花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

霞が関のブルシット・ジョブ

2021-01-06 20:23:58 | Weblog
 昨日、5日の朝日新聞夕刊の一面では霞が関官僚の過酷労働が取り上げられていました。長時間労働の様子について記事から拾ってみます。「午前3時に仕事を終え、タクシーで1時間ほどかけて自宅へ。シャワーを浴びて、うとうとすること2~3時間。電車に揺られて霞が関の職場に戻ると、男性職員たちは椅子を並べて眠りこけていた・・・。」

 過労死ラインとされる月80時間の残業時間を、総合職20歳台では3割が超えているそうです。その結果、2019年度に中央官庁では87人の総合職が退職し、その人数は2013年度の4倍に当たります。30歳未満を対象とするアンケートでは男性の14.7%、女性の9.7%が数年以内の退職を考えていると回答しています。

 このようにブラックな職場環境がどうして生まれているのか、記事ではいくつかの理由を挙げていますが、そのひとつが「閣僚の尻ぬぐい」。ある女性官僚が語るところによると、「閣僚など政務三役が直接、野党と納得できる議論ができないから、官僚にしわ寄せがいく。官僚が尻ぬぐいしている」とのことです。

 この記事を読んで一冊の本が頭に浮かびます。「ブルシット・ジョブ」(デヴィッド・グレーバー著 岩波書店刊)です。サブタイトルに「クソどうでもいい仕事の理論」とありますが、仕事をしている本人が意味を見出せない、けれども意味があるように取り繕わなければならない仕事を論じたものです。著者は「尻ぬぐいの仕事」を「ブルシット・ジョブ」の類型のひとつとしています。元々ある欠陥に対処しようとせず放置したままにしているため、垂れ流される問題の尻ぬぐいをさせられることを言っています。

 ある人を偉く見せるための「取り巻きの仕事」も「ブルシット・ジョブ」とされています。ちゃんと働かない政治家が不祥事を起こす、国会で突っ込まれる、そんな議員の体面を整え、取り繕うために残業はしたくないのは良く分かります。若い人たちが辞めていくのが常態化していくと、そのうち組織の年齢構成が崩れて機能不全が起こらないか心配です。

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