アメリカン・トップ40を欠かさず聴いていた80年代、毎年2~3月に発表されるアメリカン・ミュージック・アウォードやグラミー賞はいつも楽しみにしていた。正直言って誰が受賞するかは別にどーでもよかったのだが、色んなアーティストのパフォーマンスが見れたり、ウィットに富んだスピーチのコメントが楽しめたりで、マイケル・ジャクソンを始め、U2、メタリカといったビッグ・ネームたちの様々な名場面が今でも脳裏に焼きついている。とにかく凄い顔ぶれが一堂に会するこの全米音楽界の一大イベントは毎年ビデオに録画して何度も繰り返し見たものだった。しかし時代は流れ、メロディーの希薄なワケの分からん音楽が蔓延し始めた90年代、私はコンテンポラリーなヒット・チャートとは完全に絶縁し、メロディアスな60年代オールディーズやスインギーな50年代ジャズの世界へと入っていった。それ以降この十数年というもの、どんな曲が流行っているのかもどんなアーティストが活躍しているのかも全くといっていいほど知らなかったので、当然グラミー賞にもまったく関心がなくなっていた。
しかしそんな私の目に飛び込んできたのが「ロバート・プラント&アリソン・クラウスがグラミー賞主要2部門(“レコード・オブ・ザ・イヤー”と“アルバム・オブ・ザ・イヤー”)を含む5部門受賞!」というネットのニュース速報だった。ブルーグラス界の歌姫、アリソン・クラウスは「ブルーグラス・ゴーズ・トゥ・タウン」というオムニバス盤に入っていたビートルズ・カヴァー「アイ・ウィル」の素晴らしさにKOされて以来の大ファンだし、ロバート・プラントは言わずと知れたレッド・ゼッペリンのヴォーカリストだった人である。一昨年の暮れだったか、この「レイジング・サンド」がリリースされた頃にたまたま見た⑤「ゴーン・ゴーン・ゴーン」のビデオ・クリップが結構面白く、何よりもエヴァリー・ブラザーズの隠れ名曲を斬新なサウンドで21世紀に蘇らせた抜群のリメイク・センスがめちゃくちゃ気に入ったので即USアマゾンでゲットしたのだ。
ハードロックの象徴であるゼッペリンのヴォーカルとブルーグラス・ディーヴァとのデュエットというと一見摩訶不思議な組み合わせに思えるかもしれないが、ゼッペリンはサード・アルバムで顕著なように土の薫りのするトラッド/カントリーの要素を内包していたからハイトーンのシャウトなしのルーツ・ミュージックでも別に違和感はなかった。しかしそれよりも届いたCDを聴いて思ったのは、これは紛れもなく鬼才プロデューサー、Tボーン・バーネットのサウンドだということ。彼がセッティングした音世界の中でプラントやクラウスが気持ち良さそうに歌っているという感じなのだ。いきなりTボーン・バーネット色の濃い気だる~いサウンドが展開する①「リッチ・ウーマン」、くつろいだ雰囲気でカントリー・フレイバー溢れる②「キリング・ザ・ブルース」、アリソンにメリー・ホプキンが憑依したかのような③「シスター・ロゼッタ・ゴーズ・ビフォー・アス」、ペイジ&プラントのセルフ・カヴァー⑦「プリーズ・リード・ザ・レター」、プラントの枯れたヴォーカルが渋い⑨「フォーチュン・テラー」、皮鳴りの良いドラムのビートを基調にした軽快なサウンドがいかにもTBBしてる⑫「レット・ユア・ロス・ビー・ユア・レッスン」等、聴き所は多いが、やっぱり⑤がダントツに素晴らしいと思う。
このTボーン・バーネットのギターのサウンドは麻薬のように病みつきになる。カントリー、ブルーグラス、フォーク、ブルース、ケイジャンといった様々な音楽を交雑し、そこにTボーン・バーネットが魔法をかけたようなリラクセイション溢れるそのサウンドにはゼッペリンのゼの字もないが、グラミー云々は抜きにして一度は聴いておきたい渋~いアルバムだ。
Gone Gone Gone (Done Moved On)
しかしそんな私の目に飛び込んできたのが「ロバート・プラント&アリソン・クラウスがグラミー賞主要2部門(“レコード・オブ・ザ・イヤー”と“アルバム・オブ・ザ・イヤー”)を含む5部門受賞!」というネットのニュース速報だった。ブルーグラス界の歌姫、アリソン・クラウスは「ブルーグラス・ゴーズ・トゥ・タウン」というオムニバス盤に入っていたビートルズ・カヴァー「アイ・ウィル」の素晴らしさにKOされて以来の大ファンだし、ロバート・プラントは言わずと知れたレッド・ゼッペリンのヴォーカリストだった人である。一昨年の暮れだったか、この「レイジング・サンド」がリリースされた頃にたまたま見た⑤「ゴーン・ゴーン・ゴーン」のビデオ・クリップが結構面白く、何よりもエヴァリー・ブラザーズの隠れ名曲を斬新なサウンドで21世紀に蘇らせた抜群のリメイク・センスがめちゃくちゃ気に入ったので即USアマゾンでゲットしたのだ。
ハードロックの象徴であるゼッペリンのヴォーカルとブルーグラス・ディーヴァとのデュエットというと一見摩訶不思議な組み合わせに思えるかもしれないが、ゼッペリンはサード・アルバムで顕著なように土の薫りのするトラッド/カントリーの要素を内包していたからハイトーンのシャウトなしのルーツ・ミュージックでも別に違和感はなかった。しかしそれよりも届いたCDを聴いて思ったのは、これは紛れもなく鬼才プロデューサー、Tボーン・バーネットのサウンドだということ。彼がセッティングした音世界の中でプラントやクラウスが気持ち良さそうに歌っているという感じなのだ。いきなりTボーン・バーネット色の濃い気だる~いサウンドが展開する①「リッチ・ウーマン」、くつろいだ雰囲気でカントリー・フレイバー溢れる②「キリング・ザ・ブルース」、アリソンにメリー・ホプキンが憑依したかのような③「シスター・ロゼッタ・ゴーズ・ビフォー・アス」、ペイジ&プラントのセルフ・カヴァー⑦「プリーズ・リード・ザ・レター」、プラントの枯れたヴォーカルが渋い⑨「フォーチュン・テラー」、皮鳴りの良いドラムのビートを基調にした軽快なサウンドがいかにもTBBしてる⑫「レット・ユア・ロス・ビー・ユア・レッスン」等、聴き所は多いが、やっぱり⑤がダントツに素晴らしいと思う。
このTボーン・バーネットのギターのサウンドは麻薬のように病みつきになる。カントリー、ブルーグラス、フォーク、ブルース、ケイジャンといった様々な音楽を交雑し、そこにTボーン・バーネットが魔法をかけたようなリラクセイション溢れるそのサウンドにはゼッペリンのゼの字もないが、グラミー云々は抜きにして一度は聴いておきたい渋~いアルバムだ。
Gone Gone Gone (Done Moved On)