shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Around Midnight / Julie London

2009-02-27 | Jazz Vocal
 ジュリー・ロンドンは本物の美人である。ルックスを問題にするのはけしからん!と言われるかもしれないが、やはり女性ヴォーカルは雰囲気なんである。前にも書いたが私は「女性ヴォーカル盤はジャケットで買え!」を座右の銘としていて、ジャケットが良くて好きな曲が入っていれば必ず買ってしまう。ジャケットを眺め、歌ってる姿を想像しながら聴いてどこが悪いねん!と開き直って(笑)悦楽の境地を楽しんでいる。私がジャズに興味を持ち、特に女性ヴォーカルを中心に聴き始めた頃、まず最初にハマッたのが彼女だった。当然、CDの小さなジャケでは満足できない。かといって大きけりゃ何でもエエのかというと、再発LPはカラーコピー並みの粗雑なジャケット写真が気に入らない。で、どうせ金を払って買うのなら趣味の世界ぐらい贅沢したれということでピカピカのコーティングが施された美麗オリジナル盤を探すことにした。彼女の場合、メジャーな歌手ということで希少性が低く、オリジ盤を血眼になって探している熱狂的マニアの対象外だったことも幸いし、一部の人気盤を除けば5,000円前後で入手できたのがラッキーだった。この「アラウンド・ミッドナイト」もそんな1枚で、大阪難波の EAST で5,800円、このお店の値付けはホンマに良心的でリーズナブルだ。ジュリーの全作品中一、二を争う人気盤が盤・ジャケット共に極上コンディションでこのお値段!エサ箱の中に見つけた時は嬉しくてたまらなかった(^o^)丿 ジュリーは何と言ってもあの低い、ハスキーを通り越してセクシーな声がたまらない魅力で、一度その虜になったら離れられない。何度聴いてもゾクゾクしてしまう。このアルバムは彼女の全盛期である1960年に録音された1枚で、ビッグ・バンドをバックにゴージャスな歌声を聴かせてくれる。①「ラウンド・ミッドナイト」では物憂げなストリングス・オーケストラの伴奏と彼女のやるせない超スロー・ヴォーカルがバッチリ合っていて、見事に真夜中のムードを表現している。地を這うようなベースのイントロで始まる②「ロンリー・ナイト・イン・パリス」は夫のボビー・トゥループ書き下ろしのスインギーなナンバーで、彼女の抑制の効いた歌い方がめちゃくちゃジャジーでカッコイイ。再びスローで迫る③「ミスティ」は秀逸なオーケストラ・アレンジ(特に木管)が彼女のあっさりした歌声と相まって実に爽やかな雰囲気を醸し出しており、とてもリラックスできる仕上がりだ。④「ブラック・コーヒー」はペギー・リーの名唱とタイマンを張れるくらいの出来映えで、彼女の気だるい歌い方がブルージーなムードを高めている。⑤⑥⑦とスロー・バラッドの三連投下で「もうそろそろ...」というこちらの気持ちを見透かしたかのようにミディアムでスイングする⑧「あなたと夜と音楽と」は彼女のハスキー・ヴォイスの魅力全開で迫ってくる。ガーシュウィンの⑪「バット・ノット・フォー・ミー」は⑧と並ぶこのアルバム最大の聴き所で、軽やかにスイングするジュリーが最高だ。特に1分42秒からの「ア~ィ ワァ~ザァ~ フ~♪」と語尾を伸ばすところなんかもうたまらない(≧▽≦) この曲のマイ・フェイヴァリット・ヴァージョンだ。ジャケットはジュリーの全身時計(?)が7時を指すデザインで、裏ジャケでは文字盤に曲名がダブッて印刷されている。よくよく見ると「ラウンド・ミッドナイト」が0時、「イン・ザ・ウィ・スモール・アワーズ...」が1時、「ドント・スモーク・イン・ベッド」が2時、「ブラック・コーヒー」が3時、「ザ・パーティーズ・オーバー」が4時というように曲名と時刻を上手く引っ掛けてあり、そのあたりの洒落たセンスにも脱帽だ。これは粋なスタンダード・ソングを夜のムードで見事に表現した、都会的センス溢れる名作だと思う。

Julie London - You And The Night And The Music