もし、今、各地域で分離独立「せざるを得ない」ようなことになった時。喜んで、独立しようと言うのは、おそらく近畿勢だけではないだろうか。
東京は知事を始め、「自分たちの稼ぎで日本中を養ってやっている」
と思っているが、仕組みがあるから人が集まってきているので、分離独立しなければならないような時には、情報や物流に滞りが生じているだろうから、東京から人が出て、多くの人は故郷に向かうだろう。もともと東京は、地方からの人と物で支えられている。
なぜ、近畿だけが喜んで独立すると考えられるかと言えば、近畿には国家運営の経験と伝統があるからだ。
現在の経済規模から言えば、中部名古屋も、九州も、十分力があるが、意識の問題として、歴史的に二番手思考だから、経済の軸が中央に向いている。
近畿が衰退しているのは、東京から統制され、勝手なことができないうちに、近畿の経済と情報の主力が、すべて東京に移ってしまっているからだ。今、もし、「各地が自己責任で独り立ちしてください」
と、言われたら、「よっしゃ!」と、大喜びするだろう。
近畿の力を奪った張本人は、東京を支配する薩長勢だ。
明治維新も、明治や戦後の成長も、薩長が成し遂げたように見えるが、実は近畿の力だ。
明治維新は朝廷の権威を利用し、全国民を戦争に駆り出せた力も律令による国民管理であり、徳川幕府もそれを利用していた。
日本経済の中心は、今では東京勢のように見えるが、本を正せばみな関西勢だ。
薩長勢が中央に居座ってやった政治は、徹底した中央集権であり、これは、支配されてきた者のトラウマ、「政治は権力行使」から出たものだ。
つまり、被害者意識で政治をすると独裁になりやすい。
ソ連、中国、北朝鮮、ポルポト・・・の例を挙げるまでもなく、押さえられて来ると、上意下達の管理が政治だと勘違いする。
日本が、最も成功した共産主義だと言われたのは、歴史的な被支配者の側が国を支配したからだ。
日本の中では、近畿は中国のように長子的な性質を持ち、薩長は弟妹型の性質がある。
弟妹型は、元気が良いが無鉄砲であり、失敗に懲りずに、強い相手の力を利用する。
(薩長は欧米と戦って負けると、直ちにその相手から戦力を導入した)
九州や中四国は独立すると、とりあえずどこに付くか考えるだろう。
共産主義の失敗は、主義の失敗ではなく、支配した者の資質の問題が大きい。
ソ連がそうであったように、上からの統制管理は、支配される者の自立心と活力を奪う。
今の日本の停滞は、中央からの交付金の餌をもらって生きる家畜根性に成り下がったからであり、バラマキはその末期症状だ。
何事も、何とかしなければと言う話が起きれば、すぐ、お上からの施しの話になるが、もし自分たちだけで何とかしなければならなくなれば、人間も地域も、強い活力を発揮する。
戦後の闇市ではないが、お上の統制が無い時の方が、商売は盛んになる。楽市楽座、中国だって開放政策で成功した。