おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

トラベルドブソニアン T-Dob 30

2014-09-15 13:29:31 | トラベルドブソニアン30
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紆余曲折を経て完成したT-Dob 30です。


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厳密にはまだ海外へ持っていける状態ではありませんが、光軸調整機構を改良すれば完成します。とは言ってもこの状態で観測できるまでには仕上がっています。


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3年半前にニュージーランドへ持っていった時のT-Dob 40から悩みに悩んでこの30を作り上げました。総重量は23kgあります。当初の18kgよりはオーバーしていますが、これから5kg減量するのは至難の業です。主鏡セルユニットだけで12kgあるので、それ以外の部分で6kgに抑えるのはこの構造では厳しいです。


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主鏡ユニットの次にウェイトが高いのがこの架台ユニットです。この部分で5kg近くあります。ほとんどの部材を3mm~4mmのアルミで作っているので、細かい部分の強度などを考えてこの形状になりました。こういうものは大学の研究室で精密に作り上げるものとは違うので、ある意味作ってみないと分からないところが多くあります。他に参考になるものがあれば良かったですが、その形状以外には参考にするものはありませんでした。

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当店の人気商品のポラリエ雲台ベースのように小さなものなら試作せずとも分かることは多いですが、これだけ大きなものとなると、そう簡単ではありません。かといって作ってみてだめだったら良いという訳にもいきません。これにかけた費用は市販のトラベルドブを数台は買えるくらいです。しかし、今回製作してみて新たに多くのことが分かりました。それはかけた費用以上に大きな成果でした。


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部材のほとんどは、図面をレーザーカッティングマシンに打ち込んでからカットしてもらっています。当然のことながらその部材を何に使うのか作る側は分かりません。しかし加工精度が高かったのに助けられて何とか仕様とおりに仕上がりました。他にもアルミパイプを12本と細かい部品を多用しておりますが、それらは旋盤やNCフライスにて作っています。いずれにせよ多くの機械と人の手によって作られているものです。

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この種のドブソニアンのネックでもある光軸の再現性については、まぁまぁ合格だとは思いますが、鏡筒の向ける位置によって僅かに狂ってしまいます。これはどの機種でも大なり小なりあるものだと思っていますが、問題はそれの許容値がどのくらいかです。私の場合はこのT-Dob 30で惑星の高倍率観測などはするつもりもありませんので、星雲星団を流してみる分には問題ないレベルにはあると考えています。逆にそこまでの精度や見え方を作る際に追求される場合には、筒型のドブソニアンを使うべきではないかと思っています。

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このT-Dob 30の光学系はMeadeのライトブリッジから外したものです。元々の仕様ではデジカメで撮影する場合には合焦しなかったので、筒全体を少しだけ短くしてそれを改善して合焦するようにしました。接眼部はそれを考えてヘリコイドを組み込んでいる上に、ドローチューブは手で引き出すことができるように作っています。これにより眼視と撮影の両方に対応するようになりました。撮影と言っても追尾装置を組み込んでいる訳ではないので、そのままでは当然流れてしまいます。しかし、最近のデジカメはコンデジも含めて高感度且つ低ノイズ化されつつあるので、将来的には追尾していなくても撮影ができるようになるでしょう。
                                                     

ファインダーは、ミードのETX90用を持っていたので、それをイージーに取り付けました。着脱もワンタッチです。Redドットファインダーは視野が広過ぎて星を探すのに苦労するので、普通の光学ファインダーにしました。接眼体の位置は4箇所のネジを緩めて斜鏡-接眼体ユニット全体を回転させることで位置を可変させることができます。基本的に可変させても光軸は大きくはずれません。

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移動の際の分解は工具レスでできます。車での移動だけなら筒部を半分だけ残した状態で車に積み込んで、観測地へ到着してから残りの部分を組み立てれば数分で組み上がります。また海外遠征に持っていく場合には、できるだけ小さくしてダンボール箱へ入れてしまえばコンパクトに収納ができます。重量は23kgですので、Air New Zealandなら片道8000円x2=16000円で持っていくことが可能です。当然それ以外の荷物も23kg無料で持っていけます。
                                                     

まだこの他に黒のシールドも作らないといけませんし、細かいところを改良するつもりです。それができたら近いうちにオセアニアへ持っていくかもしれません。
                                                     

このT-Dob 30には興味を持たれる方はいらっしゃるかもしれませんが、現状では製作販売云々ということは全く考えておりません。やはりまだまだ一般的ではないですし、既製品もお値段が普通のドブソニアンから考えると決して安いものではありません。確かにドブソニアンは劇的に安くはなりましたが、一般の天文ファン以外の方々を引き込むほどの魅力は感じません。今後この種のドブソニアンがより多くの人々に受け入れられていくかは、単なるお値段だけでないデザインなどの別な魅力が必要だと考えています。


順調に進んでいます

2013-09-23 17:40:51 | トラベルドブソニアン30

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T-Dob30の製作が進んでおり、約8割方仕上がってきました。残りベース部分のみですが、もっとも大事な部分なので、来月に入ってから慎重に作業していきます。画像の部品は1点だけですが、全体の強度を保つための大事なパーツで、何点か作ってみて一番良いものを採用しました。仕上がりは以前の40cmからは大きく進化していると思います。固定してあるキャップボルトは仮付けしてあるだけなので、仕上がり時には工具レスで固定できます。

ベース部分は木工工作でモデルを何度か作りながら全体のバランスなども見ながら最終的な形状を決めているので、大きなミスもなく順調に進んでいます。架台部分で悩んでいるのは、いずれモーター駆動させることを想定しているので、その辺でちょっと悩んでいます。いっそのことGOTO仕様にすればいいですが、そこまでやっているときりが無いので、できるところで留めておくつもりです。


トラベルドブソニアン30のミラーが届きました!

2011-12-05 13:38:15 | トラベルドブソニアン30

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予定より2日早く今朝米国より届いた30cm主鏡、斜鏡などです。

元は、ミードのライトブリッジ12から取り出したものです。取り出しから梱包~発送までは米国ショップ担当者がやってくれました。前回渡米した際に依頼して支払いも済ませておいたものです。丁度タイミングよく、ミードのセールがあり、購入するともれなくアイピースセットが無料でもらえるということで、今回の購入に踏み切りました。アイピースセットは、米国の知人が申請してその自宅に届くようになっています。この特典は、米国内での購入と在住者のみが対象ですので、日本から仮に購入しても申請はできません。


抜け殻のライトブリッジ12は、ショップで販売してくれるので大変有りがたい対応です。これも長いお付き合いがあるからで、普通はやってくれないでしょう。以前にも40cmで同様の対応をしてもらいました。ミラーなどを単体で購入すれば良いだろう・・・と思われるかもしれませんが、逆に高くついてしまうのでセットで買ったほうが遥かに安くつきます。まぁ、だからといって当方にご依頼はされないでください。あくまで自分で使う分だけの対応で無理をお願いしています。


とりあえず大事な光学部品が届きましたので、これから来年にかけて新たな「超最軽量のトラベルドブソニアン30」を製作していきます。目標重量は15kg以内を目指しています。完成したものは、来年春~のニュージーランド遠征へ再び持っていきます。やはり、こういうものは自分でやってみることが大事です。40cmもまだ作り直す予定ですが、重量がかなりオーバーだったので、今度はもっとお気軽に使えるようにじっくり考えて作ります。