おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

既製品からのアイディアを生かす

2010-04-30 22:25:23 | ブログ

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このパーツは先日のAstro Tracの汎用アーム先端部の雲台コマです。この部分は簡単に取り外していろいろなパーツに対応するようにデザインしていますが、元のアイディアはスカイメモRから来ています。しかし、そのまま真似すると使いづらいので改良した上でこの形状にしています。

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スカイメモRのコマはくの字型に切り込んで抜けとめ防止になっていますが・・・、雲台を取り付けて重たいカメラレンズを載せてバランスが悪くなったりすると首を振って酷い時にはスカイメモが倒れたりすることがありました。そのため、コマに雲台を付けても雲台が回転したりしないように2本のネジで下から固定するようにしています。

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その他、”汎用アーム”というくらいなので、雲台コマに取り付けるアクセサリー類を交換することで多種多用な用途に対応するように工夫もしています。私がどうかは分かりませんが、日本人は基本的に真似をしてものづくりをするのが得意です。最近ニュースで話題になっている中国も真似をするのが得意です。しかし、それと大きく異なるのは単なる真似かオリジナル以上に良いものを作り上げるかの違いがそこにはあります。この話は私が学生の頃に良く技術系の先生が授業で話していたことです。その時は良く理解していませんでしたが・・・、今は良く分かる話です。


今後もできるだけ自分なりのオリジナル品を考えていきたいと思っております。たま~に変なものも作りますが、これまで製作したものは数多くはありませんが、割合売れています。それは自分で実際に観測しながら考えて製作、デザインをしているからなのかもしれません。


速やかなメールレスポンスを心がけております!

2010-04-30 21:56:59 | ブログ

ここ最近は製作依頼が増えてきました。ありがたいことです。テレスコ工作工房でのお問い合わせから製作、発送までの流れについてお知らせいたします。これまでは、製作が確定してから最初に打ち合わせや加工内容の確認でメールのやりとりや場合によっては電話で直接お伺いすることもありました。基本的にメールレスポンスは良いと思います。


一般的な天文関係の製作所は多忙なこともありメールが返信されてくるまで数日かかるというのは普通のことかと思いますが、当方では極力メールチェックは毎日数時間おきにしております。当然見た時に必要であれば必ず返信いたしますし、分からないことなど確認したいことがあればメールいたします。


最終的に製作が確定してからでも、必要に応じて途中経過などもお知らせしております。また製作完了した後に完成画像を送っております。それを見ていただいて最終的にお支払いをいただいております。ただし、工作が難しく金額が大きくなるような場合には事前にお支払いいただく場合もあります。


メールについては出張などで見れない場合や直ぐにご返答ができない場合もご注文をいただいている場合には可能な限り当方の都合などはお知らせして了解をいただくようにしております。


オンリーワンの機材製作のご依頼について

2010-04-29 18:40:38 | インポート

市販品では満足できない、自分だけのオリジナル機材を製作したい・・・などのご要望がありましたらコメントよりお知らせください。お見積もりをご要望の場合には製作物の形状などをできるだけ正確にお知らせください。コメント欄にメールアドレスを添付していただきましたら後ほどご連絡をさせていただきます。


お見積もりをご依頼される方で金額を提示すると引かれてしまう方が割合多いですが、市販の大量製作品とは大きくことなり、オンリーワンの機材を製作するにはお考えになられている以上に手間暇がかかるものです。リング1個でもきちんと作るとどこでも1万円前後~物によってはさらに数千円程度かかるのは普通です。三脚架台やピアーヘッドなども2万円以上請求されることも珍しいことではありません。


それでもこういったことをきちんと理解された方はご依頼をされますし、完成した時には自分だけの世界に1台しかない機材となるわけですから嬉しいはずです。当方でもできるだけご予算に合うような加工を考えたり提案できることはさせていただきます。


以上をご理解の上、機材製作のご依頼等をお願いいたします。


Astro Trac用の汎用アームの製作

2010-04-28 18:52:09 | インポート

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先日から書いていたAstro Trac用の汎用アームが完成しました。日本ではたぶん使っている方は極少かとは思います。国内価格がToastなどと競合しているのも人気が出ない理由の一つでしょう。このアームは売るため・・・というより、6月からの南天遠征で使用するために製作したもので、現状では1台のカメラしか載せられず、純正のウェイト軸も今ひとつ値段の割りには使いにくそうなので自分の用途に最適なものを一から製作しました。

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このアームの機能は、左右にバランス調整ができること、また両端の雲台コマにはカメラ雲台を介してカメラを2台取り付けられます。カメラ雲台が撮影中に重さで回転したりしないようにネジ2本でがっちり固定します。このアイディアはスカイメモRのコマが撮影中に回転して首を振ってしまうことからきています。この雲台コマは簡単に取り外せるので変わりにウェイト軸を装着したり、多種多用なパーツを装着することができるように考えています。

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Astro Tracは搭載重量が15kgだそうですが・・・、実際には5kgも載せればいいかと考えています。本当に15kgまで載せるのであれば、アームをもっと長くしても構いません。この汎用アームはシステム化することを考えていますので、将来的に他の赤道儀などに応用がきくように設計デザインしています。

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今日新たに製作したのが上の画像です。タカハシのTG-SAを取り付けるためのアダプターです。日食などでFS-60などの短焦点鏡筒を載せることができ、且つ左右の微動が利きます。赤経部は微動は利きませんが、あると少しは便利です。

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マッチプレートを介してガイド鏡筒と撮影用鏡筒を2連で載せることもできます。この場合にはもう片方の雲台コマを外してウェイト軸を装着します。この汎用アームは新型のAstro Trac AGに取り付けて使用します。まだ実観測では使っていませんが、旧タイプのTT320Xに取り付けた感じは大変いいです。駆動自体もスムーズです。汎用アームはご要望があればお作りいたしますが・・・、正直なところかなり費用がかかっています。Astro Trac純正品まではいかないですが、考えていたよりかかりました。


私の場合は海外などで大事な撮影がある時には既製品では満足できないケースがあるのでこういった機材は自分でデザインして製作するなりしています。海外撮影はめったやたらとはチャンスがありませんので、行ったら確実に目的をこなす必要があるので多少の出費はやむをえません。こういった大事なところでへたにケチると大事な遠征が無駄になってしまいます。


超軽量のオートガイダー対応の新型Astro Trac AG

2010-04-27 19:07:48 | インポート

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Astro Trac AGはこれまでのものをさらに軽量化するために肉抜きを行った上に、ガイドポートが新設されました。これにより重量が1kgとなって超軽量化を実現しました。つまりオートガイド可能な世界最軽量のポータブル赤道儀になりました。

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最初に見た時は衝撃を受けたほどで、これできちんとガイド撮影ができるようになれば海外遠征での楽なことは間違いないでしょう。ただし、RA軸だけのガイドなので極軸合わせを完璧に行わないとその機能も生かしきれないでしょう。



PC不要のスマートガイダーを使えばお気楽な撮影ができると思いましたが、どうやらRAだけではキャリブレが失敗するので使えないそうです。そうなると後はSBIGのSG-4を使うか、PHDガイディングでPCを使ってガイドするかになるでしょう。いずれにせよ、大変便利なアイテムが発売になりました。

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これが発売されて直ぐに思い立ったのが、Astro Trac用のカメラアームです。アーム両端にカメラや望遠鏡を載せることができるもので、既に完成させています。後は実際の観測で使用するだけです。この新型Astro Trac AGは来月中旬の米国スターパーティーへ行った際に数台入手する予定です。まだ国内発売にはならないでしょう。国内在庫が掃けるまでは現在の320Xのままでしょう。


セレストロンCGE赤道儀

2010-04-27 09:57:14 | ブログ

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先日知人よりお預かりした「セレストロンCGE赤道儀」です。国内ではユーザー数は極少であると思います。理由は国内価格が他社高精度品と競合しているからでしょう。値段がもう少し下がっていればもちろんユーザーも増えてもおかしくありません。私が数年前に使っていた時はC-14XLT鏡筒を載せていました。鏡筒を載せるには結構な体力と工夫が必要でした。しかし、25kg近い鏡筒を載せた状態で国内GOTO機にはない最高速で自動導入を正確にしてくれるのには驚いたものです。その分動作音もやや大きいです。

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形状を見てロスマンディーG11などに似ていると感じる方も多いはずですが、聞いたところによると元々初期型も含めてロスマンディー社とは業務提携をしているようでそこで作ってもらっていることがあったそうです。G11との大きな違いはクランプフリーではないことや極軸望遠鏡が内臓式でないことなどです。搭載重量を考えると国内では天文台用の据付けタイプに相当します。それを考えると十分購入価値はあるかもしれません。

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このCGE赤道儀は既に旧タイプとなっており、現行ではCGE-Proです。現物は見て触ったこともありますが、かなりゴツイ感じです。さすがに移動観測はプロレスラー並の体力が必要です。CGE-Proは来月の米国スターパーティーへ行った際にセレストロンのブースで使わせてもらいます。


Nikon 10cmEDによるモザイク合成の月面

2010-04-26 22:59:50 | ブログ

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昨夜は素晴らしい透明度の空でしたので久しぶりにNikon 10cmEDを出して月面の撮影をしました。この鏡筒用に新たに製作した拡大撮影アダプターを使い、カメラはEOS 50Dを使いました。10枚のモザイク合成です。処理はPhotoshop CS3を使いました。シーイングはそれほど良くはありませんでしたが、それなりに良く写っています。アイピースはミードのPL26mm(sr5000)です。NAV-SWは拡大率が高くなるのでこの撮影では使っていません。いずれはもっと拡大率を上げてさらに高精細の月面に仕上げる予定です。


2004年復刻版εー130/160用補正レンズ譲ります!

2010-04-25 23:07:25 | ニュース

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2004年度に復刻版として発売されたεー130/160の補正レンズをお譲りいたします。マルチコートされたもので、初期のものより反射が少なく透過率に優れ且つ曇りにくくなっています。最近幸運なことに諦めていたデジタル対応の補正レンズを入手しましたので、放出することにしました。ご要望の方はコメントよりお知らせください。ヤフオクへ出しても良いのですが・・・、それほど売り急いでおりませんのでこちらへ掲載しました。

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南天遠征では結構役立つ Toast Proの汎用アーム

2010-04-25 19:22:01 | ブログ

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去年の夏に発売された話題の「Toast Pro」ですが、南半球で使用しようと考えた時に最も撮影したい構図では死角ができることに気がつきました。それで製作したのが下の汎用アームです。形状は単純ですが、これがあると無いとでは撮影スタイルに大きな違いがでます。固定するにはトーストの円形の回転台座にある1/4インチネジ穴を2箇所利用してキャップボルトを締めます。

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キャップボルトは頭が出ないように溝に段差を作っています。ボルトを緩めるとアームがスライドしてちょっとしたバランスを取れるように工夫しています。アームの左右にはそれぞれ、1/4インチボルトとタカハシTG-SPのウェイトユニットが装着できるようにしています。カメラ一台と広角レンズならこの組み合わせで十分です。

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本来はこういった使い方はしないでオリジナルのままで気軽に使うというのがこのトーストなんでしょうけど、それではどうしても使いにくい部分があるのでこの汎用アームを製作した次第です。このシステムで実際に南半球で使っていましたが、大変役に立ってくれました。もし、ご要望があれば製作をお受けいたします。他にもこのアームからヒントを得て新たなアイディアがあればご要望に従い製作いたします。コメント欄よりお知らせください。メールアドレスは必ず添付されてください。


極軸望遠鏡のはなし

2010-04-24 18:10:09 | ブログ

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赤道儀には必ずといって付いている極軸望遠鏡ですが、大型赤道儀には無いものもあります。固定観測派には無くてもきちんと星を使ってセッティングしてあればそれ以降はあまり使うことはないでしょう。しかし、遠征観測/移動観測派には必需品です。極望はメーカーによって違いますが、概ね数種類ほどに分けられます。最も一般的なビクセンGPタイプは日付と時間を見て北極星の時角にパターンを調整してそこへ北極星を導入するものです。

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タカハシの赤道儀も方法としてはビクセンのタイプに近いですが、最近の機種に付いているものはそれをさらに高精度で追い込んでセッティングするタイプです。このタイプではきっちり追い込んで調整をすれば赤道儀の追尾精度も手伝ってオートガイドを使わずとも短焦点鏡筒なら5分以上でもガイド撮影が可能なほどです。

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もう一つのKenkoのスカイメモ、NES赤道儀、或いはロスマンディー赤道儀などに採用されている極望は北斗七星、カシオペア、南十字などが描かれた視覚的に分かりやすいタイプです。南天遠征派には南天での極軸合わせがしやすいので人気があります。中にはわざわざKenkoの極望にアダプターを製作してコンバートする方もおられます。実は私もその中の一人です。かなり前にGPD赤道儀を持っていくために極望のコンバート加工をしてもらいました。思ったとおりで大変便利でした。南天での極軸合わせは何度も遠征している私でさえ久しぶりに行くととまどってしましい、極軸合わせに30分以上かかったりします。

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良くある南天遠征ツアーでは専属のスタッフが極軸合わせの講習会を事前に行ったり、現地で一人一人調整ができるように手伝ったりしているようです。それだけ南天での極軸合わせは難儀なことです。これから南天遠征のシーズンに入ってきますが、現地へ行ってからまごつかないように極軸合わせの特訓を積んでおいたほうがいいでしょう。またの機会に南天での極軸合わせについて書きます。

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極軸望遠鏡は取り外し可能なものや後付けするものがあります。基本的に装着された状態の機種ではめったやたらと外すものではありません。しかし、仮に外したとしても本来は元の中心精度を維持されてなければいけないのですが、実際には一旦外すと中心が狂ってしまう機種があります。その中でも良いと感じたのは、タカハシ製品で、他にはビクセンSXW/Dです。一旦外して元に戻しても中心がほとんど変わりません。先日KenkoスカイメモRの極望を外してから元に戻したところ、中心が全く狂ってしまいました。元にもどそうにも内部構造で極望先端の大部分が中空に浮いた状態になっているために位置が定まらず元に戻すのが至難の業でした。これはスカイメモの構造自体のことなのでどうすることもできません。メンテナンスの必要が出たら当社へ送ってください。ということなんでしょう。