ポゴレリチを初めとする、趣味に関する事柄においては、
私はある種の、異常な収集癖を発揮しているが、
その他のことについては、あまり「集める」趣味はない。
特に苦手なのは、買い物して会員カードにポイントを貯めるたぐいだ。
かつて言われるままにカードを貰っていたら、
財布がブタさんになり、しまいに爆発したので、
最近は原則的に、カードなどは貰わないことにしている。
どうせ貰っても、私はカードの存在をそう長くは覚えていられないのだ。
だのに、この夏、うっかりと某店で応募券なるものを貯めてしまった。
その店には、たまたま夏休み中に幾度か行くことが重なり、
ちょうどなんだかキャンペーン中で、
支払300円ごとに一枚という応募券を、何度か貰った。
それを期間内に5枚集めると一口になり、交換でお皿が貰えると、
その応募券表面にも、店頭のポスターにも書いてあった。
それで私は、先月半ばに5枚目を貰ったとき、店頭で、
「これでお皿と交換できるんですよね?今、出していいですか?」
と訊ねた。すると店員さんはとても申し訳なさそうに、
「そうなのですが、今、ちょっと景品を切らしていまして。
お手数ですが次回ご来店の際に、もう一度仰ってみて下さい。すみません」
と言った。
私は、そもそもは皿になど執着はないつもりだったのだが、
交換しなかったために、券がそのまま財布の中に残ったので、
ここまで来たのだから捨てるよりは有効に処理したい、
と、財布を取り出すたびに、ついつい考えるようになった。
それで、今月の初め、同じ店に行ったとき、
前回のことを思い出して再度、申し出てみた。
「あのー、これ5枚で景品と交換できるんでしたよね?」
すると、なんと呆れたことに、皿はまだ入荷していなかった。
店員さんはそこで、私の名前と電話番号を書き留め、
景品引換証をくれて、「入荷したら御連絡します」と言った。
たかが皿一枚をタダで手に入れようとしたばかりに、
えらく大仰なことになってしまった。
9月もそろそろ終わりだが、あれから、電話は来ない。
できない交換なら、最初からできると言わなきゃいいのに(--#)、
と私はややフンガイしている。
転妻「どうなったんやろ。こっちから電話したろか」
転夫「『一回二回と断りゃ、もう忘れた頃かと思うたのに、
まだ言いよるんかねこの人』、って店屋は思うで」
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