shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Best Of Sam Cooke

2009-02-14 | Oldies (50's & 60's)
 “ローリング・ストーンズはサム・クックと会うことを熱望し、ビートルズはサム・クックと話がしたくてたまらなかった。ロッド・スチュワートはサム・クックになりたかった” ... これは5年前にリリースされたサム・クックのドキュメンタリーDVDのキャッチ・コピーである。ロッドのサム・クック崇拝は知っていたがストーンズやビートルズまでもがサム・クックのファンだとは知らなかった。しかしよくよく考えてみると彼らはみなイギリスで悶々としながらアメリカの黒人音楽であるロックンロールやリズム&ブルースを聴いて十代を過ごしたのだから当然といえば当然だ。そーいえば80年代に活躍したポール・ヤングやヒューイ・ルイスらもサム・クックの大ファンを公言していた。とにかく近代ソウル・ミュージックの始祖とも言われる伝説のシンガー、サム・クックを敬愛するミュージシャンは数多い。ソウルという狭いジャンルにとどまらず、ロック、ポップ、ゴスペル、ジャズと、時代やジャンルを超越したシンガー、それがサム・クックなのだ。
 私のサム・クック体験は遅かった。黄金の80年代が終わり、90年代に入ってアメリカン・チャートが急速にその魅力を失いつつあった頃、既に音楽なしには生きていけない身体になっていた私は当時のヒット曲を追うのを止め、50~60年代のオールディーズに深~く、深~くハマリ込んでいった。そんな折、何かのガイド本で絶賛されていたサム・クックに興味を持ち、買ってみたのがこのベスト盤。早速聴いてみて、そのソフトな歌声で切々と歌い上げるスタイルにすっかり魅了されてしまった。全曲素晴らしいのだが、特に1曲となるとやはり⑤「ワンダフル・ワールド」だろう。私はこの曲を聴くといつも映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」の中のワン・シーン... カーラジオから流れてくるこの曲をバックにハリソン・フォードがアーミッシュの女性レイチェルと踊る姿が目に浮かぶ。映画の中で使われたのはグレッグ・チャップマンによるカヴァー・ヴァージョンだったが、それにしても何という見事な演出だろう!ポップスがこれほど上手く映画に使われた例を私は他に知らない。今ふと思ったのだが彼の軽快なヴォーカルはデジタル・リマスターしてハイ・ファイ・オーディオ・システムで聴くよりもさりげなくラジオから流れてくる方がよく似合うのではないか。その絶妙なる軽さが自由な空気を運んできて、「音楽ってエエなぁ...」と実感させてくれるのだ。ロッドが「グレイト・アメリカン・ソングブック」シリーズでチャカ・カーンとデュエットしていた①「ユー・センド・ミー」はサム・クックの代表曲で、②「オンリー・シックスティーン」でも聴ける彼の人間的な温かさがにじみ出るようなヴォーカルは1度ハマッたら抜け出せない。ビロードのような甘い歌声が感動的な④「センチメンタル・リーズン」は彼独特の歌いまわしが心の琴線に触れまくって胸キュン状態だ。ガーシュウィンの大スタンダード⑥「サマータイム」もサム・クックのソウルフルな歌声にかかると彼のオリジナル・ソングのように響く。手拍子入りでノリノリ状態の⑨「ツイストで踊り明かそう」は楽しい雰囲気がダイレクトに伝わってきて何度も何度も繰り返し聴いてしまう(^o^)丿 聴けば聴くほど好きになる、まさに本物のエヴァーグリーン!サム・クックってホンマにエエわぁ... (≧▽≦)

What a wonderful world this would be (Harrison Ford)