。この日はちょっと肌寒かったこともあり、早めにビールを切り上げて熱燗へ移行。ここからは熱燗をクックが始まりました。「どうです」とお銚子を向けた時、杯を差し出すことをためらう人は皆無。人や木の影がやや長く伸びだした頃には夥しい数の瓶が。そこでやっと、「桜でも見るか」と杯を放して立ち上がりました。大きなオオシマザクラの木の下には、気持ちよさそうに寝ているおじさんが。起こさないよう気を付けて桜を見上げていると、呑兵衛の山男のおひとりから、「桜餅を包んでいる葉っぱはオオシマザクラの葉だよ」と教えてもらいました。桜のほかではハナモモが赤、ピンク、白の花を咲かせ、幻想的な雰囲気を醸し出しており、桃源郷の「桃」はハナモモのことではないかと思ったりしました。
 さて、今年の3月は仕事が忙しく休日出勤もあり、ちゃんと桜を見ることが出来ませんでした。4月には随分前から花見の予定が入っていましたが、当日訪れた公園はすっかり葉桜になっていて、提灯の明かりが風に揺れているのを見ただけでした。そそくさとお店に入り、飲み放題コースで飲み、時間が来て追い出され、ふつうの飲み会に終わりました。ですから、平地で見損ねた桜、飲み損ねた花見酒を、山の上まで追い掛けて、なんとか間に合った感じでした。
 桜もお酒も充分味わって、山を下りましたが、相当量を飲んだにも関わらず、皆さん下山の足は確かで、コースタイム通りで麓のバス停に着きました。このメンバーの凄いのは、下山後もまた飲むところ。バスで駅まで戻り、駅近くのお店でまたまた夥しい数のお銚子が並ぶことになりました。吉田類さんと同じ驚きを感じた山行でした。

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