おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

北米日食へのパッキング

2017-08-15 17:24:55 | 旅行


明後日からいよいよ北米日食へ出発ですが、直前になっていろいろと不安材料が出てきました。17日午後にロスへ入ってからその日は民間宇宙船「Space Ship One」が打ち上げられた「Mojave」に泊まるのですが、その後2日かけてオレゴン州へ入って観測地「Madras」へ向かいます。しかし、ネットで調べているとマドラスには入れないかもしれないのです。既に現地で用意している駐車場などは全て満車となっているようで、町全体が駐車場になるにしても、それでもまだ足りない可能性が高いようなのです。

予定では、20日朝にマドラスへ入るつもりでしたが、前日のクレイターレイクでの撮影を切り上げて早く入るか、マドラスを諦めて「Bend」から「Redmond」を経由して26号線へ入り「John Day」方面へ向かうか、ベンドから20号線を走って「Salem」方面へ向かうか考えないといけなくなりました。仮にマドラスへ運良く入れて駐車ができたとしても、今度は日食後に町を出ることも計算した上で行動しないといけないので、ちょっと大変な事になってきました。いずれにせよ、皆既帯の中へは入れるとは思いますが、途中の97号線は片側一車線しか無いので、20日から21日早朝は大渋滞になって身動きがとれなくなるはずです。もちろんその時間帯にそこにいることはあり得ませんが、どのくらい前にどこへ入れば安全なのか全く分かりません。

まぁ、今さら悩んでも仕方ないので、後は現地へ行ってから情報を聞き出して臨機応変で動くつもりです。レンタカーで移動して観測される方は他にも沢山いらっしゃると思いますが、道路情報をしっかり調べた上で早め早めに行動されることをおすすめします。場合によっては、第三接触が終わった直後に現地を離れる決断をする必要があるかもしれません。



パッキングが無事に終わりましたが、受託手荷物と機内持ち込みで50kg弱くらいになりました。北米路線は23kg x 2個の受託手荷物と7kgの機内持ち込みが無料でいけます。日食や海外遠征をされる方でもこれだけ持っていく人はそう多くはないと思います。ご家族で行かれる場合には荷物分担ができるので上手に分けて負担を軽くするようにするでしょうが、私の場合は一人で全て持っていくので、この重量は慣れていても結構大変です。一見多く見えますが、相当考えて軽量化しています。



三脚はメインが1本と他に3本の計4本持っていきます。メインのカーボン三脚は、PENTAX MS-3nとポラリエ+PCB-EQ3で使います。他は夜間の星空撮影に使ったり、日食時の「RICOH THETA」での360度撮影に使うために用意しました。本当はもう一回り大きなカーボン三脚を持っていきたかったですが、荷物が多過ぎるので今回は見送りました。



この観測主要機材にも改造などを施して軽量化した姿になっています。MS-3nは、カメラ三脚仕様に改造した上でさらに純正ウェイトを使わずにペットボトルアダプターを使うことにしました。これでかなりの軽量化を図れました。日食撮影に使う2本の鏡筒は、見て分かるように極端に短くなって原型を留めないほどに改造しています。FS60CBもED70ssもフードがありません。これで日食から星空の撮影までこなします。星空の撮影は、もちろんポラリエに活躍してもらいます。毎度おなじみの「お気軽撮影海外遠征セット」です。ED70ssは、Solar Max60を取付けて皆既前のHα太陽観測をするために持っていきます。FS60CBは、白色色と皆既中の撮影に使います。それ以外は夜の直焦点撮影をレデューサー付きで行います。



こちらの微動雲台 TK-ALZM3も毎度の海外遠征機材ですが、ネジ類は全て外していきます。これが一本でも曲がると使えなくなるので予備も持っていますが、念のためネジも外していきます。海外での荷物の扱いがひどいので、ネジが曲がって届くなんてことは普通に起こりえます。またネジ類が曲がらなくても現地へついてからネジが緩んでいることなど常にあります。緩んでも現地で締められるような工具類も持っていく必要があります。

これからシンガポール航空のインターネットチェックインをしますが、聞いたところ既に満席となっているそうです。たぶん乗客の何パーセントかは日食関連の旅行者だと思います。現地のホテルは8日中6泊は予約完了しましたが、2泊は車中泊です。そのうち1泊は有名なクレイターレイク国立公園で撮影するためのもので、宿が満室なので仕方なく車中泊です。クレイターレイクの星空は絶品なので、ぜひ晴れてもらって素晴らしい撮影をしたいものです。

日本有数の星空ー立山アルペンルート

2017-05-29 16:40:11 | 旅行


昨日、立山黒部アルペンルートの室堂から戻ってきました。27日か28日のいずれかに出発しようか悩んでおりましたが、土曜日の出発で大正解でした。夕方一時雲の中に入ってどうなるかと内心心配しておりましたが、暗くなると共に雲一つない満天の星空に変わりました。透明度も10段階で9-10くらいの望み得る最高の星空になりました。

画像は「雪の大谷」で午前2時過ぎに撮ったものですが、EF8-15mmと改造したEOS 6Dを使っています。この銀河が真上を横切って雪も14メートルと残っているタイミングで撮るチャンスは1年のうち僅かです。おまけに新月後の月明かりが無く、さらに空の透明度が最高である必要があります。これだけ多くの条件が揃って始めてものにできる写真です。28日早朝がまさにそのチャンスに恵まれていました。

雪が溶けるのがかなり早くなっており、4月末の連休入りの頃で19メートルあったものが14メートルまで溶けているので、この後撮るとすると今週一杯くらい迄でしょう。撮影は積雪が最も高く残っている場所で行いましたが、夜なので分かりにくなったですが、LEDで照らしてみて最も深そうなところを見つけました。室堂山荘から30分近く歩いて辿りつきましたが、日曜日明け方でも誰もおりませんでした。



雪の大谷から戻る途中で撮りましたが、午前3時を過ぎていたので天文薄明が始まっており、東の地平線付近が明るくなっています。画面北側は富山平野の光害によるものです。この光害がことのほか大きくて、地平線から3-40度くらいの高さまでライトドーム状に明るくなっていました。撮影当初は雲海がそれにキャップをするように星空を見せてくれていたので、まるでニュージーランドで見る星空のようでした。「星明かりで影ができる」というのを始めて立山で体験したくらいの最高の星空でした。



この時期にもう一つ撮りたいのが、立山三山から夏の銀河が昇ってくるイメージです。午後11時頃には昇ってくるので、それを最高の環境で撮れました。松原湖高原や野辺山でも夏の大三角と射手座銀河は良く見えますが、その周辺の暗い星々の数は立山のほうが遥かに上です。野辺山は日本三大星名所らしいですが、あれが日本で3番目なら立山や乗鞍、千畳敷は何番目なんだと思いました。立山の星の素晴らしさは、単に光害が少ないというだけでなく、アルプスの高山であることが必然的に星空を美しくしているのだと感じています。



今回は、デジタル一眼を3種類持っていきましたが、そのうちの一台のPENTAX K-70で撮った画像です。おなじみの星を追尾する機能アストロトレーサーを使った撮影です。残念ながら未改造カメラなので、改造カメラのような写り方はしませんが、三脚とカメラだけで星を追尾する撮影ができるので山岳地帯や海外などの荷物制限がある場所へ行くには最高に重宝するカメラです。



立山へ持って行ったポラリエ+PCB-EQ3ですが、バランスウェイトがありません。実はこの状態で撮影していました。裏技と呼んで良いのか分かりませんが、カメラを垂直な位置で撮ることを前提に前後1時間くらいなら安定した追尾で撮影ができます。この状態なら駆動軸に対してはバランスウェイトを乗せた状態に近く、負荷もそれほどかからないので、追尾も安定しています。この状態では自由雲台も入れて2kg弱くらいにはなっておりますが、24mmのレンズできちんと追尾してくれています。たぶん望遠レンズでも1分くらいなら極軸望遠鏡を使うことを前提で使えると思います。



これにもう一つ要るのが、ビクセンの「ポーラメーター」です。今回の撮影では北極星の見えないところでの撮影があったので、最初から極軸望遠鏡は使わずに、ポーラーメーターを使いました。これから登山や海外などで荷物を極力持たないで撮影する環境へ行かれる方は参考にされてください。



画像の下にちょっこり写っている「雷鳥」です。曇った日などでないと見られないと考えられていますが、意外にも宿の側で写真を撮っていて目線を下に移したところ雷鳥がおりました。ひょこひょこしていて可愛いです。



立山には確認されているだけで、300羽ほど生息しているそうで、その数はとても少ないです。色合いが派手なのがオスで、茶色っぽいのがメスです。雷鳥との距離はわずか数メートルほどでしたが、怖がることなく写真を撮らせてくれました。



室堂周辺にはいくつか宿がありますが、星の撮影に最も適した宿がこの「立山室堂山荘」です。温泉に入りたいのなら「みくりが池温泉」ですが、土日はいつも混んでいる上に個室などはまず使えないので、室堂山荘なら土日でも個室が空いているので、星の撮影なら迷わずこちらだと思います。ホテル立山は一泊数万円もしますし、下界の高級ホテル並みのサービスは期待されないほうがいいでしょう。室堂山荘には綺麗なお風呂もありますし、インターネットもWiFiが無料です。宿の直ぐ側で最高の撮影ができます。宿からの明かりも気にするほどではありません。冬は雪があるので安定感に欠けますが、基本的に何処でも撮影ができるので便利です。



これが宿の夕食です。二食付きでも素泊まりでも泊まれるようですが、私は二食付きで泊まりました。山小屋よりはいいですが、似たような食事です。あまり期待しないほうがいいでしょう。ご飯とみそ汁はおかわりできます。



こちらが朝食です。朝5時近くまで撮影をしていて、食事は6時から7時半までに食べないといけないので辛かったですが、ほとんど寝ずに朝食を食べて出てきましたので、帰宅途中のドライブではふらふらでした。一般的な山小屋では朝5時過ぎから朝食です。朝が苦手な方は天体撮影が目的の方は食事無しがいいでしょう。ただし、天文ファンなどにありがちな、グループなどで夜遅くまでドタバタ廊下を歩いたり、騒いだりしないようにしたほうがいいでしょう。天文ファンのグループは遅く迄起きているので結構迷惑がられます。山小屋では早寝早起きが鉄則です。それ以外の時間は静かに過ごすべきでしょう。



山での風景はいくら見ていても飽きることはありません。外のベンチで静かに夕日を見送っているだけで優越感に浸れます。普段は八ヶ岳の風景に触れて過ごしていても、環境が違うとそこはまた別世界です。



普段から海外へ良く出て撮影をしておりますが、今回見た星空は日本で見られる最高の星空と言えるでしょう。海外でいくら素晴らしい星空を見て体験していても、それ以上に素晴らしいのは日本でそれを見られたことです。今や日本のどこにでもある光害で、星が見えるところが少しづつ減ってきているのは残念ですが、まだこんなところが日本にもあることが素敵です。私が屋外の雪の上で撮影していると、女性らしき人が二人写真を撮っているらしく、盛んに地面に光をあてて何かをしていたので、聞いてみたら「星の写真を撮っています」ということで、驚いたのは三脚を使わずに雪にコンデジを置いて綺麗に写真を撮っていました。少し話しをしてみると宿の従業員でした。彼女達曰く、「星があまりに綺麗だったので、それを撮りたいと思い星の撮れるカメラを買った」とのことでした。至極最もなことだと感じました。ちなみにそのカメラは二人とも「Canon」でした。



今晩も良く晴れているので、条件が良ければ「白駒池」へ上がるつもりです。標高2000メートルオーバーですので、下界よりは星を撮る条件は良いはずです。

悪天候の日々

2015-12-16 18:06:35 | 旅行


今日で3日目ですが、指宿に来ています。天候はこんな感じです。こういうことはめったにないのですが、今回は滞在中全く星が見えなくてお手上げです。
普段は山猿として八ヶ岳の山中で暮らしているので海が見えるのは新鮮です。元々は海が好きな人間なのですが、なぜか山に暮らしています。明日鹿児島からANA機で戻ります。いろいろたまった仕事を片付けていきます。発送関係でお待たせしていた方々にはご迷惑をおかけしましたが、18日から発送させていただきますので、今少しだけお待ちください。



今回持ってきたこの機材は"お荷物"となりました。バックから出さないで戻るのも悔しいので、組み立ててみました。これからこの形が私の撮影スタイルとなります。一つはアイピースを使ったお気軽コリメート撮影です。



もう一つはミラーレス機を使ったお気軽直焦点撮影です。いずれも主役となるのは、このポラリエとBORGです。



先日お知らせした新たなφ60チューブホルダーセットは、近いうちに製作に入りますが、ご注文は近いうちにお受けするようにいたします。

ところで、好評販売中のポラリエ雲台ベースセットは、そろそろ残り少なくなって一桁台の在庫となってきました。次の製作は来年年明けとなりますので、年末に使う予定のある方はお早めにご注文いただければと思います。TK-ALZM3は年内に仕上がりますが、今回の製作数がいつもの半分程度しかないので、こちらも売れてしまうと次の製作は未定です。カメラ撮影、ミニ経緯台、微動雲台の3wayの使い方ができる唯一の商品です。

鹿児島へ来ています

2015-12-15 19:16:40 | 旅行


昨日から九州の宮崎と鹿児島へ来ています。偶然にも宿泊しているホテルの上空をANA機が飛んでいたことを画像を見て知りました。

所用のために30年ぶりに九州を訪れましたが、何もかも変わっていて驚きました。天候が良ければ"ふたご座流星群などを撮るつもりで機材を20kg近く持ってきました。



残念ながら桜島周辺もご覧の天候です。昨日は夕方頃まではやや晴れていましたが、すぐに雲に覆われてしまい、今朝ホテルを出るときには雨でした。その頃自宅では快晴のようでした。遠くへ来たから晴れるとは限らないので、大事な撮影の時には自宅付近で撮るのがベストです。



昨日の夕方はこんな空でした。ロケーション的には良いところですが、晴れなければ何もできません。今日は宮崎から鹿屋を経て桜島へ来てフェリーを乗り継いで鹿児島市へ来ています。今日はどうしてもお会いしたかった人がいたので、いろいろと貴重なお話ができました。お会いした方は以前に天文関係の仕事に就かれていたそうで、今は全く異業種の経営をされています。短い時間でしたが良い勉強をさせていただきました。



明日は指宿方面へ行く予定ですが、予報では晴れそうな感じです。ここで晴れてくれないと20kgの機材が無駄になってしまいます。国内なら直前まで天気を見て動くべきでしたが、東京ー鹿児島の往復チケットが45日前に買ったので、2万5千円で済みました。国内線を10年ぶりくらいに使いましたが、最近は軽食さえ出ないことが分かりました。自分の席の周りは全て弁当持ち込みしていました。最近のLCCは海外路線でも食事が一切でないそうですので、その都度食事を自分で用意するか事前に予約するかになるでしょう。まぁ、国際線の乗り継ぎ便でその都度食事を出されるのにも閉口しますが、それを考えたらまだいいかもしれません。