魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

変身(1)

2010年05月18日 | 日記・エッセイ・コラム

№902

肉食獣の狩りは、強い者を狙うのは効率が悪いから、子供や怪我をした者など、一番弱い者を狙う。

EUの通貨危機に、マネーが襲いかかろうとしている。
マネーは、経済連鎖で生まれた肉食獣だ。
誰か一人の金ではない。資本家とか労働者とか、そういう解りやすい次元を超えて進化した、ティラノザウルスだ。

世界中の人間から、投資信託などで集めた金が、その投資した人間の住む地域や国の経済を、喰いあさる。
グローバル化の定義はよく解らないが、企業やマネーが、国家を破壊しようとしている。

破壊と言えば聞こえが悪いが、国家を基準とした、産業革命パラダイムの中から生まれた、企業やマネーの活動が、国家の枠を無意味化し、そのことが、産革パラダイムを解体する。
これは、人体をむさぼり尽くして姿を現すエイリアンのようなものだ。

この、パラダイムシフトが始まっていることは、誰でも解っている。
にもかかわらず、いまだに産革パラダイムに生きなければならない現代人は、どうして良いのか解らなくなっている。

国家だけではない、マネーそのものに対する不安がある。
つまり、投機そのものに対する不安が有りながら、それでもマネーしか生きる術を持たない。
投資家は完全に、ロシアンルーレットをやっている心境だ。
ビクビクしながら引き金に手を掛けている。

その結果、株が乱高下し、金が上がる。

自然の摂理は、肉食獣が増えすぎると、餌が無くなり、肉食獣が減ってバランスがとれる。しかし、マネーという、限度を知らない人間のような種は、次々と絶滅させ、やがて自分自身が突然死する。

マネーの暴走は、マネー自身を滅ぼす。
パラダイムシフトの先には、通貨、為替、国家の絶滅か、変身が待っている。
おそらくそれは、望ましいことで、産革パラダイムゆえの、現代人の悩みはすべて解消する。

しかし、産みの苦しみは耐え難いものであり、今の姿で考える限り、エイリアンに生まれ変わることなど、とても容認できるものではないだろう。