これまで多くの方々に使っていただいている「TeleGizmosカバー」ですが、当店からの説明が十分で無かった事により、内部の赤道儀などが濡れていたという報告が来ておりますので、私が普段からどのような使い方をしているかについて、実例にて説明をさせていただきます。
まず、現在当店では4種類のTeleGizmosカバーを愛用して使い続けておりますが、梅雨時であっても赤道儀に水滴が付着していたような事はありませんでした。カバーを使われる環境や使う機材、また使用するモデルによって、その状況は変わりますので、あくまで当方が使っている状況でお話しします。
まずこの大きなカバーは、T-316という経緯台タイプの大きなカバーですが、既に4年以上使い続けています。この状態でずっとカバーを被せた状態ですが、内部の機材は全く問題なくカバーを外すと直ぐに電源ONにして追尾を開始します。
機材はこのPENTAX MS-4赤道儀です。バッテリーとコンソールも一緒に置いてありますので、雨などの侵入があれば電子部品の塊なので動作不良に陥ることはあるでしょう。しかし現状では全く問題なく動作してくれています。各部のネジ類もスチール製ですが、錆びるような事もありません。ただし、梅雨どきなどは天気が良い時にカバーを外して1日放置しておく事があります。このカバーは上や横から雨や雪の侵入を防いで機材を保護してくれると共に、紫外線や熱から機材を守ってくれる働きも同時に持ち合わせています。しかし万能とは言えない部分も特に日本の高温多湿で雨が多い環境では、使用する場合の注意があります。
このMS-4用のカバーはピラーの下部をわざとに開けて通気性を良くしています。TeleGizmosカバーは外部からの水分などを侵入させない働きがあるのですが、内部に入り込んだ水蒸気も逃さないで保つ事もあり得ます。故に下部は大きく開けておき、内部に入り込んだ水蒸気を逃す必要があります。カバーの下部には引っ張るコードが付いていますが、それは日本の環境では敢えて使わずに上から被せるだけで使います。
TeleGizmosカバーが生まれたのはテキサス州で雨の降らない地域です。下部のコードは砂や埃の侵入を防ぐためのものだと考えており、日本のような環境では使わない方が良いと感じています。もしこのコードを引っ張って下部を絞ってしまうと、下部の開いた隙間から水蒸気が入り込み、それが逃げないまま望遠鏡に付着してしまうので、光学製品良くありません。
こちらは、T3R4というタイプですが、内部にはNikon 10cm赤道儀だけが入っています。カバーはこんな感じで赤道儀の下くらいまでしか被さっておらず、下からも水蒸気が入りやすい状態になっています。しかし、雨の降っている日でも赤道儀が濡れているような事はありません。これだけ大きく開けていると水蒸気が入りやすい分抜けやすいので、内部に水蒸気を保持し続ける事もありません。
本来は、こういう使い方は良くないので、一晩やふた晩くらいなら一時的に問題ないですが、一ヶ月以上とかなるとちょっと心配です。しかし現状ではそれ以上放置していますが、全く問題なく使えています。ただしモーター類は外して部屋に保管しています。
こちらはずっと小さいカバーT3ETですが、普段はポータブル赤道儀に使っています。しかし今は使っていないので庭の大型双眼鏡に被せています。これも下部を大きく開けた状態で上から被せただけで使っていますが、内部で結露しているような事もありません。
T3ETを外して地面に置くと立ったままで形状を保持しています。それだけカバーがしっかりしているからです。TeleGizmosカバーは二層構造になっており、外部生地がNASAが開発した紫外線にも強い生地を使っており、外からの雨や雪や砂などから機材を保護してくれます。内部生地は、外側ほど強くは無いですが、主に熱を遮断する働きをしており、外気温が40度にもなる直射日光を赤道儀などに伝えないで熱から機材を保護する働きがあります。カバーを送る際にこの生地を傷つけないようにタオルなどで緩衝するように伝えておりますが、ここに穴などが開くとそこから水蒸気が入り込んで内部に水分をいつまでも含んだ状態になるので、そうならないように伝えています。もしそうなった場合には裏返して十分に感想させる必要があります。
このミヤウチのフローライト双眼鏡は梅雨の間も雨風にさらされていましたが、レンズが曇ったりする事も無く無事でいます。ただし梅雨時は流石に湿度が高くなるので、少しでも隙間があると、そこから水蒸気が入り込んで内部を結露させる場合があるので、その場合は一旦室内に入れるか、カバーを外して状態を見るなど、内部に水蒸気が保持し続けないように気を使う必要があります。
TeleGizmosカバーは、素晴らしいカバーでありますが、どんな素晴らしい製品でもその性能を有効になるようなベストな使い方があると考えています。ただ日本の環境は世界の中でもTeleGizmosにとっては過酷とも言えるので、そんな中でも最高のパフォーマンスを発揮してもらうためにそれぞれご自身が使われている環境を理解して、末長く愛用できるよう気遣いしつつ使っていただければと思います。本来なら説明書を入れて販売すべきでしたが、今頃になってこんな説明をしていることに大変申し訳なく思っております。お使いの方々にはこの説明を参考にして引き続きご愛用いただければ幸いです。
ここ数日間ブログも更新しておりませんでしたが、日曜日から成田空港で国際便の荷物の引き取りと通関作業をしてきましたので二日ほど出ておりました。物が大きかったので、送料や通関手数料を考えて敢えて成田空港でピックアップする受け取り方法を選びました。いつもは海外輸入はUPSで送ってもらってDoor to Doorで届いていたので自分で通関作業などする必要がありませんでした。
無事に通関作業をして倉庫から荷物を受け取ったのは良かったですが、車に乗せようとしたらご覧の状態で見た瞬間”これはヤバイ!”と感じたほど巨大な箱だったので焦りました。しかし奇跡的にギリギリセーフで入りました。荷物室はこれで満杯になりました。中身は当然ですが、望遠鏡です。既に行き先は決まっていたので販売することはありませんが、空港留めだと以外にもこのサイズで送料はそれほどでもなく、米国からわずか4日くらいで届きましたので驚きました。問題は内部の状態ですが、幸いにも破損も無くて安心しました。国際便で一番怖いのは破損ですが、破損の次に面倒なのは欠品と間違った商品が届く事です。欠品と間違って届くのは日常茶飯事なので慣れています。
海外輸入は時に多くのリスクを伴いますので、大きな物は手を出しにくいですが、発送元とその手段が良ければ最低限のリスクで済むので、日頃から海外販売店とのコミュニケーションはきちんととっておく必要があります。今回の荷物もできるならアメリカまで直接行って検品もしてから出してもらいたかったですが、それができない状況なので、やむなく航空便で送ってもらいました。