8月にお客さんからトレードで譲り受けてから、自動導入化の改造へ出しておりましたが、ようやく仕上がって今日組み立てて動作の確認をしました。組み上げるのに30分もかかりましたが、一つ一つの部品が20kg以上もあるので、中々面倒です。星は入れていませんが、日中の動作については、特に問題なく正常に動作してくれているようでしたので、まずは一安心です。このMS-55iは、星フェスで出展社などに貸し出すので、会場で現物をご覧になれます。MS-5や55iなどをお持ちの方で改造後はどんな感じなのかを直接見たい方は、会場へお越しください。
コントローラーは、NJP赤道儀やアストロカーでも使っている、SR-20型のスマートでデザインも優れているコントローラーです。自動導入の改造では、MS-55は、元々も仕様が高速での自動導入ができるようになっているので、改造自体は、MS-5よりはまだしやすいです。MS-5は、そもそも自動導入に対応していないので、使っているグリスの粘度も高めで、あまり酷いものだろフリー回転しない個体もありますが、MS-55iは、300倍速に対応するように、グリスも柔らかめのものを使っています、本来なら、純正のモーターを使うこともできたかもしれませんが、この個体はそのモーターが無かったので、新たなモーターを取り付けており、最大600倍速くらいまで増速できます。
外見から見ても改造をしているようには、全く見えません。外観には全く傷なども付けずに純正のケーブルコネクターをそのまま使っているので、とってもスマートな改造をしています。
コンソールも部分的にコネクターの形状などを変えていますが、フロント部分は見た目純正のままです。MS-55iと55zで採用されている極軸照明装置のLEDライトも機能するように改造をしているので、トータルでスマートな改造になっています。
暗視野照明もきちんと点灯してボリュームもそのまま使えます。調光はコンソールパネルにボリュームがついているので、そこで細やかな調整ができます。
こんな感じで暗視野照明装置になっています。
赤道儀のコントロールは、基本はスマホのSkySafariで行いますが、ワイヤレスなのでとても快適です。ただし、極軸をきちんと合わせていないと、当然のことながら自動導入も正確に視野に入れてくれません。SkySafariから自動導入する時には、空の明るい星を望遠鏡で導入してからSkySafariでその星に同期させます。星の導入はクランプを緩めて手動で導入しますが、ビクセンのスターブックワイヤレスのように、望遠鏡を手動で動かしてのアライメントには対応していなくても、SkySafariではそれができるので、とても便利です。それができると目的の天体に近い星でアライメントをすれば例え極軸が狂っていてもその距離が短ければ導入できます。
このSR-20コントローラーには、USBケーブルが付属していますが、PCと接続をしたり、ASIAIRと繋げたりするのに使います。それにより、MS-55i赤道儀をASIAIRからコントロールして正確に自動導入や撮像ができます。極軸を正確に合わしたり、オートフォーカサーやカメラのコントロールも全てASIAIRからできるので、30年以上前の赤道儀がハイテク仕様に生まれ変わります。当店では4種類の赤道儀で同じ改造をして使っていますが、今もNJP赤道儀やMS-4赤道儀の改造を継続して受けています。特にアストロカーで使っているものは、今ではこれが無いと望遠鏡自体が上手く機能しないので、手放せないものとなっています。
今回改造した、このMS-55i赤道儀は、将来的に観測施設で使う予定で改造をしています。しかし、まだそれは先の話なので、星フェスが終わったらまたしばらくは店に展示されるだけになるでしょう。ちょっともったいないですが。