shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

A Night At The Opera / Queen

2009-02-06 | Queen
 大英帝国の国民的バンド、クイーンとの付き合いは長い。初めて彼らを聴いたのは中学に入ってすぐの頃で、ラジオでは頻繁に最新作「オペラ座の夜」からの1stシングル「ボヘミアン・ラプソディ」が流れていた。クイーンの代表曲といわれ非常に評価の高いこの曲を確かに凄いとは認めつつも大仰なロック・オペラ風の複雑な構成にイマイチ馴染めず、むしろベースのジョン・ディーコンが作ったキャッチーな2nd シングル「マイ・ベスト・フレンド」の方が気に入っていた。しかし私が本当にクイーンにハマッたのはその「マイ・ベスト・フレンド」のB面にひっそりと収録されていた「'39」を聴いてからである。この曲はギターのブライアン・メイの作品で、彼らには珍しくアコースティック・ギターを全面的にフィーチャーした牧歌的なサウンド、しかもミディアムよりちょっと速いテンポ設定が曲想とバッチリ合った非の打ち所のない名曲名演だった。ちょうど「ウイングスUSAライヴ」のアコースティック・セットで演奏された「夢の人」のような感じで、フォークのようでもあり、ロックンロールのようでもある、彼らの言葉を借りれば「サイエンス・フィクション・スペース・フォーク」。サビの部分で聴ける絶妙なコーラス・ハーモニーにもクイーンというバンドの懐の深さが見て取れる。後の「愛という名の欲望」への伏線ともいえる隠れ名曲であり、全クイーン曲の私的トップ3に入るほど大好きな曲なのだ。白いタイツ姿のフレディーが率いるロック・オペラ軍団という誤解(←私がアホでした)も解け、これはエライコッチャとばかりに彼らの過去の盤を買ってきて聴き込むと、それはもうバリバリのブリティッシュ・ロックのアメアラレで、「ボヘミアン・ラプソディ」とは似て非なる世界。「クイーン I」の「キープ・ユアセルフ・アライヴ」、「クイーン II」の「輝ける7つの海」、そして「シアー・ハート・アタック」の「ブライトン・ロック」「ナウ・アイム・ヒア」なんかもう鳥肌モノである。私が一番惹かれたのはブライアン・メイの唯一無比といっていいギター・サウンドで、100年以上前の暖炉の木から自作したというハンドメイド・ギター、通称「レッド・スペシャル」の、他では絶対に聞けないまろやかな音色にすっかりまいってしまった。そしてそんな彼のギターが唸りをあげて疾走しロックな衝動を呼び起こす上記のナンバーの何とカッコイイことか(≧▽≦) それは「キラー・クイーン」のようなポップ曲にもいえることで、間奏のギター・ソロやエンディングにかけての百花繚乱ギターの快感は何物にも代えがたい。美しくポップなメロディー・ライン、フレディーの存在感抜群の歌声、ブライアンのトリッキーで重厚なギター・プレイ、腰の据わったリズム、そして何よりも見事なコーラス・ハーモニーと、クイーンの魅力を120% 濃縮還元し見事2分59秒にまとめ上げたようなこの曲は彼らの最高傑作の一つといっていいだろう。そんなこんなでようやく「オペラ座の夜」に辿り着いたのだが、一聴して感じたのはシングル2曲も含め様々なタイプの曲がバランスよく配置されているということで、それらの曲群がクイーン色に染め上げられ、あたかもトータル・アルバムであるかのようなスムーズな流れを生み出していることである。白を基調としたジャケットからクイーン・ファンの間では「ホワイト・アルバム」と呼ばれているらしいが、内容的には間違いなく「クイーンのサージェント・ペパーズ」と言っていい、初期クイーンが到達した頂点がこのアルバムだ。

'39 Music Video - Queen