shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Decade / Duran Duran

2009-03-28 | Rock & Pops (80's)
 80'sの第2期ブリティッシュ・インヴェイジョンの中心的存在と言えばワム、カルチャー・クラブ、そしてデュラン・デュランだろう。そしてこの御三家の中で私が最も好きだったのがデュラン・デュランである。彼らはデビュー当初、ビデオクリップを中心としたルックス重視のプロモーションのせいで“売れ線狙いのヴィジュアル系アイドル・バンド”というレッテルを貼られてしまったような印象が強い。そうしたイメージ、思い込みが先行するあまり、デュラン・デュランについて語られることといえば、やれMTVがどうの、ビデオクリップがスベッただのコロンだだのといった、この2点だけなのである。私はそれが悲しい。だいたい彼らの音楽を評して“売れ線狙い”“ヴィジュアル系アイドル”とはどういうことか。彼らの本質はデビッド・ボウイやロキシー・ミュージック流れをくむ官能的なニュー・ロマンティック路線と、ナイル・ロジャースやトニー・トンプソンといったシックの流れをくむダンサブルなホワイト・ファンク路線の危ういバランスの上で成り立っているポップ・ミュージックなのだ。このことは後にアーケディア派とパワーステーション派に分裂したことでも明白だ。単なるポップ・アイドルとはワケが違う。
 私が初めてデュラン・デュランを聞いたのはラジオのチャート番組で、①「プラネット・アース」が流れてきた時、その洗練されたキャッチーでダンサブルなサウンドに耳が吸いついた。それほど彼らの“音”は斬新に響いた。続く②「ガールズ・オン・フィルム」も歯切れの良いギター・サウンドとタイトなビートがが印象的な曲で、私の中では要注目新人バンドになった。82年発表のセカンド・アルバム「リオ」はデュラン・デュランの最高傑作といえる名曲満載の凄い1枚で、そこからシングル・カットされた③「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」はデュラン・デュランを、いや80年代を代表する1曲といえるダンサブルでカッコ良いロックンロール。チャート上ではマイケル・ジャクソンとカルチャー・クラブの厚い壁に阻まれて3週連続第3位に終わったが、記録以上に記憶に残るヒット曲だ。次のアルバムまでの繋ぎのシングル⑥「プリーズ・テル・ミー・ナウ」は芸のない長すぎる原題 (Is there something I should know) が玉にキズだが、曲そのものは爽快感に溢れるポップンロールでこれまた大ヒット。83年リリースのサード・アルバム「セヴン・アンド・ザ・ラギッド・タイガー」はキーボードが前面に出てギターがやや引っ込み気味の、どちらかというとアーケディア色の強いサウンドで、私個人としてはあまり好きにはなれなかったし、シングル⑦「ユニオン・オブ・ザ・スネイク」もやや作りすぎの感がして冗長に感じられた。⑧「ザ・リフレックス」はシングル・カットするにはアルバム・ヴァージョンではイマイチ弱いとの判断からナイル・ロジャースにリミックスを依頼、“チャラララ~♪”のフェイド・インで始まるキャッチーなイントロや強化されたビートの甲斐もあって、見事彼ら初の全米№1に輝いたノリの良いダンス・ナンバーだ。⑨「ワイルド・ボーイズ」は⑦の流れを汲む大仰な曲で発表当時は好きになれなかったが、その後ライブでギターが狂ったように唸りまくるヴァージョンを聴いて好きになった曰くつきの1曲だ。日本では“ミルコ・クロコップのテーマ”として有名だろう。「007美しき獲物たち」のテーマ曲⑩「ア・ヴュー・トゥ・ア・キル」は③と並んで私が大好きなデュラン・デュラン曲で、突き刺さるようなシンセの音がスリリング、絵に描いたようなメロディアスな展開もたまらない。⑪「ノトーリアス」はエッジの効いたギター・カッティングがカッコ良い尖鋭的なファンク・チューンで、一気にたたみかけるようなサビのメロディー展開が圧巻だ。このベスト・アルバム「ディケイド」はこれ1枚通して聴けば彼らがいかに音楽的に懐の深いバンドで高度なポップ・センスを持っていたかが分かるという超お徳用盤なのだ。