shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ゴールデン☆ベスト / ザ・ヴィーナス

2009-02-13 | 昭和歌謡
 クラシックのCD/LPを1枚も持っていない私がベートーベンと聞いて頭に浮かぶのは、例の「ジャジャジャジャーン」と何故か年末になると演奏される「第九」ぐらいだ。だから恥ずかしながら「エリーゼのために」という曲名やメロディーは一応知ってはいたが、「乙女の祈り」とごっちゃになったりして誰の作品かはよく分かっていなかった(←アホ?)
 そんな「エリーゼのために」がドイツではカテリ-ナ・ヴァレンテによって、又イタリアではミーナによって「パッション・フラワー」になった途端に実に魅力的なポップ・チューンに変身するのだから音楽というのは本当に面白い。更に日本に輸入されて「情熱の花」というタイトルが付けられ、宮川泰先生の編曲でザ・ピーナッツが歌うに至って完全無欠の昭和歌謡と化す怒涛の展開。そんな「エリーゼのために」が阿木燿子さんの作詞とオールディーズ風アレンジでお色直しを敢行、ザ・ヴィーナスの「キッスは目にして」として大ヒットを記録したのは81年のことで、ヴォーカルのコニーさんがポニーテイルにバリバリのロカビリー・ファッションでテレビに出まくって異彩を放っていた。
 歌詞のアタマの部分「ワナ、ワナ、ワナに落ちそう~♪」は阿木さん流のザ・ピーナッツ「恋のフーガ」(パヤ、パヤパヤ~♪)へのオマージュだろう。当時の邦楽(松田聖子や近藤正彦の全盛期)はまったく自分の嗜好に合わず全然記憶にないのだが、この曲だけは化粧品のCMソングになっていたこともあってよく知っていた。そんなザ・ヴィーナスのベストCDをある時偶然アマゾンで見つけ懐かしさの余り衝動買い、ジャケットを見ただけでロカビリーな音が聞こえてきそうだ。
 この盤は①「キッスは目にして」を目当てに買ったのだが、それ以外にもフィフティーズなテイスト溢れるポップなサウンドが満載で、コニーさんのポニーテイルなハモリが効果を発揮するレスリー・ゴーアの③「イッツ・マイ・パーティ」や⑥「ジュディーズ・ターン・トゥ・クライ」、シフォンズの④「ワン・ファイン・デイ」といったカヴァーも雰囲気抜群だし、⑤「ザ・ヒット・パレード」では当時日本で流行ったカヴァー・ポップスをメドレー化、ザ・ヴィーナスのオールディーズ賛歌として気持ちよく響く。「ヒッパレ~♪」→「ロコモーション」→「オー・キャロル」→「小さな悪魔」→「ルイジアナ・ママ」→「恋の一番列車」→「悲しき雨音」→「かわいいベイビー」→「恋の売り込み」→「君は我が運命」→「悲しき街角」→「オー・キャロル」→「すてきな16才」→「ヴァケーション」→「ダイアナ」→「ヒッパレ~♪」と、わずか4分50秒の中にこれだけ詰め込んだだけでも凄いのに、それらが実に巧く繋いであって私のようなオールディーズ・ファンにはたまらない。ザ・ピーナッツ、弘田三枝子、中尾ミエ、伊東ゆかり、森山加代子らが出ていた懐かしのテレビ番組名をそのままタイトルにしたところにも彼らの心意気が伝わってくる。
 日劇ウエスタン・カーニバルを1つの曲で再現したような⑲「ミッドナイト・ゴールデン・スペシャル」は「ロックンロール・ミュージック」や「テディ・ベア」、「冷たくしないで」etcが次から次へと出てくるロカビリー・メドレー。笠置シヅ子の⑱「東京ブギウギ」のカヴァーも現代感覚を巧くブレンドして聴き応え十分なヴァージョンに仕上がっている。オリジナル曲では⑫「キサス DE キサス」がダントツに素晴らしい。「ブルー・シャトウ」や「学園天国」、「ランナウェイ」etcの作者としても知られる元ブルー・コメッツの井上大輔さんが作ったナンバーで、青い三角定規に平田隆夫とセルスターズをふりかけてGS鍋でじっくり煮込んだら出来上がったかのようなコテコテの昭和感覚溢れる哀愁の名曲だ。それにしても昔のいわゆる「ラジオとシングル盤の時代」の曲ってシンプルでメロディアスで何回聴いても飽きひんなぁ...

ザ・ヴィーナス / キッスは目にして (Live)