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「婚活」以前にまず、恋をしよう

『後悔しない「産む」×「働く」』より

今どきの日本人は恋愛低体温

 結婚を望んでいる人が、なぜ現実には結婚できていないのでしょうか。

 まずはだいじな恋愛問題。実は、そもそも日本人って、あまり恋愛していないんです。

 独身の3人に2人には、恋人がいないそうです。正確にいうと、「『交際している異性はいない』と回答した未婚者の割合は男性69・8%(前回61・4%)、女性59・1%(同49・5%)といずれも前回から上昇した。また、交際相手をもたず、かつ交際を望んでいない未婚者は、男性では全体の30・2%、女性では25・9%を占めている』」(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」2015年)という結果でした。

 6~7割の人には、彼氏や彼女がいないのです。意外に多い数字だと思いませんか?

 同じデータから、「性経験のない未婚者の割合が2000年代後半より増加傾向にある「男性前回36・2%→42・O%、女性同38・7%→44・2%)」ということもわかります。男女ともに20代では5割近く、30代でも4人に1人は交際経験がありません。

 もしあなたが、ちょっとでもいいなと思う人に出会ったら、「恋人がいるんじゃないか」なんて遠慮をしていないで、積極的にどんどん声をかけてみてよいのではないでしょうか。

恋人がいなくても平気?

 そんな独身男女の7割が、親元で暮らしています。いわゆるパラサイトシングルといわれる層ですね。親と暮らしていればさびしくないし、生活のこまごましためんどうもみてもらえて、経済的にも余裕があります。

 その恵まれた状況をペースに、男女ともにリアルな恋人を求めるより、二次元やアイドルの世界に没頭するという人が少なくありません。女子は、ママと仲良しという人が増えているようです。へたに気の合わない恋人と過ごすより、お母さんと出かけるほうが楽しいということなのでしょう。

 ショッピングもお食事も観劇も旅行もイベントも母子密着。こういう独身女子たちは、「ママも一緒に!」というので、「ママも族」と呼ばれたりしているのだそうです。

 このように、恋人がいなくても親元の快適な環境に守られる暮らしが続いていれば、あえて生活を変えようという気にならないでしょう。恋に傷つくこともない。しかし、その居心地のよさをそのままにしていてよいのでしょうか?

待ち受け×待ち受け

 恋人がいない人が多い最大の要因は、恋愛アプローチのしかたに問題があるからかもしれません。

 ある調査によると、独身女性の大多数が、「恋愛は待ち受け状態だ」と答えているんですね。アンケートで、「恋愛では相手からのアプローチを待つほうだ」と答えた女性が、全体の73%、7割以上もいました(電通総研「『イマドキ独身女子の結婚観と恋愛の実態』とは?」2010年)。

 では、相手となる男子はどうでしょう。同じアンケートを男性にとると、男性の6割が、やはり「恋愛では相手からのアプローチを待つほうだ」と答えています。

 ということは、何が起きると思いますか?

 待ち受け男子と待ち受け女子が、ある日、出会います。出会って……何も起きません。

 心の中ではお互いにちょっといいなと思うかもしれないのですが、それっきり何も起こらない。お互いに待っているから。……客観的にみるとそんな残念な状況が、そこここで展開しているようです。

 男も女も、恋愛はぜひ自分から積極的にアプローチしていってほしいのですが……。
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豊田市中央図書館への指定管理者制度導入をめぐる要望・陳情等と回答

『図書館年鑑2017』より 公共図書館 図書館業務の外部化に抗して

[豊田市中央図書館への指定管理者制度導入をめぐる要望・陳情等と回答]

 [平成28年6~9月]

 豊田市の図書館を考える市民の会、図書館友の会全国連絡会/豊田市長、教育長、議会議長

 豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書

  平成28年6月16日

  豊田市長、教育長あて

  豊田市の図書館を考える市民の会代表、図書館友の会 全国連絡会代表

  [前略]「豊田市の図書館を考える市民の会」は豊田市中央図書館が市の責任において運営され、真に市民のための図書館であることを願う市民の会です。また「図書館友の会全国連絡会」は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している全国組織です。

  私たちはこれまで講演会や他の図書館の視察を通して指定管理者制度について学習し、意見交換をしてまいりました。その結果、指定管理者制度を拙速に導入することがこの先の豊田市の行政に大きな禍根を残すのではと危惧しています。

  私たちは下記の理由により平成29年度からの豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画を凍結し、市民を交えて再検討することを強く要望します。

  つきましては、提出しましたこの要望書について、早急にご検討いただきその結果をご連絡くださるようお願い申し上げます。また広く市民に向けた説明の実施についても、ご検討いただきますよう、併せてお願い申し上げます。

  要望理由

   1.「豊田市中央図書館運営基本方針の3つの柱と7つの方針」を実現させるために指定管理者制度を導入すると説明されていますが、図書館が作成している説明資料からは、どうして指定管理者制度導入へと結論が導かれるのか理解できません。

    現状の直営体制のどこに問題があるのか検証が不十分です。指定管理者制度導入のメリットとされている「司書率の向上」と「開館時間の延長」は、直営でも実現可能なことであり、逆にデメリットは豊田市の考えている対応策で解決できるものではありません。豊田市中央図書館運営基本方針に盛り込まれた図書館の位置づけや機能を発揮できる体制作りの実現は、直営を維持してこそ具体化できます。

   2.豊田市中央図書館への指定管理者制度導入についての議会での論議は不十分であり、指定管理者を7月から募集することは拙速です。地方自治法第244条の2第3項「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。しかし「豊田市中央図書館サービス向上計画書」からは設置の目的を効果的に達成するという根拠が読み取れませんし、膨大な計画書そのものがどれだけ検討、討議されたのか、疑問を感じています。また、議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。

   3.指定管理者制度導入について検討する以前に、豊田市全体の施策の中に図書館をどう位置づけているのか十分検討されていません。学校、ネットワーク館、豊田市の他の部署との連携を含め、知の拠点として図書館がどうあるべきかを行政計画全体の中で考えることが先決です。

   4.図図書館は市民の財産です。運営形態を変える計画について、市民への説明責任を果たされていないのは問題です。図書館協議会の場でも委員から不安や疑問の声があがっています。その事実を無視して、指定管理者制度導入を推し進めることは市民の声を聞いていないのと同じです。

   5.指定管理者の選定の流れに不透明さを感じます。豊田市は「豊 田市中央図書館サービス向上計画」策定業務を図書館総合研究所に委託しましたが、図書館総合研究所は図書館流通センターの子会社であり、報告書は図書館流通センターの手法を具体的に提案しています。一つの企業に有利な流れが出来っっあります。また「他市での実績があるから安心」ということは安直な判断であり、他市では期待された効果があがっていない事例も多くあります。私たちはどの企業であろうと、十分な審議を経ない拙速な指定管理者制度導入は反対です

  回答書

   平成28年6月30日 豊教図発第542号

   豊田市の図書館を考える市民の会代表、図書館友の会 全国連絡会代表あて

   豊田市長、教育委員会教育長

   平成28年6月16日付けで受理しました「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」について、下記のとおり回答します。

   記

   本市は、今回の指定管理者制度導入にあたっては、平成26年に実施した市民・利用者アンケートをもとに、市民が図書館に求めるニーズを把握し、利用者代表を含めた図書館協議会、ボランティアとの意見交換会など市民を交えた数々の場において、協議し、意見交換を行ってきました。

   また。市民の代表である議会においても、これまで全議員に対し、平成28年1月と6月に指定管理者制度導入に係る事前説明並びに協議を行うとともに、平成28年3月市議会定例会及び6月市議会定例会において延べ5名の議員からの一般質問に対する本市の答弁を行うなど、ご理解をいただきながら、目指すべき図書館像や、それを実現できる運営体制などについて議論を深めてきました。

   本市としては、市直営の(仮称)図書館管理課を、中央図書館館内に設置するなど、これらの協議や意見交換会の場でいただいた意見を運営体制に反映したうえで、指定管理者制度を導入する方針を平成28年3月に決定し、平成29年4月に移行すべく手続きを進めているところです。

   今後も、引き続き、市民や議会との協議や意見交換を行いながら、より多くの市民に親しまれ、利用される図書館となるよう努めてまいります。

  ご回答についての質問

   平成28年8月5日

    豊田市長、教育委員会教育長あて 図書館友の会全国連絡会代表

   私たちの要望書「豊田市中央図書館への指定管理者制度導入計画の凍結・再検討を求める要望書」(平成28年6月16日付)に対する、豊田市長及び豊田市教育委員会教育長からのご回答書(平成28年6月30日付、豊教図発第542号)を拝受いたしました。このことに対しお礼を申し上げます。

   さて、私たちはご回答内容を子細に検討させて頂きました。その結果、以下の2点において不十分な点があること、また、豊田市の事例が、誤った情報で全国に波及しないように、再度ご質問させて頂き、ご回答をお願いすることになりました。

   第1点目は、要望書の要望理由2の末尾に述べた「議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。」に対する言及がどこにも見当たらないことです。このことにつきましては、下記のとおり質問いたしますので、お忙しいところ恐縮ですが8月12日までに下記連絡先に文書でのご回答をお願いします。

   第2点目は、ご回答は指定管理者導入の経過をコンパクトにまとめたものであり、私たちの要望項目との関連が希薄となってていることです。重ねて同じ内容の要望・質問をすることは避け、改めて後日意見を提出しますので、その際はよろしくお願いします。

   記

  【質問】

   「議会での条例改正の議決を経ていない段階での指定管理者の募集は、明らかに議会軽視であり、法令違反です。」(要望書の要望理由2)についてお答えください。

   貴市が図書館条例の改正手続きをしないで,「広報とよた」71月1日号で指定管理者募集をしたことを、議会軽視と考えておられず、また法令違反ではないと考えておられることについてその理由をご説明ください。もし貴市が「9月市議会での条例可決を前提にした停止条件付の指定管理者募集を行うので法令違反ではない」とお考えならば。その根拠をご説明ください。貴市として説明責任があるものと、私たちは考えております。

  回答書

   平成28年8月16日 豊教図発第832号 図書館友の会全国連絡会代表あて 豊田市中央図書館館長

   平成28年8月5日付で貴会から提出のありました質問書に対しては、下記のとおり回答します。

   記

   平成28年6月30日付豊教図発第542号において豊田市長および豊田市教育委員会教育長より回答させていただいた通りですので、ご理解いただきますようお願いいたします。

   豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないことを求める陳情書 平成28年9月2日

   豊田市議会議長あて 図書館友の会全国連絡会代夏

陳情理由(陳情要旨)

 私たち「図書館友の会全国連絡会」(以下,「図友連」という)は、公立図書館の充実と発展を求めて活動している図書館友の会の全国組織です。私たちは図書館のあるべき姿として、2009年に「私たちの図書館宣言」を発表し、公立図書館の振興・発展のための活動を行ってきました。

 この度豊田市が、豊田市中央図書館に指定管理者制度を導入する条例案を議会に上程すると伺い、この条例案に反対します。条例案を議会で審議していないにも関わらず、8月に指定管理者の募集をしたことは、法令違反で不適切な行為です。太田市長に当会から質問状を提出いたしましたが、条例改正手続きを先行しなかった合理的な理由は伺えず、議会軽視と考えます。

 ご承知の様に豊田市中央図書館は、図書館法に基づき設置された地域社会の発展になくてはならない大切な教育機関です。図書館は教育委員会の責任で設置し。直接、管理運営されるべきであり、指定管理者制度の導入は公立図書館の基盤を破壊するものだと私たちは考えています。渡海元文部科学大臣、片山元総務大臣、また日本図書館協会は公立図書館への指定管理者制度導入は「基本的になじまない」と述べています。

 その理由は、公立図書館の運営を指定管理者が行えば、次に述べる大きな課題が顕在化するからです。指定管理者制度が導入されてから10年になりますが、全国の図書館3,241館の導入率は13.2%(2015年)と他の公の施設に比べ低く、且つ導入後直営に戻した図書館が12館あることが、それを示しています。豊田市にも次に述べる指定管理のデメリットがあると考えます。

 1 制度上の課題

  ・指定期間が3~5年間であり、また指定管理者が継続して採用されるとは限らず、安定した長期雇用が保障されません。図書館法に規定された図書館サービスを行うには、司書の専門性と継続性が重要です。そして司書の研修機会の確保が必要ですが、指定管理の図書館ではこの点が大きな課題となっており、豊田市の場合も同様ではないかと考えます。

  ・図書館法第17条には、公立図書館における「無料の原則」が規定されており、指定管理者側の経済利益は、人件費を抑えることにならざるを得ません。そのことにより労働問題が発生しています。豊田市の場合は、指定管理者に特別の経済的利益を与えるのでしょうか。

 2 設置者側からの課題

  図書館に関する政策立案や図書館サービスなどの立案に当たっては、現場の図書館員の参加が必要だと考えます。また、公の施設の安全性の確保に関して、指定管理者と地方公共団体との責任分担が明確でなく日常の密接な連携がとれない事例が各地で起こっています。豊田市の場合、教育委員会内に「図書館管理課(仮称)」を設置することでこの課題に対応しようとしてい・ますが、図書館現場の経験のない職員が、指定管理者を適切に管理が出来るとは思えません。

 3利用者側からの課題

  ・図書館の利用者にとって図書館法第3条に定める図書館サービスを受けるためには、所蔵資料を把握し、地域事情にも精通し、資料の専門的な知識とともに経験を蓄積している司書の存在が不可欠です。指定管理の場合は継続的な契約でないために、利用者の求める図書館サービスを受けることが出来なくなると考えます。

  ・地方公共団体の設置する図書館は、地域社会の発展を目指し住民の知る権利を保障し、必要な資料や情報を提供する大切な役割を担っています。集客や賑いを求めることが第一の目的ではありません。豊田市は、この対策を指定管理者制度の導入に求めるのではなく、図書館の利用者数、貸出数の課題の要因をさらに分析し、例えば開館時間の延長は、直営でも出来るので他の都市における成功例を学び、直営での図書館サービス向上を目指していただくことが必要です。

  ・指定管理者に起因する個人情報に関わる出来事が散見されているので、豊田市も指定管理者制度導入により利用者の秘密が守られるか懸念されます。

 以上指定管理者制度導入に関しての反対理由を述べましたが、 ̄豊田市中央図書館運営基本方針」に示された「基本理念」に向かって、豊田市は、直営で、引き続き図書館サービスの充実を図っていただくよう、また議会はそれをきちんとチェックし、市民の代表として図書館を支援していくよう陳情します。

陳情事項

 (1)豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないこと。

 (2)図書館サービスを充実させること。

陳情について(回答)

 平成28年9月27日 豊議発第1317号 図書館友の会全国連絡会代表あて 豊田市議会議長

 平成28年9月2日付で提出おありました「豊田市中央図書館に指定管理者制度の導入をしないことを求める陳情書」につきましては、下記のとおりです。

 記

 本陳情につきましては、教育次世代委員会(9月16日開催)に提出し、報告を行いました。

 なお、意見書等の提出には至りませんでした。
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フィンランド 市民のリビング図書館

『フィンランド 育ちと暮らしのダイアリー』より

午前10時の開館を前に、玄関先には30人以上の人だかりができています。ここは、タンペレ市中央図書館、通称メッツオ(雷鳥)。鳥の形をし、直角の角がどこにもない独創的かつ、開放的な造りをしています。「街の市場や森のごとく、人々がふらっと足を運ぶなかで、新しい本や人との出会いが生まれるように」と設計されたこの図書館には、毎日、約4000人の市民がやってきます。公共図書館の定期的利用率70%以上、1人あたりの年間貸し出し数約16冊(2016年)、図書館利用率世界一といわれるフィンランド。その市民と図書館とのつながりについて、お伝えします。

初めて作る自分専用のカード

 社会保障カードの次に、生まれて初めて作る自分専用のカードといえば、図書カードだといわれます。タンペレ市ではネウボラでの乳児健診の際、各家庭に図書館発行の読み聞かせガイド冊子が配られます。そこには入園、家族の死、離婚、きょうだいの誕生、性への関心、病院通い、眠れないときなど、さまざまな場面を取り上げ、テーマごとに絵本の紹介リストが掲載されています。小さな冊子でぱありますが、それは、乳幼児期からの図書館利用や本とのふれあいを育むよいきっかけになっているはずです。

保育園でも身近な図書館の本

 3番目の息子・怜馬の通うP保育園。お昼寝はいつも、読み聞かせから始圭ります。子どもたちが眠りの友(ぬいぐるみ)を抱っこして自分のベッドにもぐると、先生は照明を暗くし、揺り椅子に腰をかけ、厚みのある本をゆっくり開いて静かに朗読を始めます。そして、それが終わる頃には、子どもたちはすーっと夢の世界に。

 保育園では月に1回、図書館から本のコレクションが大きなケースで運ばれてきます。先生からの要望を聞きながら、毎回、司書が年齢に合わせて本を選定しています。活動と活動のあいだの隙間の時間、子どもたちが落ち着かないときなど、本を開くことは、園生活の随所に見られます。

学校に図書館はないけれど、地域図書館と連携

 フィンランドの図書館法では、それぞれの住まいから2キロメート少圏内に図書館があることが理想とされ、それが不可能な場合、Iキロメートル圏内に移動図書館の停留所を設置することを推奨しています。この基準をもとに、各自治体はサービスの提供を行っており、人口約22万人のこのタンペレの町には、中央図書館に加えて13の地域図書館、五つの施設図書館(老人ホーム、病院内など)が設置され、2台の移動図書館バスが約140の停留所を巡回しています。

 しかし、フインランドの基礎学校には、目本のようなりっぱな学校図書館はほとんどありません。多くが資料室程度のため、各学校は、近くの地域図書館を利用。図書館がそばにない学校には、週1回、移動図書館バスがやってきて、貸し出しが行われています。まだ、司書が学校訪問してブックトークを行ったり、定期的に各クラスを図書館に招いて、館内オリエンテーリングなど手法を凝らした図書館利用のための講座を実施した学校図書館がない分、学校と地域の図書館は連携して、子どもたちの読書活動を支えています。

声も音楽も響くにぎやかさ

 メッツオぱいつも活気にあふれています。本が目的の人はもちろん、イベントや講座、学習会への参加者、インターネット利用者、展示スペースの美術作品を鑑賞する人など、さまざまな人が集まります。館内の喫茶店では、多くの人がコーヒー片手に本を読んだり、友だちと待ち合わせしたりしています。音楽書籍や楽譜がそろう音楽コーナーに入ると、気になる曲のタイトルを専門の司書にたずねる人やヘッドホンをつけて音楽を視聴する人、防音室の中では、ピアノを練習している学生さんの姿も見られます。

 図書以外にも、エクササイズのためのダッズ、楽器、急に雨が降った場合の傘、たくさん本を借り過ぎたときのための袋などいろいろなものが貸し出されてされており、図書カードを使ってすべて無料で借りることができます。

 児童図書コーナーは、いつも子どもたちの元気な声が響いています。絵本の棚のそばには、ぬいぐるみや玩具をそろえた遊びスペースが設けられ、朗読室では、定期的に人形劇やおはなし会や映画鑑賞会が開かれるなど、小さなお客さんたちがゆったり楽しく過ごせる工夫がなされています。また放課後になると、近隣から多くの小学生たちがやってきます。学習エリアで宿題や調べものをする子、コンピュータ室でインターネットやボードゲームを楽しむ子など……。カウンターには、児童図書専門の司書が配置され、来館する子どもたちの案内、質問対応をしています。そして子どもたちが帰宅し、落ち着きを取りもどす夕方からは、しばしば音楽の夕べやミニコンサートも催されます。そんな目は、閉館時間の20時まで、メッツオの玄関ホールには心地よい音色が響きわたるのです。

 図書館は静かであるべきと思っていた私。フィンランドに来て、図書館に対するイメージがすっかり変わりました。この国でぱ、図書館は「市民のリビング」と表現されるほど居心地のよい、いろいろな体験ができる空間なのです。

サーミ人

 フィンランドには、フィンランド人以外に先住民としてサーミ人がいます。サーミ人は長らく狩猟や漁業を生業とし、後に、現在のフィンランド、スウェーデン、ノルウェーおよびロシアの国境にまたがる北方のエリアでの卜ナカイ放牧を営んできました。サーミ人たちの言語も単一ではなく複雑に分かれています。サーミ人の居住エリアを含む国々はサーミ人にあまり干渉せず、何世紀にもわたってサーミ人たちぱ国境について無関心でした。

 現在、サーミ人はEUエリアでは唯一の先住民とされ、先住として「独自の言語と文化を維持し発展させる権利」を有しています。さらに、フィンランド憲法では、サーミ人に居住地での言語と文化に関する自治が保障されており、サーミ議会も認められています。フィンランドでのサーミ語は、「サーミ人の言語に関する法律」(1992年)によって公式の位置づけを獲得しています。公式には、フィンランドでは、自身をサーミ人と見なし、かつ、なんらかのサーミの文化背景のある祖先がいることを示す記録がある人がサーミ人とされます。どのような記録がサーミ文化とのつながりの根拠になるかという点については、法によって、数多くのさまざまな公的な書類が規定されています。今日、フィンランド国内には約6000人のサーミ人がいて、このうち約3000人がサーミ語を母語としています。フィンランドのサーミ人の多くは北部のサーミ地区以外の場所にいて、たとえば、ヘルシンキに住んでいるサーミ人も少なくありません。

 フィンランド北部では、サーミ人とのつながりがなく、フィンランド人だけを先祖とする住民もいます。このようなフィンランド人たちのなかには、サーミ人と同様、自分たちも先住者だと主張する人もいます。ラップランドで暮らす人たちが幾世紀ものあいだに交流してきたことも事実です。実際には、サーミ語を使えるかどうかがサーミ人であることについての最も信頼できる基準です。文化アイデンティティが他者を排除するために定義づけられ、さらに土地の所有や経済的な利害が絡めば問題が生じるかもしれません。しかし、フィンランドではそのような問題はなく、欧州経済領域(EEA:European Economic Area)の市民であれば、トナカイ放牧エリアに住む人は誰でもトナカイを所有できます。隣接するノルウェーやスウェーデンでは、実質的にはサーミ人だけにトナカイ放牧の権利が認められています。

フィンランドの義務教育では、1970年代からサーミ語が教えられてきました。1999年の義務教育法によれば、サーミ人の居住地で暮らしていてサーミ語ができる生徒については、主にサーミ語で教育を行わなければなりません。2000年代のフィンランドでは、約490人の生徒がサーミ語で学校教育を受けていました。サーミ人の居住地以外の場所で暮らすサーミ人生徒は、義務教育を補完する教育として週2時間程度の授業がサーミ語で行われます。
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中途半端から脱しましょう

「僕がいる場所」は乃木坂だから歌える

 乃木坂の「僕がいる場所」が一番落ち着く。

中途半端から脱しましょう

 何か、全てが中途半端になっている。やはり、8時過ぎから出るようにしないといけない。何かをするのではなく。そんなことは出掛けてから考えればいい。

 外で考えられる道具を揃えましょう。
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