霜後桃源記  

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一年前のブログ記事「檻の中のライオン」

2024-05-14 19:17:45 | 社会
 goo blogは一年前の記事をメールで送信してくれる。
 タイトルだけで何を書いたか思い出すこともあるが、そうで無い場合も
少なく無い。
  一年前の今日は「檻の中のライオン」という高尚なタイトルを付していた。
 読み直してみて我ながら感心する内容になっていて、今の心境と何ら変わる
ことが無いことから改めて全文を掲載することした。

「檻の中のライオン」

   憲法は権力を立法権、司法権、行政権の三権に分立させている。
 これは権力が単一の機関に集中することによる権利の濫用 を抑止し、
権力の区別・分離と各権力相互間の抑制・均衡を図ることで、国民の
権利や自由の確保を保障しようとするシステム である。 
 田舎町で立法権が問題になることは殆ど無いが、行政権の濫用を抑止
する司法権の役割りは極めて大きい。 
   にも関わらず、初めて民事訴訟を提起した際の担当裁判官には「行政権を
牽制する意識」は全く無く、牽制よりも役人仲間の連帯意識の方が勝って
いた。
 裁判所は「法の番人」或いは「人権擁護の最後の砦」と学校時代に習った
が、それは絵に描いた餅だった。
そんな疑念を持っていたことから、今朝の毎日新聞の松尾貴史氏のコラム
には100% 同調出来た。

(二階から眺めた今日の景色)

毎日新聞「松尾貴史のちょっと違和感」(2023.5.14)

「憲法改正 一部政治家が躍起になる理由は」

 5月3日の憲法記念日は、神戸のみなとのもり公園で催された憲法集会に
招かれた。すごいにぎわいで、参加者は7000人という報道もあったが、
1万人を超えていたのではないだろうか。そんな中、おこがましくもメイン
スピーカーとして30分ほどのスピーチをすることになった。
 憲法が改正どころか改変、いやどう考えても改悪されようとしている
昨今、何をどう変えるかも示さずに「改憲に賛成か、反対か」という無意味
な質問で得た数字ばかりが躍っている中、改憲を容認する人が増えている
ようなムードが醸されていることに危機感を覚える話を申し上げた。ことに
緊急事態条項などを創設してしまえば、当時は平和的、進歩的な憲法だと
言われていたワイマール憲法の「全権委任法」をナチスドイツが利用したの
と同じく、時の権力者が恣意的に憲法の効力を停止して、永久に独裁を続ける
ことになる恐怖についても話した。
 その中で、神奈川・鎌倉で最近開催した井上ひさし作品の朗読会のために
持ち歩いていた「子どもにつたえる日本国憲法」(講談社)という名著の
一部を朗読させていただいた。「憲法の精神が時代に合わず古くなっている」
というのは間違いで、逆に憲法の平和主義が世界を先取りしていることを誇り
に思うべきではないか、と教えてくれている。いわさきちひろさんの絵と共に
素晴らしい世界観を作り上げている本で、大人の私たちも読み返すと目から
鱗が落ちるような言葉がつづられているので、人の寄り集まる場所全てに
置いてほしい思いすら湧く本だ。憲法記念日でなくとも、憲法は私たちの
生活、命、この国の骨組みとして「ずっとあるもの」なのだから、常に大切
なものとして意識していたいものである。
 「憲法をわかりやすく」といえば、もう一つ名著がある。弁護士の楾大樹
(はんどうたいき)さんが書いた「檻の中のライオン」(かもがわ出版)で、
イラストレーションなどと共に、法律家が共有する憲法の基本的な理解を
「ライオン=国家権力」「檻=憲法」という比喩によってわかりやすく伝えて
くれている。
 例えば「檻を作るのは私たち」の項では、君主が国民に権利という恩恵を
与えてやっているという「欽定憲法」と、国民が君主に命ずる形の「民定憲法」
があり、この国の日本国憲法は後者だと解説している。
 「檻にライオンを3頭入れる」という項目も面白い。権力が一つに集中し
てしまうと暴走に歯止めがなくなるので、行政権(内閣)、立法権(国会)、
司法権(裁判所)を、檻の中で監視させ合うという概念だ。「ライオンは
檻を大切にしないとダメ」という項目は、国会議員や公務員が、日本国憲法
を尊重し、順守しなければならないということを語っている。憲法を改変
したくて仕方がなかった、近年まで首相だった人物は、生前「みっともない
憲法ですよ」などとこき下ろしていたけれども、その時点で国会議員である
資格もなかったということにならないだろうか。
 そもそも、国民の間で「こんな憲法のせいで不自由だ」という不満が出て
「憲法を変えるべきだ」という社会運動が起きるのならともかく、政治家の
一部が躍起になって変えたがっている理由を察するに、その方が権力を好き
勝手に行使して金もうけができるからという以外に、説得力のある説明を
してくれる人がいたらお願いしたいものだ。
 そのような政治家たちの中には「主権在民はおかしい」とか「基本的人権
など削除しろ」とまで言う人たちがいる。そういう者たちに、私たちを守って
くれている憲法をいじらせていいはずがないではないか。
 憲法によって縛られるべき国会議員が「憲法を変えよう」と言うのは、犯罪
を犯す可能性が高い者が「刑を軽くしろ」と騒いでいるのと大きな違いはない。
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