転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



(この文章は、漫画『テレプシコーラ』(山岸凉子)の最終回に関する、
微妙なネタバレを、ほんの一部分ですが含んでいます。
絶対にネタバレは困るとお思いになる方は、以下はお読みになりませんように)

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昨日の夜、家族で喋っていて、『テレプシコーラ』最終回のことが話題になった。
私はこの漫画の大ファンで、特に第一部が素晴らしかったと思っているのだが、
第二部はそこまでの高いテンションには見えず(すみません)、
最終回も、残念ながら「なるほど!」な出来とは、言えなかった。
奇しくも、主人も娘も、感想は同じだった。
「なんか事情があって、事実上の打ち切りになったんとちゃうか?」
と主人など、その終わり方に全く納得していなかった。

その詳細は省くけれども、特に私にとって思いが残ったのは、
最後に胸のすくようなバレエが、見たかったのに見られなかったことだった。
ヒロインの六花(ゆき)ちゃんが、振付の分野で大きな才能を見出される、
というのは第一部の頃からハッキリと予想できていたことで、
第二部の最終回で、確かに、彼女の作品が評価される展開には、なっていた。
その点は良かったのだが、その作品は、彼女が子供時代に
自由に振り付けしていた作品ほどに目覚ましいものには、
私には、見えなかった。

それは『ひきこもり』がテーマになっていて、
せまいハコのようなところに入った六花ちゃんが、
様々なポーズを取ることで、その閉塞感を表現したものだった。
現代モノって、結局こういうことなのかもしれないけど、
私は、ちょっと(^_^;)。申し訳ありません。
私が待ちに待った六花ちゃんの(連載中としては最後の)作品が、
よりによって「ひきこもり」、それも録画の断片のみという扱いだなんて(涙)。

私「北島マヤなら、どんな広い空間にいても『ひきこもり』を表現しただろうな。
 『うっ、ゴシゴシ。あの子を閉じこめている囲いみたいなものが見えるわ』」
夫「亜弓さんが『マヤ、恐ろしい子。私はただ『ひきこもり』を演じただけなのに、
 あの子は本当に、ひきこもっているんだわ・・・』」

それにしても、人気連載の終わり方というのは、
なかなか難しいものだなと私は改めて思った。
『ガラスの仮面』はまさにその典型だと思うのだが、
長らく読者を強烈に惹きつけ、ここまで壮大な作品となっただけに、
もはや、生半可な終わり方では済まないところまで来てしまった。
劇中劇の『紅天女』だって今更、フツーの舞台劇じゃ誰も納得しないだろうし。

ほかに私が、「大人気連載となったばかりに最終回で困ったもの」の
例として思いつくのが、『のだめカンタービレ』だ。
私は連載初期のファンで、音大でアホな毎日を繰り広げる彼らを
大変愛していたのだが、人気が爆発してあの作品の方向性は変わった。
当初は、音楽という物凄いものを扱いながらも、
敢えてカルくお笑いにして、「ちゃんと」踏みはずしているのが魅力だったのに、
人気作品となってからは、もう音楽そのものを中心に据えて、
登場人物の誰彼となく、真っ向勝負をさせるようになった。
そして、そのせいで話の後半はどんどん吸引力が落ち、
挙げ句、終わり方に失敗した、というように私には見えた。

似たようなところでは、まだ終わっていないが『ピアノの森』も
カイの青年時代を始めてしまったばかりに、困難なことになったと思う。
あの作品は、小学生だったカイが阿字野の前で頭を下げて
ピアノを教えてくれと頼むところが、大きなクライマックスだった。
幼い男の子が、初めて自分の意志と覚悟をもって、
ピアニストとしての第一歩を踏み出すという、劇的な瞬間だった。
あのあたりで終わっていれば、そこそこ、まとまっていただろうに。
もちろん、読者が成長後の彼らを見たいと要望するのは当然だとは思うけれど。

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それにしても、幾多の作品群の中でも横綱級であるガラかめは、
これから、一体どうすれば終わることが出来るのだろう。
名作であることは否定しないどころか、私も熱心な読者ではあるのだが、
単純に先行きを楽しみにしてなどいられなくなって久しい。

私「紫織さんは体が弱そうだから、そのうち死ぬかと思っていたんだが」
夫「なんのなんの。最近ものすご元気よ。憤怒と嫉妬で生き生きしとる」
私「しかし真澄さんが彼女を振ってマヤと一緒に、ってのはできん相談だしな」
娘「紫織さんと桜小路くんがケッコンしたら、どう?」
夫「桜小路じゃ若いし、鷹宮グループにメリットなさ過ぎやろ」
娘「あ、わかった。鷹宮グループが倒産すればいいんだ。
 そしたら大都芸能も縁組みのメリットがどうのこうのって言わなくなる」
私「けど、そういう理由で紫織さんを捨てるってのは、
 真澄さんには、なおさら、できんでしょ」
夫「速水会長なら、やっただろうけどな」
娘「じゃ倒産せんでいいわ、会長と紫織さんがケッコンすれば」
私「介護のためにヨメに来るような話だぞ?」
娘「むむむ」

娘「亜弓さんも綺麗で才能あって、最高だから、相手に困るね」
私「だからガイジンってことで、カメラマンのハミルが候補なワケだね」
夫「あれは脇役キャラだよなあ」
私「そう思う。もともと大した存在じゃなかった」
娘「客席で『オレ知ってるぜ。一般投票第一位・・・』って言ってる人と同類だよね」

夫「ワシ思うのに、ある程度若くて独身でものすご切れる演出家、
 っちゅーのを、もっと早い段階で出しときゃよかったよね」
私「そうか、黒沼先生が要らなかったんだ!」
夫「そうそう、あれがもっと美形で個性的で若めな先生なら」
私「紅天女ではマヤに演技をつけながらも、亜弓さんのことも見てて
 彼女の目がさめるようなことを、ときどき言うんだね」
娘「じゃ、今から出せば」
夫「もう遅いよ。話、全体が終わりにかかってるわけだから」
娘「だいたい、亜弓さん、ずっと小野寺先生とばかり、組んでたね」
夫「小野寺に肩入れし過ぎたよな。あ、いっそ小野寺とくっつけるというテもあるか」

読者のフラストレーションを招かないための終わり方としては、
最低限、「マヤが亜弓に勝って紅天女を演じてみせる」ことと
「マヤと速水真澄がなんらかのかたちで結ばれる」ことが
要素として必要ではないかと私などは思うわけだが、
たったそれだけですら、これほどの逸話の数々を回収しながら辿り着くのは、
人間ワザではほとんど不可能というくらい、
ガラかめの世界は壮大になってしまっているのだった。

結局、夜、家族で二時間ほど協議したが、
鷹宮紫織と姫川亜弓の嫁入り先すら、見つけてあげられなかった。
ほかに彼女らのどっちかを、聖とめあわせる、という案も出たが、
聖は戸籍がないので、婚姻そのものが無理だった(爆)。

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