魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

婚姻消滅

2013年07月03日 | 大転換

安藤美姫が出産していたそうだ。詳しいことはよく解らないが、未婚の母なのだろう。意思と勇気を賞賛したい。

近頃、未婚の母もシングルマザーなどと呼び、かなり一般化してきた。現行の婚姻制度に反対し、母系の婚姻制度を支持する立場としては、驚くことではない。今日の社会が婚姻を前提とする限り、「反社会的」な人が増えるのは、自然の流れだと思う。

基本が父系の一夫一婦制で、少子化を防ぐのは根本的に無理なのだ。昔から、貧乏人の子沢山という。命の危機に直面している動物は子供を多く作りたくなる。また、生物の摂理として、絶滅が近づくと子供を産む機能を持つメスばかりになる。

一夫多妻は男の夢のように思われているが、実は、集団の存続が危ぶまれる時のやむを得ない方法だ。
人類進化の過程では、おそらく一夫多妻が先にあり、生活が安定してくるに従い、一夫一妻が可能になったのだろう。そういう意味では一夫一妻は文明的と言える。

集団生産
しかし、一夫一妻は、やはり、原始的な生存法の名残に過ぎない。
農業など集団的な生産力が向上すれば、個の能力で子孫を残すより、集団として子孫を増やす方が効率的だ。
その結果、男女は個の結びつきより、集団的な一体感で子孫を残すようになった。

貞操観念にうるさいのも、遊牧文化の一夫多妻や一夫一妻であり、農耕社会は基本的にルーズだ。
歌垣のような集団見合いから、祭の乱交、夜這いなど実際行動が先行し、プロセスより、結果的に子供を産む女が偉い者とされてきた。
農耕社会では、神も豊穣の女神が崇められ、父なる神の影は薄い。

個の結束を前提とする、遊牧文化の一神教が生んだ欧米社会は、機動的で攻撃的であり、産業革命は攻撃的な帝国主義として拡大し、東洋はその攻撃力に屈し、一夫一妻が唯一正しいものとして浸透した。

ところが、産業革命は農業と同じ男女対等の集団生産であり、遊牧文化の「男の力」から生まれた一夫一妻の婚姻にはなじまない。
産業革命パラダイムを経た結果、今や、世界全体が男社会から脱却しようとしている。

産業革命による新農耕文化が始まる時代には、それにふさわしい種の存続方法に変わっていく。一夫一妻の婚姻をベースにした社会は成り立たなくなり、新しい価値観が生まれる。今はその過渡期だ。

未来は母系社会
大転換の中、婚姻を前提とする子育てでは、必然的に少子化が進む。
これからは、社会全体としての子育ての時代になる。

社会全体で子供を育てるには、子供は親の子ではなく、先ず、生まれた子供を社会の一員として考えるところから始まる。
したがって、母親はその小さな一市民の成長の補佐役と考える。父親は母子との関係次第であり、関係が上手く行く人がいれば良いが、基本的には父子関係は、社会の男はみなおじさんで良い。

元々、男は風来坊であり、父親の責任とか存在意義とか言うものは、父系社会に無理に生まれた概念だ。イクメンが良いことのように言われるのは、一夫一妻制を大前提にする子育ての変形であり、因習の婚姻制度が無くなれば、存在しない。あるとすれば、趣味の一つとなる。

これが、未来的な母系社会であり、決して母親に全てを押しつける話ではなく、基本的には社会が子供を完全養育する仕組みを前提とした、母親の選択権の話だ。
古代の母系社会では、男が直接母に奉仕したのに対し、未来的な母系社会では、税により社会が子供を育てる。

出生率増加で、フランスでの婚外子が話題になっているが、これは過渡期に過ぎない。世界は遺物となった婚姻の消滅に進んでいる。
一神教の先進国自体が、そのように変化している時に、日本は、非嫡出子の権利とか、夫婦別姓とか、2世紀近くも遅れた議論をしている。

これは、少子化対策の話ではない。人口を増やして、工業生産力を上げるような考え自体が、もはや古い概念だ。
古いモラルで、要らぬ不幸を生み出す因習社会の愚かしさを見てきてそう思う。

願わくば、あるいは、おそらくは案外近い将来に、男も女も出産をせずに、自分の子供を持てるようになるだろう。そうなれば、ますます、婚姻制度によらない社会の仕組みが必要になる。

しかし、今だ時代遅れの、ひどい因習社会の日本にあって、
果敢に戦う母子全てに、エールを送りたい。
あなたこそトップランナーだ


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