shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Their Greatest Hits 1971-1975 / Eagles

2009-03-31 | Rock & Pops (70's)
 世界で一番売れたアルバムとしてギネスブックに認定されているのはご存知マイケル・ジャクソンのスリラーだが、国別の売り上げとなると話は違ってくる。イギリス国内ではクイーンのグレイテスト・ヒッツが540万枚で、そしてアメリカ国内ではイーグルスのグレイテスト・ヒッツが2,900万枚でそれぞれ№1の売り上げを誇っている。どちらもその国の“国民的バンド”が1位というのが面白い。イーグルス初期のアルバム4枚からセレクトされたこの「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ1971-1975」には当然ながら彼らの代表作であるあの「ホテル・カリフォルニア」からの楽曲は入っていない。しかもCD時代に入ってコンプリート・ベストのような盤が何種類か出ているにもかかわらず、この盤は今でもジワジワと売れ続けているという。彼らの音楽、特に初期のカントリー・ロック・スタイルがいかにアメリカで愛されているかがわかろうというものだ。
 イーグルスは元々リンダ・ロンシュタットのバック・バンドとして集められたミュージシャン達が結成したグループで、72年にグリン・ジョンズ(幻の「ゲット・バック」や「ゼッペリンⅠ」のエンジニアとして有名)のプロデュースで「イーグルス・ファースト」をロンドンで録音(←意外でしょ!)した。第1弾シングルの①「テイク・イット・イージー」はグレン・フライとジャクソン・ブラウンの共作で、これぞウエスト・コースト・ロックの極めつけ!といえるカッコ良いナンバー。バーニー・リードンのバンジョーが醸し出すカントリー色の濃いサウンドが疾走感溢れる曲想とベストのマッチングを見せ、そこに美しいコーラス・ハーモニーが加わって文句の付けようのない名曲名演に仕上がっている。その底抜けに楽天的な歌詞も含めて私がイーグルスで一番好きな曲がコレだ。ファースト・アルバムからの2枚目のシングル②「ウィッチー・ウーマン(魔女のささやき)」は “恋多き女” リンダ・ロンシュタットのことを歌ったもので、後の「呪われた夜」にも通じるミステリアスな雰囲気を持ったロック色の濃いナンバーだ。
 ①②の連続ヒットで幸先の良いスタートを切った彼らは翌73年にセカンド・アルバム「デスペラード(ならず者)」を発表、シングル・カットされた⑦「テキーラ・サンライズ」はペダル・スティール・ギターをフィーチャーしたアコースティック・サウンド主体の地味な曲でヒット・チャート上では全くの不発に終わったが、彼らの味わい深いコーラス・ハーモニーが堪能できる佳曲だと思う。アルバム・タイトル曲⑤「デスペラード」は哀愁舞い散るドン・ヘンリーのハスキーな歌声がたまらないイーグルス屈指の名バラッドで、リンロン姐さんやカーペンターズがカヴァーしており、今や押しも押されぬスタンダード・ソングになっている。74年のサード・アルバム「オン・ザ・ボーダー」ではドン・フェルダーの加入によって爽やか志向のカントリー・ロックからハードでより泥臭いロックへの転換が図られた。ファースト・シングル④「オールレディ・ダン(過ぎた事)」の①をハードにしたようなサウンドが、グループ内でハード派がカントリー派に対してイニシアティヴを握ったことを如実に物語っていた。
 75年リリースの全米№1アルバム「ワン・オブ・ジーズ・ナイツ(呪われた夜)」はハード&ファンキー路線を更に推し進めた大傑作。ファースト・シングルとなったタイトル曲⑥は、一体どこが呪われとるんじゃ!と思わずツッコミを入れたくなるぐらいの名曲名演で、ドン・ヘンリーの甘くセクシーなヴォーカル、ドン・フェルダーのエッジの効いたギター、ランディー・マイズナーの躍動感溢れるベース、ハイトーンのコーラス・ハーモニーと、「ホテル・カリフォルニア」前夜の充実した演奏が楽しめる。セカンド・シングル③「ライン・アイズ(いつわりの瞳)」は久々のカントリー・フレイヴァー溢れるナンバーで、その美しいコーラス・ハーモニーと親しみやすいメロディーは癒し効果抜群だ。ランディー・マイズナーのファルセット・ヴォイスによる熱唱に涙ちょちょぎれるサード・シングル⑧「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」も大ヒットし、イーグルスは名実ともにアメリカを代表するバンドにのし上がったのだ。

Eagles - Take it Easy - Letra and Lyric