おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

トラベルドブソニアンの構想

2010-12-31 13:13:49 | 40cmトラベルドブソニアン

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机上で図面を書いても、イメージが今一つ湧かないので実物大のペーパーモデルを作っています。これだと製作するものが良く分かります。鏡筒を形作る基本フレームはこの形状になる予定です。これだけだとまだ軽量化としては十分でないので、パーツ類の穴等がはっきりした時点でさらに軽量化のために穴をあけていきます。この1枚のアルミフレームの重量は1kg程度にまで落としたいところですが・・・、強度を保つためにある程度の部分を残さないといけません。

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この3枚のフレームのうち、主鏡セルとその上にくるフレームはφ50mmのアルミパイプで繋いで、10kg以上ある主鏡とセルを保持するだけの強度と収納も考えたボックス型になるようにします。このボックスは収納時にはミラーの高さより若干高いくらいまでに低くなります。また斜鏡セルが付いているフレームも斜鏡セルを外して主鏡ボックスに収まるようになっています。


肝心な鏡筒を形作る部分は、φ30mmのアルミパイプ4本を半分づつに分割して計8本で構成します。中間部にはパイプの強度を高めるために、4本のパイプが横になって入ります。このパイプはφ15mmくらいを考えていますが、これをつけるのは全体の歪みを少なくすることと、斜鏡先端部分の足りてない強度を補うためのものです。通常のドブソニアンは斜鏡ユニットが付いている接眼部は円形のリング2点を繋いで強度を保っていますが、私のものはそれが無いので、それを何処かで補う必要があります。


とりあえず、鏡筒自体のデザイン等は固まってきましたので、後は下部の方位角度回転部分をどうするか・・・です。ある意味ドブソニアンの使い勝手を決める重要な部分です。きちんと考えていきたいところです。


本年も残り1日となりました。明日から2011年です。今年は多くの方々にお越しいただき、また加工ご依頼も数多く頂戴いたしましたこと、改めて感謝申し上げます。どうぞ皆様にとって来年も素晴らしい良いお年であることを願っております。来年もどうぞよろしくお願いいたします!


ユニークなトラベル仕様のドブソニアン

2010-12-29 18:57:50 | 40cmトラベルドブソニアン

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一見すると・・・ただの木製ケースのように見えますが、ただのケースではありません。この中にはある大きなものが収まっています。これを組み立てていくと・・・

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こうなります!

つまり、ドブソニアン望遠鏡になるわけです。しかも、あんなコンパクトになって収納ができます。このトラベル仕様のドブソニアンを製作販売しているのは「Sumerian Optics」というオランダの企業です。http://www.sumerianoptics.com/

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組み上げたところを後部から見たものですが、大変クールなデザインです。材料の8割以上は木製というのもいいですね。最初の画像を見れば分かりますが、私が考えているトラベル仕様のドブソニアンと同じコンセプトでデザインされたものでしょう。この会社ではミラー類を含まない本体のみの販売もしているそうですが、価格的には結構なお値段です。


私も同じように作りたいところですが、木製だと金属と同じ強度を出すために大きな材料を使うことになるので、その分重量もかさんでしまうでしょう。それだと目標とする設計値にならないので思案しているところです。国内で持ち運ぶだけを考えれば木製でいいのですが・・・、オセアニア方面へ持っていくには重量もそうですが・・・、木材を持ち込むことになってしまうので、輸入規制にひっかかってしまいます。遠征された方はお分かりかと存じますが、植物、土、木などの持ち込みは凄く厳しいので、下手をすると税関で焼却処分となり、金属部分の焼け残りを返してくれるはめになります。それでは持って至った意味が全くなくなりますので、木製での製作はできない訳です。


いずれにせよ、このデザインは素晴らしいので、今回のトラベルドブが完成したら、次の目標として木製での製作を考えてもいいでしょう。興味のある方はこの会社のWebページをご覧になるといいでしょう。


タカハシP-2Z(TG-経緯台)の抜けとめ加工

2010-12-29 18:15:54 | 特注製作品(タカハシ)

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本年最後の加工でした。P-2Z用の三脚架台を抜けにくくするための加工をしました。黒いハンドルネジは加工により取り付けたもので、これがあることで、M10ボルトにからんで抜けにくくなります。単純に3箇所にタップを立てただけでなく、黒いハンドルネジも製作して取り付けています。

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大した加工ではありませんが、サイドのタップ位置を間違えると1mm違ってもガタガタになるか、M10ボルトに当たって入らなくなりますので、きちんと角度と位置を考えてタップを立てないといけません。失敗してもやり直しがきかないですし、ご依頼者様には大目玉をくらいます。これで、今年の加工は終わりです。また来年から忙しい日々が始ります。1月早々にまた出張がありますし、2月はニュージーランドへ長期間出ますので、また加工等お待たせすることになりますが、よろしくご理解いただければと思います。


2010年最後の初積雪です!

2010-12-29 18:02:16 | ブログ

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来年は雪の積もる日が多くなりそうです。昨夜は妙に暖かかったと思いきや、朝起きたら真っ白でした。今夜も雪が降っていますので、もしかしたら明日までに結構積もるかもしれません。去年は最大で20cmくらい積もった日がありましたが、それで終わりでした。今年は雪が降るペースが速い気がします。逆に雪が降ったほうが暖かくて道路が静かなので良いです。ここ佐久穂町は長野県でも最も雪の少ない土地ですので、住みやすいと言えば住みやすいですが・・・、その分寒い気がします。


タカハシEM/P85WTピアー架頭

2010-12-28 16:11:01 | 特注製作品(タカハシ)

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先日からご依頼がありました、EM-1赤道儀をビクセンP-85WTピアー脚に載せるためのピアー架頭を製作してお届けしました。純正品は高くてなかなか手が出ませんが、ビクセンのピアー脚なら割合安価に入手できる上に、重量的にも10kgほどしかないので移動用にも便利です。この架頭はご要望があればいつでもお作りいたしますが、肝心なピアーをお持ちでない場合には新品のピアーが2種類ありますので、ご要望があれば合わせてお譲りいたします。

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今年もあと4日で終わりです。テレスコ工作工房も始めてから概ね1年が経ちました。その間に多くの機材のカスタマイズのお手伝いをさせていただきました。有難いことに、当ブログへお越しいただく方も序々にですが、増えてきております。有難いことです。まだ2日ほどは製作したいところですが・・・、材料屋等が景気が良いのか悪いのか早々とお休みに入ってしまっており、材料も手に入らないので周囲に合わせてお休みをさせていただくことになります。その間にも自分で使用する機材の図面を書いたりして年末年始は過ごす予定です。


Meade 改造ライトブリッジ40のその後

2010-12-28 09:54:52 | ミード関連の加工改造

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先日無事に完成してお渡しした「改造ライトブリッジ40」の画像を使用感と共に送っていただきました。元々中に納まっていた主鏡と斜鏡をそっくり入れ替えるという改造でしたが・・・、当初40cmのF値が異なるだけなので簡単に考えておりましたが・・・、実際にやってみると意外と面倒でした。しかし、幸いにもきちんと観測できるものに仕上げてお届けできたことは幸いでした。ご依頼いただいた方にも喜んでいただけたようで、こういう改造や製作は最終的にきちんと使えてご依頼者様が満足してくれることが大切です。


今後はさらに自動導入化を進めて、さらに使いやすい機材にされることを目指されるそうです。当日引取りに遠方から来ていただきましたが・・・、ご家族もご一緒されておられました。こういった趣味の世界はご家族の理解と協力が不可欠です。今後も末永くご愛用されてご家族共々楽しまれて欲しいものです。


久しぶりに寒い我が家へ戻ってきました

2010-12-26 18:36:26 | ブログ

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約1週間ぶりに我が家に戻りました。最初にやったのは、先日から書いている「改造ライトブリッジ40」を納品しました。といってもわざわざ遠方から引き取りに来ていただきました。かなり前に一度梱包したことがありますが・・・、正直大変ですので、取りに来ていただいて有難いことでした。直接渡せる利点は梱包の手間が省けるだけでなく、実際に覗いて検品してもらえるので安心です。あとは気に入っていただき、末永くお使いいただくことを願っております。

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その後に先日から書いている新型ソーラーマックスの検品をしました。SMII90、SMII60、SME40の3点ですが、いずれも良い状態です。今日はプロミネンスが極僅かに出ているだけで特に活発なことも無かったです。空の透明度が昼からは今一つだったことと、風が強かったので本来の能力を発揮するところまでは確認できませんでした。これで新型ソーラーマックスは全て見ることができましたので、後は来年早々に入荷するダブルスタック仕様です。これも何台か春先からオーダーしておりますので、時季に入手できるでしょう。

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製作関係は、以前からご依頼いだいている数件を来週前半でやって今年は終わりです。年末年始の間に新たな製作品のデザインをしたり、40cmトラベルドブの図面を書いたりして年明け早々から製作にかかる予定です。


CORONADO Solar Max II 90

2010-12-24 11:34:14 | 北米カリフォルニア

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先日はSM60IIを使ってみましたが、今日はSM90IIを使ってみました。見た目は大きな違いがないように見えますが、光量の違い等からくる細かい部分のコントラストが違うようです。このイメージは以前使っていた旧ソーラーマックス60と90を比較した時と同じ感覚です。この観測は検品を兼ねてやっているのですが・・・、ちょっとした問題がありました。見え方には問題はないのですが、内部のエタロンフィルターのディスク付近に目立つゴミのような混入物がありましたので、もう一台のSM90IIと交換してもらいました。交換したものにはそういった混入物はありませんでした。聞くところによると、製造時に残された紐状のゴミだそうで、小さなものは入っていることがあるが、大きなものはあまりないそうです。


たまたま、ショップで話していると日本から購入された方のソーラーマックスに破損があったそうで、困ったカスタマーから連絡が来ていたようです。個人輸入で空輸しているので、問題があるとまた返送しないといけない上に、英語でのやりとりになりますので、大変面倒なことです。私の場合は、ご依頼いただいたものも含めて必ず米国まで行って検品をした上で引き取ってから再度日本でも検品した上で問題ないことを確認してお渡ししています。これについてはPSTなどの安価な製品でも同じです。

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2本の製品から最適なものを選択する・・・などは贅沢な話です。しかし、これもショップ担当者に理解があるからで、日本では同じことをすれば嫌がられますし、次回から利用を断られることもあるでしょう。まあ、こんなことを許されるのも長いことお付き合いがあるからです。といっても、こんなことをしょっちゅうやっていたら、さすがに私でも出入り禁止になってしまいます。海外ショップと付き合う前に米国人の気質なども理解した上で最低限のルールとマナーは忘れないようにすべきでしょう。


LUNT Cak-MD B1200 モジュール

2010-12-24 10:59:05 | ブログ

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使われている方は極少かと思われる製品ですが、9月の渡米時にご依頼いただいて、やっと4ヶ月かかって手にしました。何でこんなに時間がかかったのか理解しがたいですが・・・、聞くところによるとCakモジュールを構成する材料がなかなか入ってこなかったのが原因だったそうです。今回たまたま運良く渡米時に間に合いましたが、まだ待っている方が数人居るそうです。もちろん私より後に注文した方々でしょう。


このモジュールを検品しようと思って、LUNTのHα望遠鏡に取り付けてみたところ何にも見えなくてショップスタッフも驚いていましたが、LUNTへ聞いてみたら、あっさりと”Hαフィルターが付いていない望遠鏡に付けて使うものだ”と言われました。ということで、やってみたらその通りで、凄く暗いバイオレットカラーのイメージが見えました。その後にご依頼者様にメールをしたところ、このモジュールは眼視ではなく、撮影することでより細かい太陽面のディテールが見えてくるものだということを教えてもらいました。かなり昔にPST-Cak望遠鏡を購入した時に見たイメージよりは暗い感じのイメージでした。安価なPSTとは違って、さらに狭い波長域の部分を観測しているので暗いイメージなのでしょう。


このカルシウムモジュールをご依頼されていた方からは、コロナドのブロッキングフィルターの修理も依頼されておりましたが、それも完了しました。コロナド関係の修理等で国内代理店で対応してもらえないような場合には当方へご連絡いただければ可能な限り対応させていただきますのでお知らせください。


グリーンレーザーのポータブル赤道儀への応用

2010-12-23 16:39:10 | ポータブル赤道儀用改造改良

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以前からGレーザーを極軸合わせに使えないかと考えていたところ・・・、星まつりで自作で作って販売されていた方がおられました。そうこうしているうちに、先日も紹介したASA社の赤道儀もGレーザーを内臓しており、それでおおまかな極軸合わせを行った後に、8ポイントスターアライメントにより精度の高い極軸合わせをすることができているそうです。それにより20分以上にも及ぶノータッチガイドを実現しています。とは、言ってもこれは8000ドル以上の赤道儀のことです。


私が新たに製作したいと考えているのは、極軸望遠鏡を内臓していないポータブル赤道儀のことで、これに使うことで極望を使わずに割合正確な極軸合わせができるようになり、大変楽になることです。とりあえず、今回の渡米で再度購入した「Astro Trac AG」用を製作し、その後に「Toast Pro」、「CD-1」用などを製作していきたいと思っています。今話題の「MusicBox EQ」用も作ってみたいですが、これの場合は極望用の2穴を少し広げて、そこにGレーザーを差し込んで使用するのがいいでしょう。これについては、ご自分でボール盤などを持っていればできるでしょうからやってみられたらいいでしょう。暗いさなかであの2穴に北極星を導入するのは結構面倒なものです。


とりあえず帰国したらデザインして製作してみて、良かったらブログにアップします。安価にできるものでしたら、多くの方にご提供ができれば・・・と思いますが、作ってみないとわかりませんし、Gレーザー自体にある程度のコストがかかりますので数千円などではできないでしょうから、やはりある程度以上の価格で売られているポータブル赤道儀でないと買う気にはならないでしょう。良いものができてご要望があれば、もちろん製作をお受けいたします。