転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



姑の頭の具合が、最近、とみに悪くなったような気がする。

一年前は、まだ、姑はいろいろと物語を聞かせてくれた。
荒唐無稽な設定の、妄想の産物ばかりだったが、例えば、
現代的な花を生けたいと思ったので華道の先生を家に呼んだら、
それが不心得な人でテイソーをジュウリンされそうになった、
よしこさんも気をつけないといけない、とか
(頼んだってジュウリンして貰えんかも・爆)、
おとうちゃん(=舅)が浮気をしていると友達から聞いたので、
こっそり様子を見に行ってみたが、全然たいした女ではなかった、とか、
去年の今頃の姑の話は、それなりに起承転結(と色気)があって面白かった。

それが、いつとはなしに姑は、少しずつ、
言語音のやりとりを、我々と共有できなくなって来た。
昨年の冬くらいから、独り言が増え、急須やお盆に話しかけたり、
夜、暗がりの中で楽しそうに喋っていたりするようになり、
反面、我々の働きかけに対しては、適切な反応が出来なくなった。
例えば、主人が帰宅して「ただいま」と言うときなど、
姑はたいてい、返事をしない。肩を叩くと、きょとんとして振り返る。
「今、仕事から帰ってきたよ」などと説明すると、
一応自分が返事をする番だとわかるらしいのだが、
「哀れなもんじゃね」などと、全然文脈に合っていない返答をしたりする。

だが決して、耳が悪い訳ではない、と私は観察していて思う。
というのは、私が食事の支度をしていて、皿の音をたてたりすると、
姑は隣の部屋にいるのに、ちゃんと聞きつけて、
「いらっしゃい~」
と明るく返事をしてくれるからだ。
舅が咳払いしただけでも
「誰?」
と鋭く尋ねたりする。
「おちおち咳もできやせん」
と舅は困っている。
昨日など舅の放屁にまで姑は丁寧に返答をしていた。

更に困ったことに、最近の姑は妙に早起きだ。
朝の四時半頃から起きて、何か喋っている。
被害甚大なのは、すぐ隣のベッドに寝ている舅だ。
彼は、朝は眠いのでできれば返事はしたくないのだが、
話しかけられてしまうとシカトするのも辛いので、
なるべく、姑と目を合わせないようにしているそうだ(^_^;。

ただ、姑はいつでも機嫌が良い。
姑の世界は曖昧模糊としているが、毎日がとても平穏なようだ。
姑はもともと大変信心深い人だったから、
今も仏様が一緒なのかなぁと思うことが、よく、ある。

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