shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Runaways Japanese Singles Collection

2009-02-23 | Rock & Pops (70's)
 ザ・ランナウェイズといえばガールズ・ロック・バンドのパイオニアであり、彼女達がいなければゴーゴーズも、バングルズも、プリンセス・プリンセスも存在しなかったかもしれない。77年のデビュー盤「悩殺爆弾~禁断のロックンロール・クイーン」(しかし凄いタイトルつけるよなぁ...)発売当時、日本では“コルセットとガーターベルトの下着姿で歌うヤンキー娘”という下世話な話題だけが先行して色物的な扱いを受けていたが、彼女達は決してセクシーさだけを売り物にしたカワイコチャン・バンドではない。何といってもあの“ロックンロール一筋の姐御”ジョーン・ジェットと“リッチー・ブラックモア信者”のリタ・フォードというガールズ・ロック界最強のツイン・ギターである。又、バンドに一時期在籍していたマイケル・スティールは後にバングルズに加入し、大成功を収めているのだ。世間の(そして当時の私の)視線は下着姿のリード・ヴォーカル、シェリー・カーリーのみに向けられていたが、今にして思えば凄いメンツだったのだ。そんな懐かしのザ・ランナウェイズが日本で出したシングルの両面をリリース順に収録したベスト盤がこの「ザ・ランナウェイズ・ジャパニーズ・シングル・コレクション」である。ジャパニーズ・シングルのコレクションなのに日本盤はなくUKが原盤というのが面白い。ファースト・シングルの①「チェリー・ボム」は“ど真ん中の直球勝負!”と言わんばかりの小気味良いロックンロールで、これこそまさに数年後にソロで大ブレイクするジョーン姐さんが目指したストレートアヘッドなサウンドだ。77年当時のミュージック・シーンを考えれば十分にニュー・ウェイヴでありパンクな要素も持っている。それにしても邦題を付けた日本フォノグラムのディレクター、いくら何でも「ボンブ」はないやろ!じゃあ combは昆布か?英語ワカランかったらせめて辞書ぐらい引いて発音調べろよ(´・ω・`) 因みに「深紫伝説」の王様によるセクシー・ロック直訳メドレー「お色気牧場」に入ってる「さくらんぼう爆弾」も抱腹絶倒カヴァーとしてオススメだ。④「ロックンロール」はスワッ、ゼッペリン・カヴァーか、と思ったが、ルー・リードの同名異曲だった。けっこう渋いやん(>_<) ⑤「ネオン・エンジェル」はヘヴィーなギターのイントロからして風雲急を告げる緊張感に溢れ、その後のハードな展開は男も女も関係ない、まさに彼女らのロック魂が炸裂するスリリングな曲。姐さんのギターのリフといい、リタのソロといい、めちゃくちゃカッコエエなぁ(≧▽≦) ⑧「ブラックメイル」はスタジオ・テイク②のライヴ・ヴァージョンで、その骨太なサウンドと重心の低さで②を凌駕する出来になっている。⑪「ママ・ウィアー・オール・クレイジー・ナウ」は言わずと知れたスレイドのヒット曲で、カッチリまとまった演奏を聴かせてくれるが、グリッター・ロックの象徴のようなこの曲はトゥイステッド・シスターが演ったようにもっとハチャメチャにハジケてほしかった気がする。それと同じことが⑫「エイト・デイズ・ア・ウイーク」にも言え、スロー化してしまったことによってビートルズの原曲が持っていた躍動感、エネルギーの奔流が損なわれてしまっているのが残念だ。⑭「ブラック・レザー」は姐さんのソロ活動を予見させるようなロック・スピリット溢れるナンバーで、このバンドの核は曲の大半を書いていた彼女だったと改めて実感させられる。もう一度そういう耳でザ・ランナウェイズを聴き直してみると色々と新たな発見があるかもしれない。

The Runaways - Cherry Bomb